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INTERVIEW

涙染あまね(神使轟く、激情の如く。)

2022.06.13UPDATE

2022年06月号掲載

涙染あまね(神使轟く、激情の如く。)

メンバー:涙染あまね GODちゃん

インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by fukumaru

激ロックにて連載がスタートした神激(神使轟く、激情の如く。)の個別インタビュー企画。その第2回目に登場するのは、神激のスクリーム担当として存在感を放つ涙染あまねだ。これまでの取材では、寡黙でミステリアスなイメージのあった彼女だが、今回はソロ・インタビューだからこそ、彼女の内面にまで深く切り込んでいくことができた気がする。今回もマニピュレーターのGODちゃんを交えて話を訊いた。


ポエトリーのMCと、真反対のスクリームという武器を手に入れたら、最強になれる


-メンバーと一緒にインタビューを受けるときとは緊張感が違いますか?

あまね:いつもと違うどころじゃなくて、本当に手汗が止まらないです(笑)。自分、もともと人と話すこととか、思ってることを口に出すことがメンバーの中で一番苦手だと思っていて。それはメンバーもわかっているので、昨日はみんなから"頑張ってこいよ"と激励を貰って来ました(笑)。

-人見知りなんですよね?

あまね:メンバー1の人見知りです。もともと話すことが苦手というか、思っていることは頭にあるんですけど、パっと口に出すことがすごく苦手で。あとは、神激に入るずっと前の話なんですけど、学生のころにいじめられていた時期がありまして。自分が何かを発しても全否定され続ける学生時代を過ごして、"何も発さないほうがいいのかな"とか、"自分が言っても何も変わらないのかな"と思い続けて、何も言えなくなったんです。でも最近は、そういう感情とかを叫びに変えて発散できるようになったので、スクリームはすごく自分に合っているなと思います。

-そういう学生時代を経験したあとに表現の世界に入っていくのはかなりの冒険ですよね。

あまね:音楽関係のことを始めようと思ったのは、いじめられていたときの恨みというか、"見返してやろう"とか、そういうふうに自分を変えたい気持ちがあって。あと、そのときにちょうどとあるアーティストさんのMVを観て、すごく元気づけられたんです。"マイナスからスタートしてやるぜぇ"みたいな感じで。その内容にすごく心を打たれて、"自分も何かを始めることで誰かを元気づけられたら"とか、"誰かの何か力になれたらいいなぁ"と思って始めました。まぁでも、どちらかというと恨みのほうが大きかったですね(笑)。

-反骨心からスタートしたものの、今はモチベーションも変わってきているんじゃないですか?

あまね:そうですね。昔は恨みとかが大きかったんですけど、今ではこうやって自分が神激でやっていけているのも、昔いじめてきた人たち(の存在)があったからだと思っていて。"ありがとね"という気持ちに変わっていきました。

-強いですね。神激で人生が変わった。

あまね:はい。先日武道館公演("宣戦布告")をやったときに、学生のころの友達とか、家族とかも来てくれて。そのときに"思ってたあまねと違う、見違えたね"と言ってもらえました。

-たしか神激に入る前は別のグループにいたんですよね。そのときは、どういうグループだったんですか?

あまね:今とはまったく別の、いわゆる王道アイドルみたいな感じでした。

-それから神激を観て衝撃を受けたと。

あまね:そうですね。「宣戦布告」(2017年リリースの1stシングル)がすごく印象に残っています。ライヴ中にステージから降りて、サークルを作って"サークルに入れ入れ!"と煽って、そこで熱いMCをしていて。自分の中のアイドルの概念って、ニコニコ歌っているとか、笑顔を振りまくかわいいイメージだったんですけど、そこから覆されましたね。前のグループの活動が終わって、そこからお話をいただいて、"やってやるぜぇ"という気持ちで入りました。

-神激に入ったときのことって、まだ覚えていますか?

あまね:入ったばかりのときに、「宣戦布告」のMCを自分もやろうと思って始めたんですけど、最初のころは"頑張ろう、頑張ろう。自分の思っていることを話そう!"というのでいっぱいいっぱいで。"トマトって日焼け止め効果もあるんだぜ"みたいな、よくわからないMCばかりしていました(笑)。そこから、熱く語るんじゃなくて、自分の世界観をどんどん出していくMCに変えていこうと思って、どんどん考えが変わっていきましたね。

-あまねさんは、神激で最年少ですよね? ステージに上がるときの気持ちの面では、最初は先輩メンバーについていこうみたいな気持ちがあったんですか?

