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LIVE REPORT

lynch.

2021.07.14 @LINE CUBE SHIBUYA

Writer 杉江 由紀 Photo by 江隈麗志

驚くべきことだが、実に14年も前に行ったとあるインタビューの席上でもリーダー 玲央(Gt)はすでにこの言葉を発していたのである。"lynch.は何をするにしてもそのときに最高のものを提示する、ということを常に前提として活動している"というふうに。

あれから長い時が経ち、lynch.は様々な紆余曲折を経ながらもついに15周年の節目を迎え、昨年にはまさにその時点での最高にして究極なlynch.の音を凝縮させたアルバム『ULTIMA』を発表するに至った。そして、本来ならコロナ禍の勃発さえなければ昨年はそれに伴ったツアーが行われるはずだったが......ここまで幾多の荒波を超えてきたlynch.がその程度のことでひるむことなどあるわけもない。

ある意味、満を持するかたちで今年5月10日のKT Zepp Yokohama公演からlynch.は"TOUR'21 -ULTIMA-"のライヴハウス・シリーズを開始し、途中には7月4日に昨年分の振替公演として開催された立川ステージガーデンでの"[XV]act:5 TOUR'20 -ULTIMA-"を挟みつつ、この7月14日に行われたLINE CUBE SHIBUYA以降の計3公演は"TOUR'21 -ULTIMA-"のホール・シリーズを敢行していくことになったのだ。

最新アルバムのタイトル・チューン「ULTIMA」から幕開けしたうえで、lynch.とlynch.を愛する人々にとっての鉄板ライヴ・チューンであると同時に覚悟と矜持の意思を詰め込んだ歌でもある「GALLOWS」が放たれたあと、アルバム『ULTIMA』の激熱リード曲「XERO」へと展開していくこのオープニング部分だけでも、もはや今宵のlynch.が完全なる優勝を収めることは確定済みになっていたと言えるだろう。

晁直(Dr)の叩き出す強靭で研ぎ澄まされたリズムがすこぶる映えていた「ALLERGIE」、悠介の紡ぎ出す繊細なギター・フレーズが深遠なる情景を生み出していた「ASTER」、玲央の繰り出す頼もしいギター・ワークが曲に躍動感を与えていた「BARRIER」、凶暴性が痛快にドライヴする音像の中で明徳のベース・プレイが炸裂した「MACHINE」などなど。アルバム『ULTIMA』に収録されている楽曲たちや、新旧の名曲たちが散りばめられたセトリを存分に堪能した末に、本編最後の「EUREKA」で葉月が魂のこもった歌を場内いっぱいに響かせた頃には、そこに居合わせた誰もが改めてlynch.の曇りなきライヴ・バンドぶりに感嘆させられることになったに違いない。

なお、今ツアーではアンコールで演奏する楽曲は各メンバーが持ち回り制で選曲を担当していたそうで、この日は葉月が「WALTZ」、「ALLIVE」、「JUDGEMENT」、「FAITH」、「EVOKE」の5曲をピックアップしていたことも付記しておきたいのだが、この場ではそのほかに同公演の模様が11月17日にBlu-rayとDVDとして映像作品化されることも発表されたのだった。

"最後に、お前らと俺たちの絆を歌います。俺らは絶対に「ここ」を守ってくから、みんなも俺たちについてきてください! 守ろうな、この場所を!!"

ここでダブル・アンコール曲として歌われたのは、ほかでもない「Adore」。まだインディーズ時代だった2008年にシングルとして世に出て以来、ずっと強く訴え続けられてきた"ここから現在が始まり 死ぬまで止まらないだろう/共に叫び謡う声のもとで"というメッセージの中に詰まっていたのは、lynch.の決してブレないアティテュードそのものだ。その時々での最高を追求し続けるlynch.の邁進は、誰にも止めることはできない。

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