INTERVIEW
lynch.
2012.06.04UPDATE
2012年06月号掲載
Member: 葉月(Vo) 玲央(Gt) 悠介(Gt) 明徳(Ba) 晁直(Dr)
Interviewer:MAY-E
通算6作目、メジャーへ移籍してからは2作目となるアルバム『INFERIORITY COMPLEX』をリリースする、言わずと知れたジャパニーズ・ヘヴィ・ロック・バンドlynch.が、遂に激ロックに初登場。“激しさ”や“速さ”に特化したアルバムを目指したという今作は、lynch.史上最速のサウンドに仕上がっており、ラウドロック・ファンの耳にも刺さるキラー・トラックが満載だ。今作『INFERIORITY COMPLEX』がいかにして生まれたのか、メンバー5人に話を聞いた。
-今作『INFERIORITY COMPLEX』は通算6作目、メジャーへ移籍してからは2作目のアルバムとなりますね。まず伺いたいのですが、インディーの頃と比べて環境はどのように変わりましたか?
葉月:もう何もかもが違いますね。まず、関わる人間の数が10倍にも20倍になりましたし。録音できるスタジオもぜんぜん違うし。そんな中で、僕が一番感じているのはスピード感です。時の流れの早さというものが、メジャーのほうが圧倒的に早いですよ。デビューしてからの1年間は、その時の流れの早さに追いつくことにがむしゃらだったんですけど、今作でようやく予測を立てられるようになったので、色々考えながらアルバムを作ることが出来ました。
-インディーだと自分たちでやるしかないですからね。
葉月:うん。極端な話ですが、曲が出来なければ出さなくていいですからね(笑)。実際インディーのときは“良い曲が出来たら出そうか”っていう感覚でしたし。メジャーだとそういう訳にはいかなくなりますよね。ただ、メジャーに移籍したことで鍛えられた部分はあります。
-なるほど。今作の制作には満足のいく時間はかけられたのでしょうか?
葉月:はい。曲の制作自体で丸1年くらいはかけられたかな。1、2曲は以前から出来上がっていた曲なんですが、それ以外は全て前作以降に書いたものです。
-その今作『INFERIORITY COMPLEX』は、冒頭の「MOMENT」からラストの「A FLARE」までエネルギーの漲るアグレッシヴな作品となりましたね。
悠介:そうですね。最速のアルバムに仕上がっていると思います。シンプルに、よりストレートな表現が出来たんじゃないかな。聴いていて飽きないし、何度でもリピートしたくなる1枚に仕上げることが出来たと思います。
-そのように最速に仕上がったというのは楽器隊の皆さんによるところも大きいと思うのですが、サウンドの面で、制作の前にどのようなイメージを描いていたんでしょうか?
悠介:原曲は葉月くんが作ってくるんですが、今作は、僕らの持ち味のひとつである“激しさ”や“速さ”に特化したアルバムにしたいという考えをまず葉月くんから聞いていて。それを打ちだしたら、これくらいコンパクトなアルバムに仕上がりました。
明徳:今作はBPM的に言えば最速なんですけど、恐らく一番聴きやすいアルバムに仕上がっていると思うんですよ。速くて激しいんだけど、ある意味ポップというか。一番聴きやすいアルバムなんじゃないかと思います。シンプル・イズ・ベストの極み、というか。
-そうですね。「NEW PSYCHO PARALYZE」や「ANIMA」のように激しさに特化したナンバーもありますが、同時にさらっと聴けるアルバムでもありますよね。
明徳:そうなんです。もっとパンチのある、うるさい音楽を作ることも出来たとは思うんですが、それだときっと毎日は聴けないと思うんですよ。すぐに飽きちゃうだろうし。毎日焼き肉を出されたら飽きちゃうのと一緒で。例えるなら、今作は最高級の米で作られたご飯とみそ汁、みたいな(笑)。
-なるほど(笑)。
明徳:それくらい的を絞ったシンプルなアルバムっていうんですかね。
晁直:うん、構成だけ見ても余分なものがないんですよ。コンパクトにまとまっていると思います。だからこそ、全曲通してさらっと聴けるのかなぁと。激しいけれど、極端にヘヴィな音ではないと僕自身も思っているので、それも聴きやすさのひとつの要因ではあるかな。
玲央:確かに速くて激しい部分に特化したアルバムだとは思うんですが、メジャー2枚目だからこそ作ることが出来たアルバムだと思っています。メジャー1作目は、サウンドの振り幅だったり、インディー時代の集大成といえるアルバムになっていたと思うんです。今作は、今の時期だからこそ作ることが出来たアルバムと言えるんじゃないかな。別の言い方をすれば、今のバンドを象徴するようなアルバムに仕上がっていると思います。
-速くて激しくて、そして緻密な音になっていますよね。
玲央:ギターの面で言うと、それまでもセクションごとにギターを変えることはやっていたんですけど、今作ではフレーズごとにギターを変えてみたんです。単音で弾くところ、パワー・コードで弾くところ、コード・ストロークで弾くところ、それぞれに使い分けて基本3本を持っていきました。まるでパズルのピースを埋めるような作業でしたよ。最終的には全て繋がって、1本でやっているように聴こえるんですけど、全ての曲でギターは3本使用していますね。それくらい音の完成度については丁寧に慎重に、神経質に作りました。