INTERVIEW
神使轟く、激情の如く。× 明希(シド)
2023.01.11UPDATE
2023年01月号掲載
"神激"こと"神使轟く、激情の如く。"がアーティストを招いて座談会を開催する連載企画に、今年2023年に結成20周年イヤーがスタートしたシドの明希が参加してくれた。神激の日本武道館公演にも足を運んでいたという明希の目に、彼女たちはどう映ったのか。神激が、アーティストとして、人間として多くの学びを得た時間になった座談会の模様をお届けする。
神使轟く、激情の如く。:実久里ことの 生牡蠣いもこ 涙染あまね 三笠エヴァ 二日よいこ TiNA
シド:明希(Ba)
Interviewer:宮﨑 大樹 Photographer:Kanda Yukiya
-神激と明希さんは武瑠さんの15周年イベント("武瑠 15TH ANNIVERSARY STREET GOTHIC FES")でニアミスしていますよね?
明希:その前に、後輩が神激の曲を書いていたので、武道館("宣戦布告")に誘っていただいたんですよ。アイドルって呼んでいいのかわからないですけど、そういう人たちはあんまり観たことがなかったので、イメージと違うところにあったのがビックリしたんです。サウンドがものすごくヘヴィだし、歌も僕が思っているアイドル像とはかけ離れた歌詞とかメロディとかだったので、こういうスタイルで武道館に立てるのはすごいなぁと思いましたね。サウンドが刺々しいというか攻撃的というか、バンドに通ずるものもあるのかなと思いながら観させていただきました。
神激一同:ありがとうございます!
エヴァ:めちゃくちゃ嬉しいです。私たちってアイドルというカテゴライズでもないし、かと言ってバンドでもないし、自分たちのジャンル分けでどうしようかなと思っていたときがあって。それでもライヴだったり音楽性だったりで、アイドルとは一線を画すことをやっている自覚はあるので、自分たちは神激を表す造語として"バンドユニット"と名乗らせていただいているんです。そういうところを武道館のライヴを観て感じていただけたのが、すごく嬉しく思っています。
-明希さんはバンドマンでありソロ・アーティストでもあり、コンポーザーとしても活躍されているので、神激の音楽がどう映ったのかもう少し詳しく聞いてみたいです。
明希:サウンドでいうとデジタルなんだけど、内容で見るとわりとメタルなのかなという印象があって。バンド・サウンドなんだけどバンドレスというか、そういう世界の中でメタルをこういうふうに消化するんだなと。新しい感性、若い感性というか、僕らが聴いていたメタルみたいなものを、今の若い子が解釈するとこうなるのかなって。ストレートに行かないところが面白いですよね。違うもの、突拍子もないものを持ってきて消化するというのは、すごく勉強になります。
-個人的に興味深いなと思ったことがあって。SNSを見てみると、神激とシドでリスナーが少し被っているようなんですよ。
エヴァ:テンポ・チェンジとかいろいろあるなかでも、絶対にサビがキャッチーというのが神激の曲のこだわりにあって。それってシドさんの曲だったり明希さんの曲だったりでも共通していると思ったんです。1回聴いたらサビを口ずさめる曲が多いじゃないですか? 私たちはそれを意識して曲作りしているんですけど、明希さんが意識して曲作りしていることがあればぜひおうかがいしたいです。
明希:昔と今とだいぶ違うんですけど、自分を表すようなものに重きを置いていた時代があって。"ロックじゃないと絶対ダメだ"みたいな、サウンド感も含めてそう思っていたんです。そういう気持ちがありつつ、デジタルだろうが生バンドだろうがソロ・シンガーだろうが、どのジャンルを聴いても、メロディがあるのが自分は好きなんだなと思って。そのメロディがあるものがポップスだとしたら、ロックってものすごくポップなものじゃないのかなと感じたことがあったんです。そういうふうに考えたときに、ポップだろうがロックだろうが、演歌だろうが歌謡曲だろうが、ジャンルを気にしているうちはまだまだ甘いなっていうのを気づく瞬間がどこかであって。自分を投影するばかりが能じゃないというか、何をやってもシドになるとか、どんなベースを弾いても明希のベースであるというところが、これから自分のやっていくべき壊す壁なのかなと思っています。あまりにポップな曲ができたときは、"これを出していいのかな?"とかちょっと思っていたんだけど、そんな壁を壊して、もっと自分らしさを入れて納得するものを作れば、それってまた新しいロックであり、ポップスであり、音楽なんじゃないのかなと。どんな曲がきたって、どんな曲を生み出したって、自分なりに消化してしまえば、それで問題ないというか。凝り固まってるうちはまだまだ修行するべきものがあるのかなって。壁を気にせず曲を作るようになってからは楽しいし、悩みもないですね。
エヴァ:ロックらしさとかよりも、明希さんらしさを追求していらっしゃるんですね。めっちゃカッコいいなと思いました。
明希:向かうべきは自分の内面であり、何かと比べて音楽を作るというのはなんか違うのかなって。
よいこ:"THEロック"の場所から積み上げてきたからこそ、ロックの壁を壊す、自分らしさを取り入れていくという話があったと思うんですけど、神激はそれぞれ出身がバラバラすぎたので、もとからいろんなものを取り入れようみたいな形でジャズが入っていたり、ちょっとかわいらしいアニメ声のところが入っていたりして。いろんなものを取り入れて自分らしさを出していきたい、というところに辿り着いたのは、見つけ方は違っても似ているなと思いました。
明希:そうですよね。逆に聞きたいのは、僕らは違う楽器をやっている集まりだけど、例えばみんなは歌だったり踊りだったり、いろんなことをやりますよね? 歌という同じ楽器をやっている人たちが集まったときの、みんなの答えの出し方はそれぞれにあったりするんですか?
エヴァ:実は、歌をみんなでやってるという感覚がそんなになくて。ベースがいてギターがいてという感じで、ラップがいてシャウトがいてデスボがいて、クリーン3人もそれぞれ違う歌い方で、自分と同じパートをやっている人はいない認識ですね。だからこそできることも多いというか。
TiNA:普通のアイドルさんだと、全員でユニゾンするイメージがあると思うんですけど、神激にはそういうのがなくて。ひとりひとりがバンドでいうギター・ソロやベース・ソロを繋いでいく感じで、見せどころが連なって1曲が完成する感じなんです。なので、神激はまた特殊な形ですね。
いもこ:作曲の時点で自分に合ったパートを作ってくださるので、それを貰って自分らしさを出しながら歌っている感じですね。
-それが"バンドユニット"なんでしょうね。
明希:なるほど。わかりやすいですね。
-ここからは神激メンバーからの質問を聞いていきたいと思います。
よいこ:自分たちは最近やっとマイマイクを買って、機材ってこういう値段がして、愛着を湧かしていくんだなと思ったんです。歴が長くなればなるほど、いろんなものを買ったりすると思うんですけど、今までで買った一番高い機材や思い出のある機材はなんですか?
明希:高い機材はベースですね。それなりにするのかな。車が買えそうな気がしますけど(笑)。30過ぎくらいにそれを2本買ったんですよ。フェンダーのオールドのやつ。思い入れのあるものというと、アマチュアからずっと使ってる機材がありますね。SansAmpという定番のベースのエフェクターがあるんですけど、それは昔から使っています。高校生ぐらいのときに買った初期のSansAmpを改造して、メイン・ボードで使っているんですけど、同じものを買おうと思っても、その当時と同じものはなくて。
よいこ:ありがとうございます。私たちも車くらいのマイクが買えるように頑張りたいです(笑)。