神使轟く、激情の如く。：実久里ことの　生牡蠣いもこ　三笠エヴァ　二日よいこ
SILENT SIREN：すぅ（Vo/Gt） あいにゃん（Ba）
インタビュアー：宮﨑 大樹　Photo by うつみさな

－ではここから神激メンバーからの質問に入っていこうと思います。

エヴァ："バンドリ！"が好きなメンバーがいて、"Poppin'Partyさんとのツーマンはヤバいね"って話をしていたんです。バンドさんとかアイドルさんとか、いろいろなツーマンをすることがあると思うんですけど、それにあたって一番大事にしてることとか、心意気というか、そういうものがあれば教えていただきたいなと。

すぅ：いくつかあるんだけど、ひとつは対バン相手に愛を持って、ちゃんと曲を聴いていくとかはベースとしてあります。それと、自分たちのらしさを出せるセットリストと、そこに相手のバンドのファンが好きそうな曲を持っていくというのは絶対にあって。限られた30分という時間内で、次の自分たちのワンマン・ライヴに何人連れてこれるかなって頭に入れています。フェスも対バンも戦場だと思って、奪い取ってやるみたいな気持ちでやってる。

あいにゃん：たしかに。仲がいいだけじゃない、負けん気は持っていないと、ただただ仲いいライヴで終わっちゃうから。

すぅ：次のワンマンとかで、"あのときの対バンが楽しくて来ました"と言われると嬉しい。自分のファンがいると安心しちゃうじゃん？ でもだからこそ相手のファンの方に向けてやったりとかします。目を合わせてくれなかったときもあるけど、目を合わせない人こそずっと見るみたいな（笑）。

あいにゃん：アウェイな相手でもやったほうが、その冷たい視線の中でもだんだん気持ちが強くなってきて、やったるぞ精神がすごく高まってくるから、すごいチャンスだと思う。

ことの：三笠とかそういうとき強くない？

エヴァ：アウェイのほうが燃えますね。

ことの：ケータイ見てる人に"お前何見とんねん"みたいな。

すぅ：めっちゃいい！

エヴァ：腹立つじゃないですか、やっぱり（笑）。"お前がやってるゲームより絶対にいいことやってんで"みたいな気持ちで見てしまって。

すぅ：その精神はすごく大事だと思う。

あいにゃん：その人が腕上げてくれると"よし、やったぞ！"ってなるし。

エヴァ：今おっしゃっていただいたことを胸に頑張ります！

ことの：これからバンド対バンが増えていくんです。

あいにゃん：いいな、バックでやりたいよね。でも激しいか。

エヴァ：恐縮すぎて踊れない。前を横切れない（笑）！

あいにゃん：アイドルさんのバックもやったことがあったから、すごく興味はあります。

よいこ：恐縮すぎて......。

－そんな恐縮してるよいこさんからの質問を聞いていきましょうか。

よいこ：私がサイサイさんを知ったタイミングがちょうど「チェリボム」のときだったんです。神激も、もっといろんな層に向けてアピールしていきたいと思っているので、知名度がここでバッと広がったなと感じるタイミングとか、出来事とかあったら参考にしてうちらも頑張りたくて。

すぅ：未だにない！

あいにゃん：代表曲という代表曲も意外となくて。コツコツ育ててきた感じがしているんです。それこそ「チェリボム」とか「フジヤマディスコ」（2017年リリースのシングル表題曲）はサイサイっぽい曲と思ってもらっているけど、未だに"売れた"とかはなくて。

すぅ：いつ有名になれるのかなと思ってる。

あいにゃん：普通に歩いていても、何もないしね。でも結成したときから武道館に立ちたいとずっと言っていて、それが初めて叶ったときには、"売れた！"というよりは"頑張って突き進んでいたら叶うんだ"ということを実感したというか。それは大きかったかな。

すぅ：自分が売れたと思ったら終わりな気がして。ハングリーな部分がないとダメだなぁと思うんです。自分が売れていると思いながらやっている人の美しさもあると思うんだけど、自分たちはそこじゃないし、マジで売れてないんで（笑）。そういう、常に上を目指さないとっていう感じかな。