あまね:そうですね。最初は"ここはこう動かなきゃ"とか、"これを忘れないようにしなきゃ"とかで頭がいっぱいでした。ステージを観ていた人から"ヤバかったよ。めっちゃ遠い目をしてたよ"と言われたことがあって。それくらい、ついていくのにいっぱいいっぱいでしたね。でも今は、逆に自分が引っ張って行かなきゃという気持ちに変わりました。

-気持ちが変化したきっかけはあるんですか?

あまね:きっかけはやっぱり、よいこ(二日よいこ)とTiNAが入ったことですかね。自分が先輩になるんだぞという、そういう気持ちが生まれて。で、豊洲PITかな? そのワンマン・ライヴのときに、よいこが最初に出て"どもっちゃった"みたいな感じで、時が止まったことがあるんです。そのあとの「残響カタストロフィー」(2018年リリースの1stアルバム『月影フィロソフィア』収録)という曲で、"自分がカバーしないと"って、空気を変えたい気持ちが咄嗟に出てきたんですよ。そこで言葉を発したのが、自分の中で変わったポイントでしたね。

-後輩が入ってきて、引っ張っていく気持ちが芽生えたんですね。神激に入って自分が変わったなと思うところは、他にもありますか?

あまね:一番変わったのはスクリームを始めてからですかね。スクリームを始めることによって、ライヴへの見方とか考え方とか、学ぶところもすごい変わりましたし、自分の新しい武器を見つけて、そこに一点集中することができるようになったのが変わったポイントです。

-スクリームは途中から任されるようになったわけですけど、最初はプレッシャーを感じなかったですか?

あまね:スクリームを始めたきっかけは、ライヴで自分が煽っていた声がスクリームっぽく聞こえたことだったんです。"スクリームをやってみないか"とお話をいただいたときは、"おぉ、スクリームをやるのか"という気持ちになりましたけど、ポエトリーのMCと、真反対のスクリームという武器を手に入れたら、最強になれるんじゃね? って、そういうワクワクがありました。

-加入当初は、あまねさんにスクリームを担当させる構想はなかったのではないかと思いますが、スクリームを担当させるうえで決め手になったことや、考え、狙いなどはありましたか?

GODちゃん:今のエグいスクリームから考えるとまったく想像できないと思うのですが、最初は裏声でしか歌えないレベルに発声できなかったんですけど、加入して1年くらいするとボイトレやレコーディングを重ねていくうちに地声で歌えるようになり、音域も広がってきました。毎回レコーディングでは可能性を引き出すためにいろいろやらせるのですが、抑揚をつけさせるためにがなって歌わせることを覚えさせたんですけど、本人的にその発声がしっくりきたのか、ライヴでもどんどんやるようになってきまして、ライヴの煽りとかでもカッコいいシャウト煽りをするようになってきたんです。なので、本格的にスクリームをやらせてみようと、いろんなメタルコア・バンドの音源や動画をひたすら送りつけました。それがきっかけですかね。

-あまねさんのスクリームは、ライヴで観るたびにパワーが上がってるし、いろんな技術も身につけていますよね。

GODちゃん:成長スピードに関しては、ずっと練習してるしストイックなので、裏での努力を知っているぶん、当たり前にすら感じます。もちろん才能もありましたが、それくらい努力をしているので。先ほど言ったように、毎回新曲を出すたびに新しい挑戦をさせて少しずつハードルを上げているのですが、毎回それを上回る完成度でレコーディングを迎えますので、毎回驚かされています。

あまね:技術面に関しては、バンドさんを呼んで対バンする"LEGIT"という企画があるんですけど、その影響が大きくて。中でも一番影響を受けたのがリベリオン(a crowd of rebellion)さんとの対バンでした。そのときの自分のスクリームの概念って、場を盛り上げるとか、カッコいいというもので。でも、リベリオンさんの「coelacanth」という曲を聴いたときに、叙情的なスクリームというんですかね? 寂しげ、悲しげなスクリームを初めて聴いて、それが衝撃でした。"スクリームにはこんな顔もあるんだ"って、自分のスクリームの幅を広げてくださったバンドさんですね。それと、気持ちの面ではヒスパニ(ヒステリックパニック)さんとツーマンをしたときに、ライヴで"ジャンルとか関係なしにボコボコにします!"と言ってくださって。バンドとかアイドルとか関係なしに、同じ土俵に上げてくださったのがすごく嬉しかったんです。自分も負けずにスクリームで闘おうという決意が固まって、そこから技術面が上がっていった気がします。

