INTERVIEW
神使轟く、激情の如く。× SILENT SIREN
2021.03.10UPDATE
2021年03月号掲載
"神激"こと"神使轟く、激情の如く。"がアーティストを招いて座談会を開催する企画を激ロックで連載中。その第6回目に、SILENT SIRENからすぅ、あいにゃんが参加してくれた。今回は、この企画初の女性のみでの座談会。話を進めていくほどに、お互いがお互いをリスペクトし、相思相愛になっていくことを肌で感じた時間になった。
神使轟く、激情の如く。:実久里ことの 生牡蠣いもこ 三笠エヴァ 二日よいこ
SILENT SIREN:すぅ(Vo/Gt) あいにゃん(Ba)
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by うつみさな
-神激(神使轟く、激情の如く。)にはバンド/楽器経験者が何名かいますけど、特に、よいこさんは、サイサイ(SILENT SIREN)に憧れてガールズ・バンドを組みたいと思っていたそうで。
すぅ&あいにゃん:えー!
よいこ:2016年の"骸骨祭り"("SKULLSHIT 20th ANNIVERSARY 骸骨祭り")のときに初めて生で観させてもらったんですけど、すぅちゃんがピンクのボブだったじゃないですか? それで、美容院に行って同じ髪型にしてもらってました。
すぅ:嬉しい!
よいこ:それまで、ロック・フェスは男の人がブイブイ言わせてるイメージだったんですけど、サイサイさんが女の子でかわいい且つガンガンにバンドしているのがすごくカッコいいなと。ステージに立ちたいと思ったきっかけだったので、今日はすごく嬉しいです。
すぅ:ありがとうございます。もう(座談会が)満足なくらい(笑)。
-よいこさんは、サイサイで特に思い入れのある曲はありますか?
よいこ:軽音部だったんですけど、「チェリボム」(2016年リリースのメジャー4thアルバム『S』収録曲)を流してみんなでずっと踊ってましたね。
あいにゃん:軽音部ではなんの楽器を?
よいこ:ドラムです。その時期は、どうやったらサイサイさんみたいになれるんだろうと思って、結成された経緯とかめっちゃ調べてました。
あいにゃん:ありがたいです。
-サイサイはガールズ・バンドのシーンを象徴する存在ですけど、そんなふたりから見たアイドル・シーンはどのように映っていますか?
すぅ:もともとアイドルというジャンルに全然詳しくなくて、子供のころからほぼ聴いてこなかったんです。だけどメジャー・デビューするタイミングでキーボードがメンバー・チェンジして、新しく入った子がアイドル好きで。それでアイドルの曲も聴くようになったりとか、対バンさせてもらったりとか、楽曲を提供させていただくにあたって勉強したら、アイドルってめっちゃカッコいいなと思いました。何かに向かって負けない力で、しかも女の子が激しく歌って踊っているのが、儚くてカッコいいみたいな。令和になって、今はいろんなジャンルのアイドルがいるので、それもすごく勉強になるし、めちゃくちゃ刺激を貰っていて。神激さんは渋谷でアドトラックを見て、そのときに調べたんです。だけど最初は読めなくて(笑)。読めないし、覚えるまでにトラックが行っちゃったので、"神 轟く"みたいな感じで調べたら出てきて、それでチェックしてました。
-あいにゃんさんは、どうですか?
あいにゃん:私も学生時代からずっとバンドをやっていたので詳しくはなかったんですけど、妹がアイドル活動をしていたことがあって。だから身近というか、尊敬もしているし、元気を貰う存在だなと思っています。今回、初めて(神激の)ミュージック・ビデオを観させていただいたんですけど、めちゃくちゃカッコ良くて、最初"アイドル!? どのジャンルなんだろう?"と思うくらい、すごくいい意味でびっくりしました。
-ミュージック・ビデオを観ていただいたんですね。
あいにゃん:観ました、最新のやつ(2021年2月公開の「神奏曲:ガイア」)! 浅草で撮ったのかな?
すぅ:めっちゃかわいかった。衣装とかお金かかってるよね(笑)。私もこういうの(髪飾り)つけたかった。
ことの:すごく似合いそう!
あいにゃん:肩も出て、かわいくて美しかったです。
-サイサイも和装でミュージック・ビデオを撮っていましたよね。
あいにゃん:「聞かせてwow wowを」(2020年9月リリースの10周年記念アルバム『mix10th』収録曲)ですね。
すぅ:あれは手作りで作ってもらった衣装なんですよ。
よいこ:へぇ~!
-ガールズ・バンドとアイドル、その共通している部分ってどんなところだと思いますか?
すぅ:共通点として、負けず嫌いの子が多いのはあると思って。ガールズ・バンドってだけで舐められるし、"弾いてないんじゃないか?"とか言われて、それで悔しい思いをしてきていたんです。だから基本的にパワーの源が"悔しい"で始まっていたので、"悔しいからどこに行ってやる"とか"馬鹿にしてきたあいつらよりでかいステージ立ってやる!"とか(笑)。それでずっとやってきたので、そこのハングリー精神みたいなものが強い子たちが、残っていくのかなと。
-"負けず嫌い"という部分は、神激にもありますよね。
エヴァ:めちゃくちゃありますね。
すぅ:ありそう!
