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INTERVIEW

lynch.

2018.07.06UPDATE

2018年07月号掲載

lynch.

メンバー:葉月(Vo) 玲央(Gt) 悠介(Gt) 明徳(Ba) 晁直(Dr)

インタビュアー:杉江 由紀

-では、葉月さん。近年のlynch.は、様々な事態に見舞われてきました。しかし、今春には13周年を迎えましたし、その後こうして無事に完成した13thアルバム『Xlll』について、現状ではどのような見解と手応えを感じていらっしゃるのでしょう。

葉月:手応えね......ここに至るまでは、本当にいろいろとありすぎて(苦笑)。ひと言では収まらないですけど、とりあえず今は"やっと作り終えられた! 良かった!"というのが率直な気持ちです。このアルバムは、3月11日に幕張メッセでやった"lynch.13th ANNIVERSARY -Xlll GALLOWS- [THE FIVE BLACKEST CROWS]"が終わってから作り始めたんですよ。約3ヶ月で、よくここまで辿り着けたなと我ながら思いますね。

-すべての楽曲を3月11日以降に作られたのですか?

葉月:そうですよ。悠介君の曲だけは、それ以前からあった気がするけど。僕の曲は8曲あるうちの半分が僕の頭の中にだけあった状態で、それを幕張が終わってから具体的なかたちにしていくことになったんです。もう半分は先にできた曲たちのカラーを考慮しながら、パズルのピースを埋めていくように"もっとこういう曲もほしいな"とか"こういう曲もあった方がいい"という感じで作って揃えていきました。

-先ほどから、複数回キーワードとして出てきている90年代というファクター。それが最初に浮かび上がってきたのは、どのようなタイミングだったのでしょう?

葉月:僕が最初に「GROTESQUE」をバンドに提出したときですね。曲を作っている時点から"こりゃ面白れぇなぁ"って笑いながらやっていたし(笑)、イントロのリード・ギターとかも"たまんねぇな!"感が満載なんですよ。この感じの音を、今のlynch.でやったらどうなるんだろう? っていうところに興味があったし、実際にデモ作りをして試してみたらかっこ良かったんです。そこで"これはイケる!"となりまして、周りを見回してみても今それをやっている人はいないから、これはいいチャンスだしオイシイなと思ったんですよ(笑)。だから、「GROTESQUE」のデータをメンバーみんなに送った段階で90年代っていうキーワードはすでに言葉としてありました。

-エグいくらいにデフォルメを効かせたヴォーカリゼーションといい、あのヒステリック気味なギターの音色とフレーズといい、「GROTESQUE」から感じられる20年ほど前のインディーズV系シーンに対するオマージュを、今ここまでかっこ良く聴かせられるのはlynch.だけでしょう。

葉月:最高っすよね(笑)。とはいえ、これが僕のルーツそのもので、それがそのまま出てきたのか? というと、そんなこともないんですよ。感覚としては"あのころ、誰かがこんなことをやっていたような気はするけど、誰だったっけな"くらいのニュアンスで作ったものだから、「GROTESQUE」に関しては"あれをそのままやりました"ではなくて、"なんとなくこんな感じだったよね"というのを、曲として自分なりに起こしてみたんです。この時代にこれを投下する面白さはあると思いますよ。

-そして、アルバム全体を見わたせば90年代というキーワードだけではとても括り切れないほど、『Xlll』には多彩な楽曲たちが詰め込まれています。ちなみに、先ほど晁直さんが発言されていた"キャッチーになっている"という点。これは、メイン・コンポーザーである葉月さんからすると意図的にそう傾けたことになりますか? それとも、結果としてこのようなかたちになったということになりますか?

葉月:結果的にそうなったということですね。しかも、これでも減らしたんですよ。曲選考の段階では、今回AKがバラードを持ってきていて、"いいね、これやろうか"っていう話が出ていたんです。でも、それを入れちゃうとあまりに歌モノばっかりになってしまいそうだったので"やっぱごめん。今回はなし! また今度やろう"って、収録を見送ることになりましたから。なんでしょうね? 今回は、たぶんそういうキャッチーなものが生まれやすいモードだったのかもしれない。


聴いてもらったら、必ず"ズドン"と来るはずです


-理由がないことにこそ、より深い理由があるとも考えられそうですけれどね。

葉月:自覚的な理由は全然ないです。ないけど、僕としては、今回SE明けの実質的な1曲目である「THIRTEEN」で『Xlll』を始められるということが、とても嬉しいんですよ。もっと攻撃力や殺傷力が高い曲で、いきなり斬りつけにかからなくても成り立ったことに意味を感じるんです。インパクトだけを重視するならこれはできないことだし、ちょっと前のlynch.だったらできなかったことでもあると僕は思います。「THIRTEEN」って、結構普通な曲ですからね(笑)。

-普通どころか、十二分にかっこいい曲ですよ! おっしゃるとおり、これは殺傷力を強調する曲ではありませんが、高揚感に彩られた強い訴求力を持った楽曲だと感じます。

葉月:そこは、ここ数年にバンドとして積み上げてきたものとか、今のlynch.だからこそ持ち得る音としての説得力。それをかたちにできたということでしょうね。"やっと、この次元まで来られたんだな"という気持ちになりました。

-これは、lynch.の核=コアを感じる曲でもありますね。

葉月:そうですかね。コアと言うには、ちょっと大人しめじゃないです?

-いえ。刺々しさや猛々しさは抑えめだとしても、この大きく構えたスタンスで奏でられる「THIRTEEN」からは頼もしい貫禄と、このバンドの芯にあるものを感じます。

葉月:あぁ、その感じいいですねぇ。でも、そのぶんこのアルバムって"激ロック"然とはしていないんですよ(苦笑)。

-そこは、比較するなら過去のアルバムの方がより"激ロック"的ではあったかもしれません(笑)。とはいえ、アグレッシヴなロックが好きな方たちからしても、すべてがただ速ければいい、ただ歪んでいればいい、ということでもないと思うのですけれどね。

葉月:うん。聴いてもらったら、必ず"ズドン"と来るはずです。

玲央:lynch.はライヴでも最初はしっかりと聴かせるところから始めて、どんどん聴き手を巻き込んでいきながら、最終的には"すごかったね"と感じてもらえるようパフォーマンスをしている自信がありますしね。『Xlll』は、その自信をここにきて作品として表すことができたものだと言えます。