INTERVIEW
神使轟く、激情の如く。× 明希(シド)
2023.01.11UPDATE
2023年01月号掲載
神使轟く、激情の如く。:実久里ことの 生牡蠣いもこ 涙染あまね 三笠エヴァ 二日よいこ TiNA
シド:明希(Ba)
Interviewer:宮﨑 大樹 Photographer:Kanda Yukiya
誰かに何かを届けるのが好きだからこそ、誰かの胸を打たなくなったら終わりみたいな気持ちがあるのかなと思います(エヴァ)
-神激はメンバーにそれぞれパートがあるので、それぞれに合ったマイクを探していく必要がありそうですね。
あまね:自分のパートはスクリーム・パートなので、スクリームに適した有線マイクを買いました。
明希:アドバイスするわけじゃないけど、値段問わずいろんなものを使ったほうがいいと思います。高ければいいというものでもなくて。とにかくいろんな楽器を知ること、長く使うことが大事な気がしますね。"なんでこのマイクはこういう拾い方をするんだろう?"というのを知っていくと、それがどういうものなのかだんだんわかってくるから。根本として自分に合っているものがわかると選び方も変わってくるので、いろんなものを長く使うことがいいかなと思います。
エヴァ:買って使って理解するまでなんですね。勉強になります。
あまね:明希さんの若々しさと美貌を保つ秘訣を知りたいです。Twitterを漁っていたらトレーニングの器具があったり、トレーニングの代償のサロンパスの写真があったりして。
明希:首がずっと悪くて。頭を振ったりしていたし、ベースのストラップが細くて、下げて弾くスタイルだったんです。それで身体が曲がって、ずっと痺れていて。もうだいぶ良くなったんだけど、それを治すために筋トレと運動が必要で。それでトレーニングをしています。キックボクシングが一番汗をかくし、肺活量が上がるから歌にもいいんじゃないかなと思いますね。
エヴァ:だからキックボクシングをやられている方が多いんですね。
明希:俺の解釈だけど、歌って大事なところは前より後ろな気がしていて。背中が柔らかいほうがたぶん声が出るんですよ。理想の音程とか声質とか体力とかも含めて、いいと思います。あとはあんまりやっていないですね。肌がなんだとか適当で。でもジュースとかはあんまり飲まない。甘いジュースはもう何年も飲んでないかもしれないです。前はタバコも吸っていたしジュースも飲んでいたんですけど。でもまぁ、運動ですかね。
いもこ:個人的な話なんですけど、声を使う仕事がしたくて、それを諦めてアニメイトでバイトしていたんですよ。そのときにシドさんの曲がずっと流れていて、支えられた感謝を伝えたいと思っていたんですけど、陰キャすぎて本当に話し掛けられなくて。だから言えて良かったです。ずっと"憧れを 今 掴んだ"(2012年リリースのメジャー13thシングル『V.I.P』表題曲)と歌っていて、今では声を使う仕事を掴めたので本当にありがたかったですね。それと、まったく関係ないんですけど、作曲するときに御恵明希という名義で活動していらっしゃるじゃないですか? それには何か理由がありますか?
明希:10代ぐらいからその名前なんですけど、作家の名前に憧れていて。ベースで明希で、それに苗字がついた作家の名前を考えようと思って、今に残っているという。YOSHIKIさんが作詞するときに名義を変えたり、山崎まさよしさんが作詞作曲だと"まさよし"が漢字(将義)になっていたりして。また別の何かになるのかちょっとわからないけど、何かを憑依させるのか、どこかを変化させて歌詞とか曲を書いているんだろうなって。それに憧れた10代があって、今に至りますね。
いもこ:ソロ活動のときに作詞もされているじゃないですか? そのときに意識していることはありますか?
明希:書き出したころって、曲と違って何を書いたらいいのかわからなくて。例えば、"丸いものも僕から見たら四角に見えるんだよ"みたいな、"ドヤ"みたいな歌詞を一生懸命考えるより、なんで自分は歌っていて、自分のモチベーションは何でとか、そういう気持ちをいろんな歌にしようと思ったんです。衝動とか、そういう観点から書いていますね。
いもこ:ネガティヴな感情をぶつけたりとかはしないですか?
