INTERVIEW
ステミレイツ × a crowd of rebellion
2024.01.12UPDATE
2024年01月号掲載
2月25日の川崎CLUB CITTA'公演から全国ツアー"STMLT STORMBREAKER JAPAN TOUR"をスタートさせる5人組YouTuberガールズ・バンド、ステミレイツ。初の全国ツアーを開催するにあたって、シーンで活躍する先輩に様々なことを教えてもらおうという3ヶ月連載座談会企画も今回で3回目、いよいよ最終回となる。ラストを飾ってくれたゲストは、a crowd of rebellionの宮田大作と小林亮輔。ライヴや楽曲制作についてなど、気になっていることを質問していくステミレイツメンバー(1名が大緊張)と、阿吽の呼吸で連携をとって答えていく宮田と小林。最終回も終始賑やかに繰り広げられたトーク・セッションの模様をお届けする。
ステミレイツ:ゆきっぺ(Vo) 輝星(Gt) あやのん(Key/デスボ) あきら(Ba) ごみちゃん(Dr)
a crowd of rebellion:宮田 大作(Vo) 小林 亮輔(Vo/Gt)
Interviewer:山口 哲生 Photographer:Kanda Yukiya
一番良くないのが、中途半端になること(宮田)
-第3回のゲストには、a crowd of rebellionの宮田さんと小林さんが来てくださいました。ステミレイツのみなさんとしては、リベリオン(a crowd of rebellion)の魅力や印象というとどういったものがありますか?
ごみちゃん:私がドラムを始めたときにすごいハマって聴いていたので、今日はめちゃくちゃ緊張してて(苦笑)。座談会が決まったときも"どうしよう......!"みたいな。
あやのん:めっちゃ喜んでました(笑)。興奮してたよな。
ごみちゃん:ドラムを始めた頃は、ロック・バンド自体あまりよく知らなかったんです。わりとポップな感じのバンドから聴き始めていたので、激しい曲とか、それこそツインを踏んでいる曲とかはそもそも聴いてきてなくて。そのときに出会ったんですけど、"このバンドめちゃくちゃかっこいい!"ってなって、そこからずっとリピートしてました。
宮田&小林:ありがたい。
宮田:この歳になってくると、そうやって言ってくれる方がちょっとずつ増えてきて。いやぁ、もうおじいちゃんだなって。
輝星:いやいやいや(笑)。
-あやのんさんはいかがです? リベリオンの印象というと。
あやのん:スクリームがめっちゃかっこいいです! 自分もデスボやってるんですけど、ワンフレーズしかやっていないので、めちゃくちゃ尊敬します。シンプルに。
宮田:ありがとうございます。なんていうか......シンプルに(褒められることに)慣れてなくてすみません!
ステミレイツ一同:はははははははは(笑)!
小林:発声に関してはお互いいろいろ研究していて。完全に喉がダメになっている状態だったときに、静岡でCrystal Lakeと対バン("Dystopia tour")したんですけど、"これは負けてられっか!"って全部やっちゃったら、ポリープが6個できて。
ステミレイツ一同:ええええええ!!!!
小林:この人(宮田)はもう声がまったく出ない状態で、バカでかいポリープができて。
宮田:(※あやのんに)大変だよね?
あやのん:私はちょっとやっただけで喉がうわぁってなるので。
宮田:俺もそう。だってさ、(※ヘッドセット・マイクを口に近づける動きをして)こうやってやってるよね?
あやのん:やってます。
宮田:俺もあれやってみたい。
ステミレイツ一同:ははははははは(笑)。
あやのん:普通のマイクでもやってますし、そっちのマイクでもやってます。
宮田:あれすごいね。
あやのん:いやいやいやいや。全然です。
-今回の企画は、ステミレイツが2月から初の全国ツアー"STMLT STORMBREAKER JAPAN TOUR"を開催するにあたって、先輩にいろいろとお話を聞いていこうという内容になっていまして。
輝星:まだ結成してまもなく2年で、ライヴも3回しかしたことないんですよ。経験値がなさすぎて。
あやのん:それで全国か......! っていう。
輝星:助けてください!