-"LEGIT"がいい刺激になったんですね。

あまね:すごくいい刺激になりました。リベリオンさんと対バンしたときに、楽屋で携帯のメモを開きながら、"どうしたらこんな声が出せますか?"とか、"どうしたらここまできれいにロング・トーンを伸ばせますか?"とか、"喉のケアの仕方を教えてください!"とか、ずっと付きっ切りでいろいろ聞いていました。

-師匠みたいな感じですね。

あまね:そうなんですよ。勝手に師匠と呼んでいるんですけど、ちょっと嫌がられています(笑)。でも、照れ隠しなんだと信じていますね(笑)。

-叙情的なスクリームでいえば、あまねさんは「神奏曲:ライトニング」(2021年12月リリースの21thシングル)でそれをやっていますよね。

あまね:そうですね。リベリオンさんでスクリームの新しい一面を知って、そこから「神奏曲:ライトニング」での三笠(三笠エヴァ)との掛け合いのスクリームに繋がった感じです。

-あそこは曲の中でも大きな見せ場のひとつですよね。

あまね:想いを込めてスクリームしているんですけど、初めて「神奏曲:ライトニング」をやったときに、フロアの目の前にいた人が突然涙を流してくれたんです。そのあとに物販で話しているときに"すごく感動した! スクリームで泣けるってすごいね"と言ってもらえたのが嬉しかったのを覚えています。

-スクリームをするときに心掛けていることはありますか?

あまね:心掛けているのは、自分を人間だと思わないことです。人間だと思ってしまうと、自分の中で限られた音しか出せない気がしていて。スクリームの練習をするときは、YouTubeに上がっているスクリーム講座とかよりも、出したい音に似た音の出るものとかを動画で観ています。例えばピッグスクイールだったら豚の鳴き声とか、吸いのグロウルだったら掃除機の音とか。そういうのを聴いて練習するようにしています。でも、どうなんですかね......この練習法は(笑)。なので、ライヴ中の自分は人間ではない、「神奏曲:インフェルノ」(2021年7月リリースの19thシングル)でピッグスクイールを出すときは、"私は豚だ"と思いながらやるようにしています。考え方を変えるだけでスクリームがすごく変わりました。

-そうすることでリミッターが外れるんですかね。

あまね:そうかもしれません。剣道をするときって(※涙染あまねの特技は剣道)、面を被るとスイッチが入るとか言うじゃないですか? それと一緒で、自分もそう考えることで、自分の中のスクリームのスイッチが入っていろんな音を出せるようになるんです。

-あまねさんって、話しているときの雰囲気とライヴ中の雰囲気が全然違うので、どこでスイッチが入っているのかと不思議だったんですけど、まさにそういうところなんですね。

あまね:そういうことです。あとは、骸骨マイクを持つことによってスイッチが変わるというのもありますね。

-考えてみたら、剣道も"叫び"ますよね。

あまね:そうなんですよ。ほかのメンバーは、がなり声とかダミ声とかを出すと喉が痛くなるとか、喉がダメになるとか言うんですけど、自分はスクリームを始める前からダミ声とかをよく出していて。それでも喉を傷めないということは、剣道で年がら年中叫んでたからなのかなと思っています。ライヴで叫んでいても今のところ喉が壊れていないので、剣道の練習の成果があったのかもしれないです。

-剣道って、強い人ほど、それこそ人とは思えない声を出すじゃないですか。

あまね:わかります。"ぎゃぁー"みたいな声を出しますよね。自分もそっち派だったんですよ。奇声みたいな声を年がら年中ずっと出してきたので、繋がった! と思って。

-繋がりましたね。あまねさんのスクリームの技術って今やシーンの第一線というか、かなりの高みまで行ったと思っているんですよ。

あまね:ありがとうございます。やっぱりバンド対バンとかでいろんな刺激を貰って、積み重ねてできたことだと思うので、本当にいろんな人に感謝です。さらに上の技術もそうですし、「神奏曲:ガイア」(2021年2月リリースの17thシングル)の中で無音ブレイクダウンという、無音になって自分がスクリームを発してそこから落ちる演出があるんですけど、そういう演出面でも挑戦していきたいなと思っています。