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INTERVIEW

ナノ

2015.02.02UPDATE

2015年02月号掲載

ナノ

Interviewer:沖 さやこ

-ナノさんはニューヨークのご出身で、小さいころから合唱団に所属するなど、音楽が身近な生活を送ってきたようですね。日本のアニメを観てアニソンの面白さを知ったことがきっかけで音楽を目指すようになった、とのことですが。

そうですね。歌うことはもともと大好きで、常に家でも音楽が流れているという環境で。日本のアニメを観るまではほとんど邦楽を聴いたことがなかったんですけど、もともとロックが好きだったので、ロック系の日本のアニメの主題歌を"面白い、かっこいい"と思ってハマったのが、音楽の入り口になったんです。かっこいい音楽にアニメの映像がついているという、当時のアメリカにはないものだったので、いろんな刺激があって新鮮さを感じたんです。そこから邦楽全般を好きになっていきました。生まれ育ちはアメリカだけど、心はやっぱり日本人だから、日本の文化に惹かれたんだと思います。だから"日本で音楽をやりたい!""日本で音楽をやれたら最高だな"と思って。それは1度もぶれてないですね。

-そして日本に移住し、2010年より動画サイトにカバー楽曲の投稿を開始する。

カバーを投稿する前にも歌のオーディションを受けたりしてたんです。そのころから動画サイトが流行り始めていて、動画でカバー曲を投稿する人たちがいっぱいいたので、それを見て"邦楽を英訳して歌ったら面白いんじゃないか?"と思ったんです。

-ナノさんが感じる邦楽と洋楽の違いはどういうものでしょうか?

あんまり深く考えたことはないんですけど、歌詞は大きく違うなと感じるんですよね。自分の場合、洋楽は――と一括りにするには大きすぎるかもしれないですけど――あまり歌詞を深く考えて聴くことがなかったんです。でも邦楽の歌詞は詩のようだったり、風景を描いていたり、洋楽にはない美しさがあると思ったんですよね。邦楽を英訳したら、日本の歌詞の良さを(日本人以外の人にも)自分の表現で伝えられるんじゃないかと思って。うまい具合にふたつの文化の良さを自分の手で表現したいと思ったんです。

-それはナノさんのヴォーカルにも出ていますよね。ナノさんが書かれる歌詞は英詞と日本語詞が半々くらいですが、日本語で歌う部分は日本語の、英語で歌う部分は英語の語感や表現の良さを出していると思います。日本語を英語のように歌うこともできると思いますが、ナノさんはそれをしない。

ああ、それは気合いを入れている部分なので、そう言っていただけてすごく嬉しいです。歌詞だけでなく歌にももちろんポリシーがあって。ただの洋楽になってももったいないし、"邦楽のカバー感満載!"というのでもちょっと違うと思うし。いいバランスで洋楽と邦楽のハイブリッドな感じを出したいですね。

-ナノさんの楽曲はラウドロックを基盤にしたものが多いですね。

ロックが好きで音楽を始めたんですけど、ロックとひと言で言ってもすごくたくさんあるので、自分にとってはすごく難しいテーマで。洋楽好きの父親と母親の影響で小さいころにTHE BEATLESやTHE ROLLING STONESを聴くようになってから、J-ROCK、UKロックやエモ、パンクなど、いろんなジャンルのロックを聴いてきて、すごくいろんなものの影響を受けていると思います。自分の音楽がどのジャンルに属するかはまだわからないし、すごく欲張りだと思うんですけど、"ロック"と呼ばれる音楽を好きな人たちに幅広く"好きだ!"と言ってもらえるような音楽を追究したいと思っていますね。

-約2年ぶりとなるオリジナル・フル・アルバムである今作『Rock on.』は、その言葉の通り過去最高に幅広い音楽が揃っています。

今回は特にそうですね。こんな感じの曲とこんな感じの曲を一緒のアルバムに入れていいの?と思うような組み合わせではあるんですけど(笑)、それが自分にとってはすごく楽しくて挑戦的で。

-1stアルバムであるメジャー・デビュー・アルバム『nanoir』は主にカバー曲を、2ndアルバム『N』では半分がオリジナル曲でご自身も作曲をなさって、そのリリース後に初ライヴも開催して......と、ひとつひとつアーティストとしての階段を上ってらっしゃいますが、やはり歌や歌詞への向き合い方は年々変わってきていますか?

そうですね。訳詞はもともとある世界観を自分のテイストにするんですけど、歌詞を自分で書くというのはゼロから自分の世界観を表現することなので、自分の中からいろんなものを掘り起こしていく作業で。でももともと小さいころから作文を書くのは好きなので、歌詞を書くのが大変だと思ったことはないですね。むしろオリジナルを書けることにすごく喜びとわくわくを感じているので、ずっと続けていきたいと思っています。特にライヴをやり始めてからそれを感じますね。レコーディングはきっちりといいものを録音するのが目的なのでどんなものでも歌えるんですけど、ライヴはその場のエネルギーとノリがすごく大きくて。自分の歌詞だとより感情的に、爆発しますね。