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LIVE REPORT

NOCTURNAL BLOODLUST

2022.06.11 @渋谷CLUB QUATTRO

Writer 菅谷 透 Photo by Seijiro Nishimi, Yuto Fukada

約8年ぶりのフル・アルバム『ARGOS』をリリースしたノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)が、同作を引っ提げたツアー"THE AWAKEN TOUR 22"のファイナル公演を渋谷CLUB QUATTROにて開催。出演を予定していたゲストのSHADOWSが新型コロナウイルスによりキャンセルとなってしまったものの、ノクブラとa crowd of rebellionがそれぞれ出演時間を増やしたツーマン・ライヴとして実施された。

先陣を切るリベリオン(a crowd of rebellion)は、小林亮輔(Vo/Gt)の静謐なヴォーカルが映える「coelacanth」で開幕。大海のように雄大なエモーションを広げると、「リビルド」や、アッパー・チューンの「M1917」へと繋げ、熱量を着実に高めていく。MCでは宮田大作(Vo)がなぜか時折オフマイクで話しつつ、"SHADOWSの分まで、とことん思い切りブチかまそうと思うんで最後までよろしくお願いします!"と宣言。"今はa crowd of rebellionの音楽に酔いしれてください! 踊り狂え!"と言い放ったあと、最新ミニ・アルバム『ABANDONSYSTEM__』から「TATSUMAKI」を投下し、目まぐるしい音の嵐へとフロアを巻き込んでいく。"まだまだ足りねぇよな!? とことんまで行くぞ! ついてこいよ渋谷!(宮田)"と、息つく間もなく「B.A.I.B」でさらにボルテージを高め、フロアも手を掲げ食らいついていった。

MCでは2021年末に日本武道館で行われた"DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP"でのノクブラのステージに宮田がゲスト出演したことに触れ、それを機に急速に仲が深まったとのことで"ちょっと怖かったけど、一緒に喋ってみたらめっちゃいい筋肉"と冗談を交えながら説明。観客全員を"ノクブラ出てこないで"という状態にまで消耗させることが最大の恩返しだとし、「She'll Never Forgive To Be Insulted.」、「This World Is Unreasonable.」の高速メタルコア・ナンバー2連発でさらに攻め立てていく。ラストは宮田が"NOCTURNAL BLOODLUSTに出会えて本当に良かった。今ここに立てて本当に良かった。あいつらとライヴができることが嬉しい。その気持ちを、今ここにぶつけて帰ります!"と想いを述べ、「Re:Create of the Re:d」、「Nex:us」の2曲をプレイ。フル・スイングのパフォーマンスで、ノクブラへしっかりとバトンを繋いだ。

『ARGOS』の1曲目である「The Devastated World」をバックに、ノクブラのメンバーが登場。そのまま2曲目の「Red Soil」へと繋げ、ライヴがスタートした。時折笑顔を浮かべながらオーディエンスを目で煽るYu-taroと、クールな佇まいのValtzによるツイン・ギターは、飄々とテクニカルなフレーズを繰り出すさまが圧巻だ。どっしりと構え重低音を支えるMasa(Ba)や、長髪を振り乱しながらアグレッシヴなドラミングを繰り出すNatsuは、聴覚にも視覚にも訴えるパフォーマンスでフロアを高揚させる。そしてオーバーサイズのアウターを身に纏った尋は、縦横無尽に動き回りながら強烈なスクリームを叩きつける。"今日1日、後悔すんじゃねぇぞ! 思いっきし楽しんで、思いっきし燃え尽きる! 最後にはめちゃくちゃ美味い酒飲んで優勝すんぞ!"と尋が焚きつけると、続けて「Life is Once」、「Bow Down」を投下。ギアを一気に高めていった。

MCでSHADOWSとの再戦を約束したあとは、「Punch me if you can」、「銃創」、「Eris」と新旧の楽曲を織り交ぜさらに加速。超重低音の凶悪な音像ながら、それぞれの楽器の細かな動きまで聴き取れるサウンド・プロダクションも秀逸だ。SEを挟み、シネマチックな世界観を展開する「Cremation」ではゲスト・ヴォーカルにWORLD END MANのKiyo Nishiharaが登場。尋と顔を突き合わせ、一触即発の危険な空気感を醸しながら、ブルータルな咆哮で観客を圧倒した。続けて"休んでんじゃねぇぞ!(尋)"と、高速デスコア・チューンの「Dagger」で畳み掛け、リベリオンの宮田を招いた「REM」を披露。今回が3度目の共演とあって、宮田の"行くぜ武道館!"という掛け声に端を発したそのステージングは、尋と宮田がセンターでライン・ダンスを披露したり、流麗なソロを弾くValtzへ後ろからちょっかいを出したりと自由奔放。そのうえで鼓膜にはアグレッシヴで強靭なサウンドがなだれ込んできて、まさにカオスの様相だが、すべてひっくるめて"カッコいい"という場所へと着地させているのは見事だ。「the strength I need」では打って変わって、ミドル・テンポのエモーショナルなバラードを聴かせ、表現の振り幅を見せつけた。