明希:あんまりネガティヴにならなくて。かといって別にポジティヴじゃないんだけど、考えてもしょうがないことは考えないようにしています。それがいいのかわからないけど。"これを失敗したらどうしよう"とか、ネガティヴってキリがないんですよね。泣きたいことがあって泣いても、次の日に顔が腫れているだけで、何も変わらないじゃないですか。外に出して発散するのもいいけど、人を巻き込む出し方は違うと思っていて。うちの母親が"笑っても人生だし、泣いても人生だ"とよく言うんですね。だったら泣くより笑っていたほうがいいんじゃないかって、すごくシンプルなんだけど、結局そういうことだよなと思います。例えばライヴ活動をやっていて明日が不安になったとしたら、自分がいけなくて。練習が足りていないだけでしょって思うんです。失敗したら、準備が足りなかっただけでしょと。簡単なものをぐちゃぐちゃして、自分でほどけなくして悩んでいる人が多いなと思います。だからそういうふうに考えないで、やればいいんじゃんって。もうそれでしかないですよね。
いもこ:感情のミニマリストというか、大事な部分だけ残しておいて、無駄なものを削いでいくみたいな?
明希:何周もしたからじゃないかなと思います。ぶつかって挫けて、もう二度と同じ想いをしたくないから練習してという繰り返しで、今の歳になって結局そういうことなんじゃないの? って人に言えるようになっただけで。初めからなんでもかんでも100点なわけじゃないから、0点から始まった感じです。
いもこ:自分のやるべきことと、やりたいことをしっかりやった人が言える言葉だなと思うとカッコいい。自分も言えるように努力します。自分は吐き出した言葉をみんなと共有し合って、人の意見を聞いて作詞するということもあるので、それはそれで神激の形としていいなと思うんです。その反面、ネガティヴすぎるのも良くないんですけど。
明希:ネガティヴを歌に昇華、歌詞に昇華することは素晴らしいやり方だと思いますよ。ファンって共鳴、共感するからファンであって。顔が好きとか、キャラが好きでとか、そういうのはいっぱいあるんだろうけど、やっぱりそこだと思うんです。だから、ネガティヴな人がダメだと言っているわけではなくて、その気持ちを最終的にどうするのかがアーティストの答えな気がします。逆に、"私はネガティヴのまま生きていくんだ"という人も別にありだと思うんです。それが嫌じゃないなら。きっとそこに共感して来てくれる、応援してくれる方が増えると思います。
いもこ:自分的にはネガティヴだけど、強く生きていけるように見せていきたい、みたいなメッセージを今後も込めていきたいなと思います。
TiNA:音楽を始めたときに影響を受けたアーティストさんはいらっしゃいますか?
明希:LUNA SEAのJ(Ba)さんですね。一生辿り着けないんだろうなって思っていて、目標です。ずっとカッコいい人だと思っているので、自分もいつかそうなりたいなと。
よいこ:神激は追いかけているアーティストがいないから、道を探り探りで、それが難しいところであったり、面白いところでもあったりするんです。自分たちの直属の先輩や同じカテゴリーの先輩がいないからこそ、こうやっていろんなジャンルの先輩の話を聞いて、そこからまた自分たちに合ったものを手繰り寄せて作っていくという形です。
エヴァ:"神激の"ではいない感じになりますけど、ラップとかシャウトのそれぞれの目標はいますね。でも、お話を聞いていてメンタル面とか精神的な意味で明希さんが本当にカッコいいと思って。アーティストの意味でも、人間としてもめっちゃ器がでけぇ! みたいな、めっちゃカッコいいです。自分らってまだ超模索してるし、超ひよっこだし、上がっていかなきゃというところなんですけど、明希さんみたいに、ワンステージどころかツーステージぐらい上の考え方ができるようなアーティストに早くなりたいなと思いました。
明希:向上心の持ち方と、それに伴って上がるモチベーションはやっぱり大事だったりするから、すごくいいと思います。
エヴァ:すごい人と喋っていると、めちゃくちゃモチベーションが上がるんですよね。こうなりたい、みたいなものがどんどんインスピレーションとして湧き出てきます。こういう機会をいただけるのはマジでみなさんのおかげだと思っていて、ありがたいですね。
よいこ:20年も続けていると、最初のころと比べてバンドに対する向き合い方や心境の変化とかってあると思います。まだまだ結成5年の神激メンバーは常に上昇志向が高く、極端な話、人気が落ちたら終わりみたいな恐怖感を持って活動している気がしています。売れることへの気持ちが強いのはいいのですが、音楽をライフワークにするって思考が薄いのかなと思ってます。何か活動を続けていくうえでのアドバイスや体験談などがあったら聞かせていただけますと嬉しいです。
明希:まずは、人気が落ちたら終わりってことはないと思いますよ。
