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INTERVIEW

神使轟く、激情の如く。× SILENT SIREN

2021.03.10UPDATE

2021年03月号掲載

神使轟く、激情の如く。× SILENT SIREN

神使轟く、激情の如く。:実久里ことの 生牡蠣いもこ 三笠エヴァ 二日よいこ
SILENT SIREN:すぅ(Vo/Gt) あいにゃん(Ba)
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by うつみさな


同じことをやっても"二番煎じだな"で終わってしまうと思うので、"神激"というジャンルになりたいんです(エヴァ)


-神激は、フェス主催への想いがありますけど、サイサイはこれまでに"サイサイフェス"を主催していますよね。そもそも"サイサイフェス"を主催したきっかけってなんだったんですか?

あいにゃん:雑誌の企画だよね。

すぅ:雑誌の企画で、フェスをやるに向けての修行みたいな感じの連載をやらせていただいたんです。自分たちのフェスをずっとやりたいなと思っていて。でも、もともと本当に友達がいなかったんですよ。同期と言われる子たちもやめていっちゃったり、そもそもあんまりいなかったりで、その中でも一緒に頑張ってきた仲間とか、仲良くしてくれているバンドマンたちを誘って、楽しいことをしようと。そういうところで始まったんですけど、トントン拍子ではなくて。

あいにゃん:毎年苦戦してるよね。

すぅ:メールして断られて、しかも断る理由が書いてないけど......みたいな。

神激一同:えぇー!

あいにゃん:誘ったけど、メンバー本人まで届いていないとかもあったよね。そこから横の繋がりをもっと広げていこうと思って。読モだったから、最初は本当に居場所がなかったよね。

すぅ:肩身が狭かった。

あいにゃん:対バンしても楽屋から出ないみたいな。今はそこから広がった気がします。出てもらうのもバンドマンだけじゃなくて、ソロのシンガーさんとか、アイドルさんとか、すごくジャンルレスなフェスになったなと。

いもこ:2019年のラインナップを見たら(ジャンルが)めっちゃバラバラで。どういう基準で選んでいるんだろうと思っていました。

すぅ:バンド、アイドル、シンガー・ソングライターと振り分けて、その中でバランスを見つつ"OK"と言ってくれた方に。ただ、みんなOKでも出れないから順番がすごく難しくて。それで2週間前まで決まらないときもあったし、かなり大焦りで。

あいにゃん:自分たちでやってたって感じがするね。パッと見だと事務所が決めて組んでるのかなと思われてるかもしれないけど、直談判で心折れそうなくらい断られたりもしたし。

エヴァ:女だし、読モ上がりだしって、絶対色眼鏡で見られること多かったですよね?

すぅ:そうですね、本当に。

あいにゃん:"弾いてない"とかね。へたくそはずっと言われてたし。

すぅ:"曲も作ってないでしょ?"とか。チャラそうに見えてるけど、意外に真面目で、地味なんです。でもやっぱりそういうふうに見られちゃうので、なるべくフェスとかでも大人しく......というか。

あいにゃん:ケータリング行くだけでも緊張しちゃうもんね。誰かに会うかもしれないって。

-ちょっと意外です。

よいこ:みんなで"キラキラしてる方たちが来るからどうしよう"って、始まる前にみんなでソワソワしていたんですけど――

あすぅ&あいにゃん:いやいや(笑)。

エヴァ:実際キラキラしてるけどね。めちゃくちゃ美しい。私たちもアイドルだからって舐められることが多いんです。サイサイさんを見ていると、そういう声にも負けずに、ご自身で横の繋がり作って頑張っていこうとか、他のバンドに負けないようにこうしていこうとか、自分たちだけのものを作っていこうっていうところが、めちゃくちゃ憧れます。自分たちもそういう気持ちを生涯持っていきたいなって思いました。

すぅ:今のアイドルは、第2次アイドル戦国時代じゃないけど、正統派じゃないというか、本当に自由なアイドルの子たちが増えてきているから、その中でトップに行くのはすごく大変なことだと思うんです。でも、話を聞いていると(神激は)他の子たちと被っていないですよね。

エヴァ:今って、面白いアイドルがたくさん出てきてるじゃないですか? BiSHさんとか、PassCodeさんとかもすごく音楽性が高いし、BABYMETALさんとかもすごくカッコいい。先駆者がいろいろいるんですけど、同じことやってもそれっぽいのにしかならないし、"二番煎じだな"で終わってしまうと思うので、"神激"というジャンルになりたいんです。

すぅ:"神激っぽい"って言われるような。

よいこ:尖っていこうと思っています。

すぅ:すごくいいと思う。本当にそれは素晴らしい。うちらも"サイサイっぽいね"と言われるジャンルを目指してずっとやってきていたんです。本当は、ポップなことがずっとできなくて。

あいにゃん:すぅが1曲目に作った「チラナイハナ」(2012年リリースの1stアルバム『サイサイ』収録曲)って曲は、すごく暗い曲で。でも、それがいいと思ってバンドをした部分もあったから、メジャー・デビューしたときはA面というか、表に出る曲はめちゃくちゃキラキラしていて、本当に自分たちがやりたいことはカップリングで入れさせてもらうとかでしたね。

エヴァ:カップリング、めちゃくちゃいいですよね!

すぅ:嬉しい!