エヴァ:ありそう(笑)。
ことの:本当に負けず嫌いすぎて、ステージングに関しても"自分のカッコいい"があるじゃないですか? それがグループでの見せ方と違ったときに喧嘩してしまうこともありますね。
すぅ:ステージングも自分たちで決めたりするんですか?
ことの:運営さんを交えて話すときもあるし、メンバーで"こっちのほうがカッコいい、いやこっちでしょ"みたいな。
すぅ:自分の思うカッコいいと違うときもありますもんね。
あいにゃん:自分の中でこうしたいとか、そういうのってあったほうがいいよね。うちらもMVのときとかいろいろあったし(笑)。メンバー間というよりは、自分たちが伝えたい歌詞の世界観と衣装が合っていないとか、もっとバンドの演奏シーンを増やしたいとか。
すぅ:"もう顔映らなくていいから全体写してください"って(笑)。でも"顔は写したいんです!"とか言われて(笑)。
あいにゃん:あったなぁ。でも負けず嫌いなのはすごくいいと思います。(神激は)みんなの色が違うのもいいですよね。髪色も性格も見せ方も違うし。あと私は"二日よいこ"っていう名前が気になっていて(笑)。
よいこ:私、めちゃくちゃお酒が好きで。アイドル始める前にずっと二日酔いだったんです。でもアイドルってお酒飲んでいたら良くないイメージだったので、最初から言っちゃえばあとからバレてもいいかなと思って、名前にしました。
すぅ:めっちゃインパクトがあって、いい。
あいにゃん:私もお酒好きだから"二日よいこ"って名前いいと思う(笑)。
よいこ:ビールが好きって聞きました。
あいにゃん:ビールが一番好きですね(笑)。
-ところで、すぅさんはこれまでに何度かアイドルへの歌詞の提供をしていますけど、アイドルへの歌詞を書く際に意識していることはありますか? 神激ではいもこさんが全曲作詞しているので、歌詞や作詞についてのトークを聞いてみたいです。
すぅ:私が言えるようなことでもないんですけど、アイドルさんに書くときはそのアイドルさんがどういうキャラの子が揃っていてどんな声の特徴なのかを調べたり、ライヴを観させてもらったりして雰囲気を掴んでいます。女の人が書く目線のアイドルの曲って、あんまりないなと思うんです。おじさんが書く曲が多い気がするので、女だからわかる裏側とかを書けたらいいなと。それと、男性の心を掴むようなワードとか、MVをイメージして"この子には超ぶりっ子してもらって、こういうふうに言ってほしい"と想像して書く感じですね。
いもこ:そこまで見据えて書いてるんですね。
すぅ:そうですね。画とか、ライヴでわぁーってなるであろうと思って書くみたいな。
エヴァ:楽曲提供でそこまで考えてくださる方ってなかなかいないと思うんですよ。私たちはこの子(いもこ)が歌詞を書いていて、"三笠っぽい言い回しをさせたいからこうしよう"とか"ことのちゃんっぽい歌詞をここに入れたい"とか、チーム内でやってるからそういうヴィジョンがわかるんです。だけど、楽曲提供する人ってそこまで見てくれる人はなかなかいないじゃないですか。
いもこ:うん。そこまで観てくれるのはめちゃくちゃ嬉しい。
すぅ:楽曲を提供する側の方たちってかなりの仕事量を持ってるプロの方が多いので、1チーム、1チームっていうよりかは、全部いい曲を作って投げる感じじゃないですか。私はそこまでの技術もないので、1チームに向き合ってやっていく、コツコツタイプなんです。
いもこ:神激は曲中とかに普通のアイドルっぽいMCじゃなくて自分の想いとかをその場で吐き出しちゃうので、その中での言葉を歌詞に使ったりするんです。でも、一緒に生活していない人の想いとかをうまく書けるのは尊敬しかないですね。まだ他人の歌詞を書いたことが一度くらいしかないんですけど、そういう方法、道もあるんだなぁと。
あいにゃん:そういう歌詞のほうがメンバーも歌ってるときに共感できるからより叫べる?
ことの:"あ、あの日言った言葉だ"とか、"あの日見た景色だ"とかちゃんと浮かんでくるので、すごく伝わりやすいんです。だからファンの方からも"すごい伝わるね"とか"ここのふたりがあの歌詞を歌うからこそ意味があるよね"という言葉はよく貰います。
いもこ:でも、たまに自分が歌いたいところを他の人が歌ってたり(笑)。
一同:(笑)
すぅ:取られたぁ~って(笑)?
いもこ:やっぱりみんなで歌ってるぶん、そういうことはありますね(笑)。