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LIVE REPORT

Ibutsu kon'nyū supported by 激ロック

2022.06.03 @新宿BLAZE

Writer 吉羽 さおり Photo by ササキアミ

"激ロック"がサポートするライヴ・イベント"Ibutsu kon'nyū supported by 激ロック"の第1回が6月3日、新宿BLAZEで開催された。出演は、神使轟く、激情の如く。、ナノ、EGG BRAINの3組と、DJをムラオカ&TATSUYA(激ロック)が務めた。"Ibutsu kon'nyū"、異物混入というイベント名どおり、ジャンルや形態も様々な、普段はあまりない組み合わせの3組で、それぞれのファンは初めて観るバンド、アーティストもいるだろう。結果から言えば、イベントを通して盛り上がり、異物同士の掛け算を楽しむ夜になった。

まずステージに立ったのは、今年結成15周年を迎えた神戸発の3ピース、EGG BRAIN。1曲目「SEVENTEEN」からフロアに手拍子を起こし、キャッチーで痛快なメロディック・チューンを連投して、その手拍子をジャンプに変える。JOEY(Vo/Gt)は"本日の異物、EGG BRAINです。よろしく"と声を上げ、自分たちはこれまでジャンル関係なく対バンをしてきたバンドだと言って、この空間を自分たちの主戦場にしていく。(この日はリリース前だった)最新ミニ・アルバム『EVERLASTING』から「Always Summer」を披露し、続く「GiveÜ Chips!」ではKUN(Ba/Vo)とUchie(Dr)のファットなビートが冴える強力なパーティー・ロックで観客を躍らせた。"いっぱい(全国ツアー"Thanxxx We Are Fifteen TOUR"で)回るので、また遊ぼうや"と言うJOEYに、観客は拍手や拳で応える。終盤はさらに怒濤の勢いで「MUZIC」、「VITAMIN」とスピードを上げると、観客のステップも勢いを増す。「World」のシンガロングにさらに拳が高く突き上げられて、一体となった会場にブライトなメロディが響く。どこまでも爽快なステージだ。

続くアクトの転換の時間を担うのはDJ ムラオカ。EGG BRAINで心も身体もほぐれた観客のノリも抜群だが、そこにさらにアッパーな曲を次々に投下してパーティー・モードが常にオンな状態に。コロナ禍でライヴの現場は厳しい制限が設けられてきたが、その制限も徐々に緩和されつつある現在。この空間には、もっとライヴを楽しもう、イベントを楽しみたいというポジティヴな開放感を感じる。

続いての登場は、日米バイリンガルのシンガーで国内外に幅広くファンを持つナノ。ドラム、ベース、ギターのバンド・メンバーが位置につき、拍手のなかでナノが登場。「Nevereverland」のピアノのイントロが静かに流れると、ピンスポットのもとナノが歌い始める。ジェントルなヴォーカルから徐々にボリュームを増して、アグレッシヴなバンド・サウンドが重なるとフロアの興奮が一気に上がった。ナノといえば、その曲名にもあるマジェンタ・カラーのペンライトがフロアに灯っている。コロナ禍でオンラインでのライヴが多かったナノ。それだけに生のライヴを心待ちにしていたナノ友(ファンの名称)がたくさんいたことを物語る。

そしてスピード感溢れる「No pain, No game」で観客すべてを巻き込むパワーを放ち、続く「Scarlet Story」をドラマ性たっぷりに届けた。タイトなバンド・アンサンブルと、英語、日本語の歌詞で表情豊かに、また力強く放たれるヴォーカルは、初めてナノに触れる人もグッと引き寄せる。「ウツシヨノユメ」ではサビの最後の振付をレクチャーするなど、キャッチーさや茶目っ気も忘れない。"今日はお客さんのパワーを感じられる。ここに立てて嬉しい"とライヴハウスの空気を存分に吸い込み、"好きなアーティストのライヴに行ってください。それがアーティストの活動のモチベーションになります"と言い、この日のラストにプレイしたのはナノの始まりの曲「magenta」。マジェンタ・カラーに、神激(神使轟く、激情の如く。)ファンのカラフルなペンライトも混ざり合って、会場には興奮と多幸感とが満ちた。

この日のステージを締めくくるのは、今年3月に日本武道館単独公演"宣戦布告"を開催し、さらなるステージへと驀進するパワフルな姿を見せた神使轟く、激情の如く。の7人。"ここにいる人、全員がそれぞれに違う異物。違うもの同士を混ぜていこう"という言葉から、「神奏曲:インフェルノ」でスタートしたライヴは、怒濤のひと言。クリーン×3、ラップ、スクリーム、シャウトのヴォーカルが矢継ぎ早に繰り出されブラストビートをさらに加速して、会場を容赦ないラウドなサウンドで埋め尽くす。

武道館公演というひとつの目標地点に立ち、そこで見る景色を味わった経験値は大きなものだったのだろう。ライヴだからこその迫力や熱量を全身で伝えるステージだ。初のライヴ体験がナノだというメンバー、そしてEGG BRAINと同じく神戸出身のメンバーもいて共演が心底楽しみだったという。その両者へのリスペクトを最大限に表するように、「自己都合主義メタモルフォーゼ」、「合法トリップ:ボイルハザード」とカオティックな曲でフロアのボルテージを上げ、ツーステを巻き起こし、ガンガン温度を高めていった。また、激しい展開のある曲の中で「生まれ変わっても自分になりたい」のストレートさがアンセミックに、「夏声蝉時雨」はエモさも響かせる。

後半もハイカロリーな曲が続き迎えたラストは「神奏曲:ライトニング」。出演した3組も、集まった観客もひとりひとりが違った異物であり、それがこうしてひとつになれたことに意味がある。神激のリーダー 実久里ことのは、最後にそう語った。それが"Ibutsu kon'nyū supported by 激ロック"が持つ真の意味合いだ。そして渾身のパフォーマンスで、ライヴを締めくくった。


[EGG BRAIN Setlist]
1. SEVENTEEN
2. Start From Scratch
3. ROLLER COASTER
4. Always Summer
5. GiveÜ Chips!
6. THE APRIL SONG
7. MUZIC
8. VITAMIN
9. World

[ナノ Setlist]
1. Nevereverland
2. No pain, No game
3. Scarlet Story
4. SAVIOR OF SONG
5. DREAMCATCHER
6. ウツシヨノユメ
7. Now or Never
8. magenta

[神使轟く、激情の如く。 Setlist]
1. 神奏曲:インフェルノ
2. 自己都合主義メタモルフォーゼ
3. 合法トリップ:ボイルハザード
4. 生まれ変わっても自分になりたい
5. 夏声蝉時雨
6. BAD CAKE
7. 不器用HERO
8. 神奏曲:ライトニング

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