エヴァ：今後もっと大きなところでやって、もしドーム・ツアーとか成功しても"私たちまだまだ売れてない"って言ってそうですね（笑）。

すぅ＆あいにゃん：言ってると思う！

－ことのさんは、神激を10年、20年、その先も続けたくて、サイサイが長く続いてる秘訣を聞きたいとのことです。そのあたりは、ハングリー精神というか、売れたと思ったら負けみたいなものがあったから続けられた部分がありそうですよね。

ことの："ガールズ・バンドは消費期限が短いって言われるのを覆していきたい"と言ってるインタビューを見たんです。私たちアイドルも、儚いとか一瞬の輝きみたいなイメージがついてるものなので。でもその中で私たちは、10年、20年歌っていける曲を作っていただいてるし、メンバーだって死ぬまで神激くらいの気持ちでやってるんです。ただ、まだ4年目でまだまだなので、そのあたりを聞けたらなと。

すぅ：私が見てきたアイドルの子たちって"アイドルがスタート地点で女優になりたい"という子が多くて衝撃を受けたの。"将来の夢は女優です！"って。え、今それを言うの！？ みたいな（笑）。でもそれが普通みたいな子が多かったから、そういう10年、20年やっていきたいと思えるのはマジでカッコいいし、それが本物のアイドルだと思う。だからその気持ちはずっと持ちつづけてほしいし、絶対どこのアイドルよりも自分たちが一番カッコ良くてかわいいと思っていてほしい。それと、私たちは誰かが意見を出したら絶対に否定はせずに、"それはおかしいだろ"と思っても絶対1回試すのはやってました。それで変だったらやめよう、良かったらそれをやろう、とか。なので倍以上の時間が掛かるんだけど、結果的にみんなが気持ち良く進める秘訣だったのかなって。

あいにゃん：あと、うちらはみんなパートが違うから、みんな違ってみんないい、みたいな感じでいるし、他のメンバーを尊敬して生きていますね。例えば私はギターが弾けないからすごいなって思うし、そういうふうに他のメンバーを尊敬し合ってやっていくのがいいかなって。そういうふうにやってると変にギスギスしないし、支え合ってるなって思うから、チームで良かったなって感じるし、うちらはソロじゃ絶対にできないから続いてるのかな。

エヴァ：めっちゃいい話。しばらく前の自分に聞かせたい。めちゃくちゃ悩んでた時期があったんですよ。自分ってライヴで何も目立ってないし、何もできないなって。

あいにゃん：うちらも悩んでたときある！

エヴァ：そのときに運営さんから言っていただいたのは、"チームなんだから。チームっていうのはライヴでセンターに立つ人ばっかりいても絶対に成り立たないじゃん。こういうインタビューでちゃんと人と話せたりとか、メンバー内で誰かが傷ついてるときに支えたりとか、逆に笑ってやったりとか、リーダーとしていろんなことをやってくれたりとか、注意してくれたりとか、そういういろんな役割があって。ライヴの面でもダンスが上手いとかMCが上手いとかいろいろあるんだから、全員が全員同じ位置に立とうとしなくていいじゃん"と言われて。それはそう！ って思いました。

すぅ：本当にそう！

エヴァ："チームってそういう在り方でいいんだ"って、やっとそこで気づけたんですよね。本当につい3～4ヶ月前の自分に聞かせてあげたかった。なんでもっとこの対談を早くしてくれなかったんだろうって（笑）。

一同：（笑）

－いもこさんからは、サイサイの「HERO」（2019年リリースのデジタルEP表題曲）という曲について質問があるそうです。

いもこ：神激にも「不器用HERO」（2019年リリースのデジタル ・シングル）という曲があって、その歌詞を書くときに題材が"ヒーロー"だと言われたんですよ。自分のイメージ的に、ヒーローって、スーパーマンとかスパイダーマンとか、世界中を救うヒーローがみんなの中でのイメージなのかなと思って。でも、そんな歌詞書けないなってなったときに、自分の中で大切にしたいものとか、救いたい人というのは、メンバーとか、ファンの人とかだから"目の前にいるあなたたちを救いたい"みたいな感じで歌詞を書いたんです。サイサイさんにも「HERO」という曲があるので、どういうイメージで書いたのかとか、自分にとってのヒーローってなんなんだろうなというのを聞きたいです。