続くMCでは、尋が"呼吸ができないくらいすごかったでしょ?"とこれまでのライヴを振り返り、Kiyoや宮田との交友関係について語る。そして、"誰かが「NOCTURNAL BLOODLUSTは死んだ」と。勝手に決めつけてんじゃねぇぞ! てめえらは一生後ろ向いて歩け! 俺たちは前向いて歩きます! ここにいるんだよNOCTURNAL BLOODLUSTは! そして暴れまくって暴れまくって、行くとこまで行こうぜ!"と吠え、「Reviver」をドロップ。現体制の充実ぶりを象徴するような、キャッチーでストレートながらテクニカルなサウンドで魅せ、観客も手を挙げてそれに応えていった。本編最後は、日本のみならず世界を視野に入れた展開への決意を語り、最新アルバムから「Straight to the sky」を披露。曲中では観客にスマホのライトを点けるよう求めていたが、ひとりひとりの手から放たれた光がステージを照らす光景は、ファンのバンドを支える想いが具現化されたようで壮観だ。大サビにはリベリオンの小林も登場し、ハイトーンのヴォーカルを交えた爽快で壮大なサウンドスケープを描いていった。

アンコールに応え、ツアーTシャツに着替えたメンバーが姿を現した。尋はカットオフのTシャツで逞しい腕をアピールし、"筋トレしたいか!? ムキムキになりたいか!? 筋肉の向こう側を超えろ、渋谷!"と叫び「マッチョ オブ ザ ワールド」を投下。オーバーサイズのアウターを着込み、シリアスな世界観を見せつけた本編は、もはやこの曲への壮大な前フリだったんじゃないかと思うほどの(いい意味での)ギャップだ。ポージングを決め、爽やかな笑顔を浮かべる様子はコミカルさもあるが、ただカッコいいだけではない人間味や親しみやすさがグッと増した印象で、大いに盛り上がりを見せる。続けて「T.Y.R.A.N.T」、「A Bullet of Skyline」を繰り出し、フロアの熱量をさらに高めていった。止まない拍手を受けて、Wアンコールで披露されたのは人気曲「V.I.P」。Masaのベース回しも飛び出し、最高潮の興奮のなかでフィナーレを迎えた。

ライヴ中の"最高のアルバム『ARGOS』、最高の曲作って帰ってきました!"という言葉どおり、苦難を乗り越えた先の強靭なパフォーマンスを見せつけたノクブラ。ストイックな演奏はもちろん、時にシリアスに、時にコミカルに振り切ったステージは、まさに"エクストリーム"という言葉が相応しいし、そのライヴはバンドを初めて観る人だけでなく、かつての彼らを知る人にとっても、新鮮な驚きをもたらすことだろう。逆境を知る者こそが、真の強さを手に入れることができる――そんな言葉が思い浮かぶような、タフなライヴだった。


[Setlist]
■a crowd of rebellion
1. coelacanth
2. リビルド
3. M1917
4. TATSUMAKI
5. B.A.I.B
6. She'll Never Forgive To Be Insulted.
7. This World Is Unreasonable.
8. Re:Create of the Re:d
9. Nex:us

■NOCTURNAL BLOODLUST
SE - The Devastated World (Special Ver.)
1. Red Soil
2. Life is Once
3. Bow Down
4. Punch me if you can
5. 銃創
6. Eris
SE - THE ARGOS
7. Cremation feat.Kiyo Nishihara (WORLD END MAN)
8. Dagger
9. REM feat.宮田大作 (a crowd of rebellion)
10. the strength I need
11. Reviver
12. Straight to the sky feat.小林亮輔 (a crowd of rebellion)
En1. マッチョ オブ ザ ワールド
En2. T.Y.R.A.N.T
En3. A Bullet of Skyline
W En. V.I.P

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