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LIVE REPORT

lynch.

2022.11.23 @日本武道館

Writer : 杉江 由紀 Photographer:Megumi Iritani

あまりに劇的すぎる"二度とない今夜"が「LAST NITE」で幕開けし、葉月(Vo)の"ようこそ処刑台へ!"という言葉から続いた「GALLOWS」が日本武道館いっぱいに響き渡った時点で、のちに「EVOKE」で歌われたlynch.にとっての"描いた夢"というものは、ある意味で結願したも同然だったのではないかと思う。

そもそも、このたび開催された["THE FATAL HOUR HAS COME" AT 日本武道館]は、本来であれば2021年2月にデビュー15周年を記念した晴れ舞台として予定されていたものだったが、当時は政府からの緊急事態宣言発令を受けて中止となることに。

そのうえで、2021年末からは一時活動休止期間に突入することが発表され、葉月は新たにソロ・プロジェクト、HAZUKIとして動き出し、玲央(Gt)は古巣のkeinでの活動を復活させたほか、悠介(Gt)はロック・バンドとはまったく異なるアプローチにて"健康"なるユニットを起動。また、明徳(Ba)は3ピース・バンド、VIVACEでの活動ともにHAZUKIソロのサポート・ベースを務め、晁直(Dr)は先輩格のバンドであるdeadmanのライヴをサポートするなど、各メンバーがこれまでにはなかった動きをとるようになったことで、結果としてはいずれもが各人にとっての血肉となっていったことは間違いない。

ただ、それでも。やはり、lynch.を愛するすべての人々にとって"失われてしまったあの夜"に対する切望がずっと募り続けていたことは紛れもない事実で、今年9月に、いよいよlynch.が活動再開の狼煙を上げ、11月23日に改めて["THE FATAL HOUR HAS COME" AT 日本武道館]と題したライヴを決行すると発表した際には、SNS上などでも多くの喜びの声が沸き返ることになったのだった。

"lynch.はこれまでしつこいくらいファンのみんなと「武道館に絶対行こうな」という夢というか、もはやそこを目標としてやってきて、気づけばもう10年以上が経ったんじゃないかと思いますけれども。みなさんどうですか。「これ」がlynch.の武道館です! お待たせしました! ヤバいよなぁ!"(葉月)

ちなみに、この武道館公演においては、アンコールのMCにてメンバー全員が胸中を語るひと幕も挟まれることになり、なんとそこでは明徳が"実は2017年にも武道館公演が予定されていたにもかかわらず、自らの不祥事によって中止になっていた"という真実を初めて吐露し、すでに禊は済んでいるものの、"こんな自分をlynch.に戻してくれたメンバーに心から感謝しています"と真摯な言葉を聞かせてくれたのである。また、玲央が感極まりながら"みんなを武道館に連れてきたかったんです。ずっと。でも、今日このステージに立ってみて、僕がみんなを連れてきたんじゃなくて連れてきてもらったんだとわかりました。みんながいて、何より最高のメンバーがいて、ここに立たせてもらってます!"と話したくだりも、これまでの紆余曲折だった道程を思うと実に感動的のひと言。

しかも、葉月からは"lynch.としての初武道館はこれが最初で最後ですけど、これからもまたやっていくんで!"との頼もしい言葉もあり、アンコールにて聴けたのが武道館で演奏することを念頭に生み出されたという「EUREKA」、lynch.の誇り高き志を託した「ADORE」、彼らがバンドとして輝き続けることの意味と意義を歌った「A GLEAM IN EYE」であったことをかんがみると......この"二度とない今夜"を境にして生まれていくのは、lynch.のさらなる"ねがい"を鮮やかに描き出していく未来だと確信する。


[Setlist]
SE. AVANT GARDE
1. LAST NITE
2. GALLOWS
3. GREED
4. EVOKE
5. CREATURE
6. XERO
7. THE FATAL HOUR HAS COME
8. JUDGEMENT
9. GHOST
10. LIE
11. melt
12. forgiven
13. ASTER
14. D.A.R.K.
15. I'm sick, b'cuz luv u.
16. MIRRORS
17. ALL THIS I'LL GIVE YOU
18. INVADER
19. OBVIOUS
20. pulse_
21. ALLIVE
22. CULTIC MY EXECUTION
En1. THIRTEEN
En2. EVILLY
En3. a grateful shit
En4. MOON
En5. EUREKA
W En1. ADORE
W En2. A GLEAM IN EYE


※激ロックマガジン12月号誌面に掲載のカメラマンクレジットに誤りがありました。
誤:Megumi Iritani
正:江隈麗志
読者および関係者の皆様にご迷惑をおかけしましたことを深くお詫びし、訂正させていただきます。
※記事初出時より掲載写真を一部取り下げました。

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