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LIVE REPORT

神使轟く、激情の如く。

2023.05.28 @幕張メッセ 国際展示場 展示ホール8

Writer : 宮﨑 大樹 Photo by Yuto Fukada

昨年2022年に日本武道館公演を成功させた"神激"こと"神使轟く、激情の如く。"。彼女たちが次なる挑戦として掲げ、邁進してきた場所が幕張メッセだ。日本武道館公演には"宣戦布告"というタイトルを冠していたが、幕張メッセ公演に名付けられたのは"GOD MAKE ERA"。"宣戦布告"をした彼女たちが、新たな時代の幕開けを宣言すべく幕張メッセに立った。

SEが流れると、メンバー紹介の映像に合わせて彼女たちはひとりずつステージに登場していく。1曲目は「神奏曲:ライトニング」。先述の日本武道館公演に向けた大きな壁として制作された、神激にとって最高難易度の楽曲だ。それをあえて1曲目に据え、過去の限界を超えていく意志を示す。涙染あまねの邪悪なスクリーム、三笠エヴァの切れ味のあるシャウト、二日よいこのテクニカルで雰囲気のあるラップ、そして実久里ことの、生牡蠣いもこ、TiNAの3人による個性的なクリーン・ヴォーカル。それらが交差していく様は神激のライヴの真骨頂。日本武道館公演当時よりも、さらに楽曲を自分たちのものにした姿を見せることで、最高の形でスタート・ダッシュを切った。

二日よいこが"うちらだけの遊び場へようこそ! 今日は世界で一番幸せになっちゃっていいと思うんですけど、どうですか!?" と話し、「EGO PARADISE」、「神奏曲:テンペスト」、「神奏曲:アブソルートゼロ」と畳み掛けていく。超展開を見せる楽曲に合わせてクラップやジャンプがフロアで発生し、さらに"ワンパンチ"、"昇竜拳"などの特徴的な振付を繰り出していくことで、神激と神者(※ファン)が一体になって会場の熱量をぐんぐん上げていった。花道を歩いて披露した「自己都合主義メタモルフォーゼ」では恒例の"神激万歳!"のコールが起きるが、生牡蠣いもこが"ちょっと待って!"と音を止めさせる。どうやら神者のコールが小さいため、魔王(三笠エヴァ)がお怒りの様子。"もっともっと腹から声出せ!"と煽り、大歓声のコールを引き出した。続く「夏声蝉時雨」ではサークルが発生。序盤からまったく勢いを損なわず、感情剝き出しのパフォーマンスで前半戦を駆け抜けていった。

中盤のMCでは"幕張メッセで全身タイツが着たい"という生牡蠣いもこの希望を叶える条件として、TikTokフォロワーの10万人突破が設定されていたこと、そしてその条件を残念ながら達成できなかったことに触れ、これに拗ねた生牡蠣いもこがステージからはけてしまうひと幕も。生牡蠣いもこ不在のなか「さよならネガティブ」のパフォーマンスが始まったのだが、間奏で全身タイツ姿になった彼女が乱入し笑いが起きる。本格派の音楽、本物のパフォーマンスが魅力の神激だからこそ、こういった笑いを挟む"抜き"が新鮮だし、効果的に映る瞬間だった。そんな中盤戦は「風Zing!雷Zing!」、「オキシバギー」と続けていき、MCでいったんクールダウンを挟んで「BAD CAKE」から再び後半戦へ向けて走り出していく。「不器用HERO」、「暁光センチメンタル」、「神奏曲:インフェルノ」と攻め続けていくのだが、そのすべてがA面的というか、全曲がキャッチーで主役級の存在感を放っているところはさすがだ。

三笠エヴァは"このライヴハウス 幕張メッセという場所で、もっともっとお前らとの思い出を作って帰りたい。脳のキャパがオーバーするくらい、お前らの声を、お前らの熱を、お前らの顔を、もっともっと見せてほしいと思うんですけど、まだいけますか!?"と、張り裂けそうな声で目の前の神者に向けて語り掛ける。そんな彼女の想いに触発された神者の声にはさらに熱が入り「ワールドブレイカー」、「合法トリップ:ボイルハザード」で続けて踊り狂っていった。

ライヴはいよいよ後半戦へ。ここで生牡蠣いもこは、昨年の10月に亡くなった母への想いを語る。言葉を紡ぐにつれて、彼女の苦しみと悲しみが溢れ出すなか、母からの言葉を思い出し、歯を食いしばりながら"それでも今ここで立っているのは、立ち上がれたのは、君がいてくれたからです"と目の前の神者たちへ感謝を伝えた。そうして最新曲の「黎明ジャンヌダルク」から「生まれ変わっても自分になりたい」とパフォーマンスしていき、感情が迸るエモーショナルな歌唱を届けていった。

クライマックスに向けてMCでマイクを取ったのはリーダーの実久里ことの。こうしてステージに立つなんて思ってもみなかったという学生時代を振り返りつつ、"もし君がいつか君自身の人生をどうこうしたい、そう願ったときに、泥臭いやつらがいたなって思い出してくれたら、それだけでここに立った意味があるんだよ! だから最後までただ泥臭く叫ばせてください!"と想いを伝え、神激の始まりの歌「宣戦布告」を投下。最後は「Supernova」で完全燃焼してステージを締めくくった。

彼女たちのMCとパフォーマンスを振り返ってみると、どんなに会場が大きくなっても徹頭徹尾1対1での対話、パフォーマンスをしている姿が印象的だった。

この日、神激は主催フェス"GOD FEST.2023"を9月に、そしてZeppツアーを来年2024年に開催することを発表した。幕張メッセはあくまで彼女たちの通過点。彼女たちが築き上げた時代は始まったばかりだ。神激と"君"の物語はまだまだ続く。


[Setlist]
1. 神奏曲:ライトニング
2. EGO PARADISE
3. 神奏曲:テンペスト
4. 神奏曲:アブソルートゼロ
5. 自己都合主義メタモルフォーゼ
6. 夏声蝉時雨
7. さよならネガティブ
8. 風Zing!雷Zing!
9. オキシバギー
10. BAD CAKE
11. 不器用HERO
12. 暁光センチメンタル
13. 神奏曲:インフェルノ
14. ワールドブレイカー
15. 合法トリップ:ボイルハザード
16. 黎明ジャンヌダルク
17. 生まれ変わっても自分になりたい
18. 宣戦布告
19. Supernova

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