INTERVIEW
神使轟く、激情の如く。× Rhythmic Toy World
2020.11.12UPDATE
2020年11月号掲載
"神激"こと"神使轟く、激情の如く。"がアーティストを招いて座談会を開催する企画を激ロックで連載中。その第2回目に、Rhythmic Toy Worldから内田直孝と岸 明平が参加してくれた。今回が初対面での座談会ではあったが、話を進めていくうちに神激とリズミックからは、その根底にいくつかの共通項を見いだすことができたような気がする。両者の音楽やアーティストとしての姿勢など、たっぷりと語ってもらった。
神使轟く、激情の如く。:実久里ことの 涙染あまね TiNA
Rhythmic Toy World:内田 直孝(Vo/Gt) 岸 明平(Gt)
インタビュアー:宮﨑 大樹 Photo by 新倉映見
-神激(神使轟く、激情の如く。)とリズミック(Rhythmic Toy World)は、これが初対面ですよね?
内田:そうですね。実はライヴにお誘いしていただいていたことはあったんですけど、出ることができなくて。なので今回の対談はありがたい話なんですけど、ドッキリか何かなのかなぁ? と不安な気持ちを抱えてます。このあとみんなが急に怒り出すとか......(笑)。
ことの:まだ疑われてるんですか(笑)。
-たしかにリズミック×アイドルの組み合わせって、最近はあまりないですからね。2~3年前にはアイドルとのツーマンをされていたこともありましたが。
内田:たまたまアイドルさんと対バンするタイミングが重なったんですよね。そのときはアイドルさんと対バンするバンドっていうイメージを持たれていました。
-対バンをすることで、アイドルのイメージって変わりました?
内田:めちゃくちゃ変わりましたね。僕らが対バンをしたアイドルに限る話かもしれないですけど、めちゃくちゃストイックやなっていう部分で。スタジオに入って鏡の前で振付したり、渡された曲を表現したりってめちゃくちゃ大変なことだと思うんですけど、それをステージに立つ直前まで磨き続けている姿とかを裏で見させてもらいました。ダンスだったり歌だったり、確実に僕たちよりも練習をしている方たちだなと。裏でギリギリまで努力して、終わったら終わったで特典会があったりして、最後の最後まで気を抜かないっていうのが......。僕らなんて30分やったらもう終わりで、冷蔵庫にビールが入っているか入っていないかみたいな感じで(笑)。日々ストイックに生きている姿には尊敬の念があります。
岸:ほとんど言われましたけど、本当に見習うところが多かったです。ライヴ後に握手会をできるとか、僕だったら考えられないですね。ライヴで全力を使っちゃうじゃないですか? そのあともあるって、どんだけ体力あるんだって思いました。
-他のグループの話ではありますけど、バンドから見たアイドルの話を聞いて、どう感じました?
ことの:アイドルって世間から悪いイメージを持たれることも多いので、そういうストイックな部分にスポットを当ててもらえて、しっかり見てもらえたっていうのは嬉しいですね。自分たちは楽器を弾けないので、そのぶん踊りで表現するとか、もっと歌に力を入れるとか、MCとか煽りでバンドさんに負けないくらいカッコいいものを出していきたいと思ってやっています。
内田:今日(岸と)会って開口一番"いやぁ~神激のライヴ熱い!"って言ってて。
神激一同:嬉しい!
岸:YouTubeでZepp DiverCity(TOKYO)公演の映像を観て。俺らもDiverCityでやったのでそれを思い出しながら観ていたんですけど、「STAGE」という曲でのMCがすげぇ熱くて感動しました。
内田:(神激に)入れてもらえば(笑)?
岸:え!?
TiNA:ちょうど新メンバー募集してるんで(笑)。
内田:エヴァ(三笠エヴァ)さんとちょっと近い感じですね(笑)。曲を聴かせていただいたらサウンドの勢いがすごかったので、一緒にライヴをやったら確実に盛り上がりを持っていかれるなぁって(笑)。
ことの:いやいやいやいや(笑)!
-神激って、ライヴではバンド感を意識していますし、バンドとの対バンにも前のめりになっていますよね。
TiNA:アイドルという肩書の中でも自分たちのやっているジャンルはロックなので、周りにいるアイドルさんたちよりもバンドさんのほうが得られるものがたくさんあるような感覚が強くて。音ひとつ取っても向かっている方向性が近いというんですかね。自分たちはロックの道を極めるために走ってるので、バンドさんとの対バンは自分たちの身になる気がしています。
岸:お客さんもすごく熱い感じですよね。
あまね:神激のライヴに来てくれているお客さんは、アイドルのライヴに行ったことがない人とか、もともとバンドのライヴに行っていた人がすごく多いので、乗り方もツーステップ、スカダンスとかなんです。だからこそアイドルを知っている人たちだけじゃなくて、バンドのライヴに行っている人たちにもっと知ってもらいたいというのがありますね。
ことの:今はサーフとか禁止なんですけど、"ノーリミットライブ"というサーフでもなんでもしていいよっていう日を作ったときは、すごく盛り上がってました。
内田:アイドルさんって厳しいところは厳しいみたいですからね。
ことの:いろんな人がいますね。私たちのお客さんじゃなくても、腕立て伏せする人とか(笑)。
内田:あぁ~、僕自身もハイになると音に乗ってすごく変な動きをしちゃうので、それはわからんでもないです。その人オリジナルのアゲ方があるんだと思うんですよね。人に見られてる羞恥心と緊張のバネが、いい方向にいったらめっちゃテンション上がるシステム。でも基本的にそういう人は変態で――って、こんな話題でいいのかな(笑)? 実のある話をしたほうがいいですよね(笑)。
-軌道修正していきましょう(笑)。リズミックのふたりは、そもそも普段からロック系のアイドルの曲を聴くことってあるんですか?