あいにゃん:カップリングのほうが好きって言ったらあれですけど、本当にやりたいのはそっちだったし、そっちばっかりで尖ってた時期もあったんです。だけど、ポップな曲が好きと言ってくれるファンも増えてきて、それがサイサイなのかって気づいたときがあったから、もう今は楽しんでいます。

すぅ:聴いてきたのも男臭いようなバンドだったんですよ。

よいこ:10-FEETさんが好きなんですよね。

すぅ:そう、パンク・ロックが大好きで。自分の歌声でそっちになれないのはわかっていたんだけど"好きじゃないものはできないじゃん"みたいな感じで、社長と毎日毎日喧嘩していました。こういう曲は全然だめだから書き直して、とか言われてポップな曲にしてみて。ライヴは自分たちの演奏に必死で、ずっと棒立ちで何もできなくて、どうしたらポップに大きく見えるかなってことで初めてパニエを揃えたんです。でっかいパニエを自分たちで買って、ステップを合わせてみよう、とか。

あいにゃん:それもアイドルの動きとかを観て"やっぱり一体感って大事だ"となって、いろんなところから吸収して自分たちらしさを見つけていきましたね。そういうところからコツコツやって、曲もポップでキャッチーなものをどんどん作っていけって言われて悔しかったんですけど、結果それが有名になったりもするから、信じてやって良かったなと。だから今は好きな感じの曲ができたりするし。

エヴァ:やっぱり初めに知るのはポップな曲だから、サイサイっぽい曲から知ることが多くて。そこからディグってカップリングとかを聴くと、ミドル・テンポの曲とか意外とあるじゃないですか? その曲がめっちゃいいやんと知って、はまっていくパターンだったんです。

すぅ:ありがたい!

よいこ:実際お会いして、見えているだけのイメージだけじゃなくて、内に持っているもの、芯がすごくしっかりしてらっしゃるなと思いました。

すぅ:なかなかそうやって言ってもらえることないよね。でもメンバーがいなかったらたぶん3年くらいでやめてた。アイドルってチームでトップを目指していくけど、ひとりひとりがライバルなのかなとも思うし、そうじゃなきゃいけないと思う。自分が一番輝かなきゃいけないのがアイドルだと感じていて。バンドは、各々楽器も違うしポジションも違うからそれでひとつだけど、アイドルはひとりひとりが主人公だから、そういう精神でいられるアイドルたちはすごくカッコいい。

あいにゃん:さっきは"喧嘩する"って言っていたけど、言いたいことを言えるのがすごくいいなと思ったから、いいメンバーなんだなって。

いもこ:信じてるものが神激だからこそ、この悩みを誰かに話したところで"じゃあやめなよ"とか言われたくもないんです。"そのアドバイスは違うよ"ってことがめちゃくちゃ多いから、神激内で済まそうってことが多いですね。

あいにゃん:理解されないもんね。内々のことって自分たちにしかわからないから。

いもこ:結局他人の言葉よりも自分で解決するほうが自分を説得させられるし。

エヴァ:自分の悩みに対して責任感を持ってくれるのってメンバーしかいないので。"やめたらいいじゃん"って言ってくるのって、マジで無責任じゃないですか。

あいにゃん:親にも友達にも言わないで、自分の中で耐えたりとか、メンバーのこと考えてくれたりとか、そういうのが伝わるのがメンバーだから。支え合って生きてるよね。

-どちらも絆が強いですね。

いもこ:神激はラップ担当だったりMC担当だったり、誰かひとり欠けたら本当にライヴできなくなっちゃうんですよ。ひとり休むだけで活動できないくらいのグループなので、そういうところはバンドと近いかも。

あいにゃん:代わるメンバーがいないっていうのはすごい重大。

いもこ:ちょっと体調悪そうだと絶望的ですよね。

エヴァ:カバーできないよね、ラップ休んだら誰もラップできないもん。

あいにゃん:体調崩したりしたらどうするの?

よいこ:私、前に1回盲腸になっちゃったんです。神激チームにラップがすごく上手い方がいて、その方が私の師匠なんですけど、そのときは代わりにステージに。

いもこ:音楽を作っている事務所なので、ラップに詳しい人とかシャウトに詳しい人とかがいるんです。

あいにゃん:感動した。それで乗り切るってすごい!

すぅ:本当にそういうの大事だと思う。うちらも10年間やってきて1回もライヴ飛ばしたことないんですよ。

あいにゃん:体調不良とかがあっても、常々メンバー間で薬を出し合ったり、"大丈夫?"、"今日は早く帰って"、"ゆっくりお風呂入って早く休んでね"とか支え合ったり。もし欠けたら、どうやってライヴやるんだろうね?

すぅ:無理だよ、飛ばすしかない(笑)。こういうのは臨機応変にできることがすごい。私は1回声が全然出なかったことがあったんです。PAさんに"本当に無理無理、しゃがれちゃっててダメです"って言って。でも"お客さんは声が出なくても曲を聴きたいんだ、だから来てるんだ、ステージに立つことに意味があるから立ったほうがいい"と言われたんですね。そのときは、出したことのないような声でしゃがれたままやったけど"ありがとう"って言ってもらえて。やっぱりステージに立つことが自分の仕事だし、だから体調にもちゃんと気をつけないといけないなと思いましたね。

あいにゃん:這いつくばってでも、ね。でもラップとかシャウトって喉潰れたりとかしない?

ことの:今日はシャウトの担当がいないですけど、ないよね?

エヴァ:すごく頑張ってケアはしてますね。

ことの:苦手なはちみつをなめながら(笑)。

すぅ:苦手なんだー(笑)!