エヴァ:誰かに何かを届けるのが好きだからこそ、誰かの胸を打たなくなったら終わりみたいな気持ちがあるのかなと思います。上昇志向はめちゃくちゃあるんですけど、だからこそ超焦っている部分がやっぱりあるんですよ。今やんなきゃとか、今売れなきゃとか、今その人に対して100パーセントを届けなきゃみたいな。今やでって気持ちが焦りとして出ていて、その焦りが逆にライヴで燃える糧にはなっているのかなと思うんですけど、そういう意味での焦りはメンバー的にはすごくあって。先ほどおっしゃっていただいた、不安なことがあるのは自分が頑張っていないだけじゃん、というところがめちゃくちゃ刺さりました。
明希:やっていけばやっていくほど答えはいつもシンプルだと思うんです。やらなきゃいけないことっていっぱいあるじゃないですか? ビックリするぐらい山があっても、ワープはなくて、一歩一歩、歩くしかない。じゃあどこに向けてやっているのかという、明確なもの、一番ピントが合うものがみんな一緒だったらいいのかもしれないですね。正解ってなくて、だからこそグループで正解を見つけるのが一番いいのかなと思います。どこに向けて何をやるか、どう共有し合うか、見てる場所をどう同じにするかという感じですかね。
よいこ:アーティストというか、人生として大事なことを聞いている気がします。東京ドームでのワンマンってアーティストとしてある種のゴールだとも思うのですが、東京ドーム("SID YEAR END CLIMAX 2010 ~全てのシドへ~")が終わったあとの心境などもお聞きしたいです。
明希:"やったな"、"勝ったな"と思いましたね(笑)。
よいこ:(笑)そこから何年か経って、現在の心境はどうですか?
明希:過去は過去って感じですかね。"ドームをやったから何?"って思います。偉くもなんともない。僕は職業を聞かれたときに"バンドマン"だと答えたいし、カッコつけすぎかもしれないですけど、厚木のライヴハウスもドームも、自分の中では変わらないんです。ただ、そこでやれたというのは自分の中での誇りで、それだけのことですね。世の中には10回、20回ってソールド・アウトさせている人たちがたくさんいるし、"ドームでやりました"みたいなのを武器にして飲み歩いたことはないです(笑)。
-(笑)とはいえ、ロック・バンドが東京ドームに立つってやっぱりすごいことですよ。
明希:夢でしたね。ただ、夢が叶ったあとの"さぁ何をしようかな?"というのはあったかもしれないです。偉そうな悩みですけど、"シドはここから何をやったらいいんだろう"というのは、一瞬あったかもしれないですね。
よいこ:全然レベルは違うんですけど、神激もこのタームで武道館をやったので、 なんとなく気持ちが......。
明希:これは俺のやり方ですけど、自分で何回武道館の映像を観ましたか? 俺はドームのビデオを100万回くらい自分で観ているんです。それくらいの夢だったので。で、それを観ていると、もっと音をこうしておけば良かったとか、だんだん嫌になってくるんですよ。"今のほうがカッコいいのにな"って。何人入ったとか、何位を取ったとかより、もっと伝えなきゃいけない、伝えたいというのは目標にしていて。そのために続けています。例えば次は2デイズの武道館を目指すとして、そのためにどうするのか。もっと技術を磨くのか、もっと曲と歌詞を勉強するのかとか、何か見えてくると思います。自分らのライヴ音源を聴いて、どう思えるかが次のステップなのかなと。
エヴァ:毎回のライヴで動画を撮って見返してはいるんですけど、ダメすぎて観れないときがあります(笑)。
明希:そう。ダメすぎるものをいっぱい観ないとしょうがないんです。それで"10個ダメだったら1個ずつ直そう"で良くないですか? あとは、リハーサルでは120点を出すぐらいの気持ちでやって、本番は楽しいを取ったほうがいいと思います。リハ通りにやろうとしても絶対にできないから、本番は点数をつけないほうが良くて。本番に自分たちが吐き出したものにどう向き合うか、それが一番いい練習なのかな。それをみんなでやったら一番いいと思います。
ことの:武道館の打ち上げのときに、"武道館をやれたと思っているならそうではなくて、武道館でできたことはちゃんと誇りに思って、そこからちゃんと前に進んだほうがいい"という言葉をいただいたんです。そこから自分の中でメンタルが切り替わって。今日はそういう考え方の部分をたくさん聞かせていただいて、ありがとうございます。
エヴァ:自分たちの中でもすごく悩んでいたこととか、どうにかしたいなと思っていたところにすごくハマる言葉をたくさんいただけたので、また一歩進めた感覚がすごくありますね。本当に刺激になりました。
神使轟く、激情の如く。
RELEASE INFORMATION
NEW DIGITAL SINGLE
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シド
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