岸:あぁ~。聴くよね?
内田:聴きますね。それぞれ聴くものは違うんですけど、対バンしたアイドルさんの曲とかは普段から聴いていたんです。作詞もそうですし、作曲という面で見ても発見というか、勉強できる部分があって、日常的に好きで聴いていますね。
-リズミック×アイドルって、実は今でも距離はそう遠くないんですね。神激との親和性も高そうな気がします。
内田:そうですね。時代的にもクロスオーバーしているじゃないですか? 昔は別現場みたいなところがあった感じですけど、今は他のバンドもアイドルさんと対バンすることも増えてきていますよね。
-先ほど"神激のライヴが熱い"という話もありましたが、カッコイイと思うアイドル像みたいなものってあるんですか?
内田:"アイドル"っていう言葉自体がもう古いんかなって。白か黒かで言ったら白、みたいなイメージがつきすぎているというか。"アイドル"っていう言葉とは別で、新しい言葉ができたらもっと素敵やなぁっていうふうには思います。"アイドル"っていう言葉で、変なしがらみを感じたりとか、自分の中でルールを作っちゃったりして、それに苦しむとか悩むこともあるんかなって。だったら"アイドル"っていう言葉はいらないのかなと。当たり前のようにアーティストとして感じるのがいいんじゃないかなと思います。
-今の話で神激メンバーはすごく頷いていましたね。
TiNA:本当にすごい......全部代弁してもらったような感じで。やっぱりふたりとも新メンバーに(笑)。
一同:(笑)
ことの:神激が目指していることそのままっていうか。このままMCでしゃべっていただきたいくらい(笑)。例えばバンドさんがテレビに出たときって、"Rhythmic Toy World"ってバンド名で呼ばれるけど、私たちが何かに出たときって、まず"アイドル"から入るんですよ。そういうところで、アイドルっていうジャンルで固めすぎているんだなというのはすごくあって。神激は、それを壊そう壊そうと思ってやっているんですけど、そうすると"アイドルなのになんでこうするの?"とか言われるので、そうやって考えてくれる方をもっと増やしていきたいなと思いますね。
内田:全然的外れじゃなくて良かったです。それを受け止めてくださっているのがファンだと思うんですよ。バンドでもそうですけど、やいやい言ってくる人っていうのは、どこまでいっても外野というか。中身を知らないで外側だけ見ている人というのはすごく簡単に汚い言葉を吐いたりするんですけど、一歩先を進んだところで見ている人は、簡単に人を傷つけるような言葉とかをなかなか使えないですよね。でも、そういう愛のある人との距離感もどんどんわからなくなってくるもので。会いに来てくれるのって嬉しいじゃないですか? それに対して優しさで応えようとしていくとすれ違ったりするなってバンドでも感じるので、より一対一を大切にしていく方々だとそういう部分はめちゃくちゃ大変なんじゃないかなって。そりゃあ"DMは事務所管理です"って書きたくなるわ、みたいな。
一同:(笑)
内田:僕が聞いてみたかったのはそこなんです。僕はファンの方からDMで相談を貰うこともあるんですけど、自殺を考えている人からDMが来たときに考えさせられたんですよ。僕のひと言でこの人の人生を左右する責任はやっぱり負えない、でも、ひとりにしておきたくはないなって。僕から伝えることで、その人の1日が伸びるかもしれんなっていうところですごく葛藤したことがあったんです。そういうことってありますか? ファンの方から言われたことで、1~2週間そのことが頭の中にあって引きずられることとか。あとは、最近あの人来なくなったけど、私が何かしたのかなぁ? と考え込むとか。
TiNA:それは毎日考えますね(笑)。
ことの:MCがあるぶん、そういうことは多いです。ライヴ後もメンバーと話したり、運営さんも交えて反省会したりしてます。
TiNA:家族を亡くしてずっと笑えていないっていう人が、私のファンの人にいて。よくSNSで自分のことをツイートしてくれていた人だったんですけど、何週間も浮上してなくて、すごく心配していたんです。その人が、大阪遠征の日に会いに来てくれたんですよ。来てくれたことにライヴ中に気づいたので、自分ができることってステージから笑顔を届けることだけかもしれないと思ってやっていました。そうしたら、そのあとの特典会で"あの笑顔で久しぶりに笑えるようになった"って言ってもらえて。
内田:それは嬉しいねぇ。SNSで浮上していないとかわかってるのがすごいです。応援してくれている人ってひとりふたりじゃないですもんね。それを"この人は大丈夫かな?"って思うとか、それはもう好きになりますよね。僕も推しに......(笑)。
一同:(笑)