すぅ：「HERO」については、2019年の年末ライヴのコンセプトが"ヒーロー"だったんですよ。いつもツアー・リーダーというのを決めていて、そのコンセプトをリーダーが決めていくんですけど、このときのリーダーだったキーボードのゆかるんが"ヒーロー"って決めて。それに初めて曲をつけようとなったのがこの曲だったんです。ゆかるんをイメージして書いたフレーズとかもあって、その子は身長150センチちょっとで小さいんですけど、小さくてもみんなのことをすごく思ってるし、人一倍頑張っているし、でも実はヒーローも傷ついているんですよね。ヒーローにもヒーローがいるし、ヒーローは無限にいると思って。だから自分もヒーローでいたいし、応援してくれてるみんながヒーローだよってことを書かせてもらったんです。自分の一番のヒーローっていうのは、私はSILENT SIRENという存在自体だと思って書きました。

神激一同：カッコいい！

いもこ：私、Twitterでちょくちょく歌詞のツイートをしてるんですけど、"すぅちゃんと言ってることがすごく似てる"っていうリプが来て、どんな曲なんだろうと思っていたので、めっちゃ嬉しいです。

あいにゃん：たしかに伝えたいものは近しい気が。

いもこ：話してみても反骨精神的な部分とか、神激の歌詞と通ずるものがあると思いました。

すぅ：ヒロインじゃなくて、ヒーローっていうのがいいなって。

エヴァ：聴く人たちの敵もゴジラじゃなくて、社会。嫌な先輩だったり、頑張らなきゃいけない学校の行事だったり、勉強だったりすると思うんですよね。そういうときに神激の曲とかサイサイの曲を聴いて頑張ってほしいなって。そういう小さいことでいいからヒーローになりたいですね。

あいにゃん：身近な誰かを助けるだけでもそれが繋がっていくから、すごくいいことだと思います。

－いい話ばかりで、あっという間の対談でした。最後にそれぞれの今後の予定について聞かせてください。サイサイは、今は曲の制作中ですか？

すぅ：リリース自体は決まってないんですけど、常々曲制作はしていて。それが出せたらいいなぁというか、そもそもライヴがほとんどないので、どうにかファンの方と楽しめる機会をみんなで考えています。3月末に対バン（3月27日開催の"Poppin'Party×SILENT SIREN 対バンライブ「NO GIRL NO CRY -Round 2-」"シューティング・ライヴ）があるので、そこに向けてスタジオに入ったりして作戦を練って。久々のライヴになるので、そこに向けて頑張っているところです。

神激一同：ライヴ行きたいです！

エヴァ：3月5日に豊洲PITがあるんですよ。この日は満員御礼、ソールド・アウトで大成功してるはず（※取材は2月下旬）なんですけど（笑）、そのあとに東京ドームシティホールでのワンマン（"神使轟く、激情の如く。4周年単独公演 ​Garden of Dog's at 東京ドームシティ"）が9月5日に控えていますし、その先のことも考えていて。

すぅ：絶対に行きたい！

エヴァ：10年続けていくって言ってたけど、2年、3年単位で、そのくらい先を見据えて行動してるので、東京ドームシティホールもめちゃくちゃ成功させるぞっていう気持ちです。あと個人的に"サイサイフェス"みたいな"神フェス"というものをバンドさんとか集めてやりたくて。メンバーが好きな人とか、カッコいいなと思ってる人に出てほしいんです。私は今サイサイさんがマジでカッコいいと本当に思っていて。芯がある人というか、中身がカッコいい人が結局一番カッコいいので、絶対に何があっても出てほしいです。なんだったらスケジュール合わせます（笑）！

すぅ：（笑）嬉しいですね。

エヴァ：本当にマジでカッコいいなって思ってるんですけど、音楽とかステージの上では負けないので（笑）！

すぅ：（笑）もちろん！

エヴァ：頑張るので、ぜひ胸を借りさせていただいきたいです！