小林:でも、音源とかいろいろ聴かせてもらったんですけど、「刺激」(2022年配信リリース)とか、どうやってあんなにきれいにパッと頭に行って、喉を崩さずに歌えるのかなと思って。
ゆきっぺ:ありがとうございます! 私、ロックを全然通ってきてなくて、もともと合唱団に8年間ぐらい所属していたので。
小林:だからかぁ。
ゆきっぺ:今はかっこいい歌い方を聴いて勉強してます。
小林:全然かっこいいですよ。
宮田:連続でライヴをやった経験とかは?
輝星:連続はまだないです。単発で、その間も結構空いていた感じだったので。
宮田:今回は連チャンはあるんですか?
あやのん:2日連続はあります。
宮田:......やめましょう!
ステミレイツ一同:ははははは(笑)!
宮田:早くマネージャーさんに言ってやめさせてもらおう(笑)。
小林:僕らも連チャンとかすると......まぁ、加齢なのかな(笑)。昔からずっと"力を入れないようにしようね?"ってお互い約束しているのに、本番はやっぱり力が入っちゃって。で、喉を痛めて、また壊さないようにって薬を飲んで、十分に睡眠を取って......みたいなルーティーンをして、いいところまで持っていくっていう。
宮田:3連チャンのときは、1日目に3日目のことを考えたりとかするんですよ。"このまま行くとヤベぇな"みたいな。でも、ライヴになるとそういうの全部頭から抜けちゃって、1日目のライヴのあとにもう喋れなくなる。だからまぁ......冷静にやりましょう、ライヴは(笑)。
ごみちゃん:理性を保たなきゃ。
-この流れで、最初の質問はあやのんさんからいきましょう。
あやのん:シャウトに関して、個人練習とかをするときに意識してやっていることはありますか? "こうすればうまくできるよ"みたいなコツとかあったら教えてもらいたいです。
宮田:シャウトの練習か......。
小林:レコーディングのときに発見して、やったりしてない?
あやのん:発見?
宮田:そう。録りながら、"この出し方、いいな"みたいな。
ステミレイツ一同:えぇー!
あやのん:やっぱセンスなんだ......。
宮田:俺、もともとは普通に歌うのが好きなんですよ。
小林:なんなら俺より全然うまいし、レンジもめちゃくちゃあるんで、俺のキーも全然出るし。
宮田:うん。"普通に歌うのが好き"からシャウトを覚えたっていう特殊なタイプで。だからシャウトの練習って言われると、例えばスタジオにひとりで入っても、アコギを持ってゆずとかミスチル(Mr.Children)とかずっと歌ってる(笑)。
あやのん:あんまりシャウトの練習はしてないんですか?
宮田:うん。ただ、喉を手術してからは、これを繰り返したらダメだと思って、あんまり声帯を使わないシャウトみたいなのは研究というか、探したりはしてるっすね。でも、どういう練習をするかというよりは、どっちかというと身体をしっかり作るっていうことをしてる。ライヴの前にしっかりストレッチするとか。声を出すというよりは、どれだけ身体を柔らかくしておくかっていうほうに重点を置いてるっすね。だからライヴは"そのときのシャウトでええやん"みたいな。急にエセ関西弁が出たけど(笑)。
あやのん:ははははは(笑)。でも、それでできるのがマジですごいです。
宮田:でも、たぶんみんなめっちゃ練習してると思うよ、俺が特殊なだけで。ただ、ひとつだけ覚えた技っていうと、吸うスクリームを覚えました。それが一番デカいかな。
小林:そうだと思う。『Zealot City』(2020年リリース)っていうアルバムをコロナ禍で出したんですけど、みんな暇だろうからめっちゃ曲を入れようと思って。そのなかで、(レコーディングは)喉を休ませながらやっていたんですけど、"これ使えるんちゃう?"みたいな。
宮田:それが一番役に立ってるかなぁ。全部"吐き"で、全部力を使っちゃうのをずっと今までやってきたから、言い方は悪いかもしれないけど"吸い"で休むっていうのは習得しましたね。
-あやのんさんは普段どんな練習をしてるんですか?
あやのん:先生がいるので、レッスンに行っていて。
宮田:シャウトの? 誰?
あやのん:MAHONEさんです。
宮田&小林:あぁー!
宮田:MAHONE君、いいと思う。喉を傷つけないシャウトを教えてて。
あやのん:そうです。それで傷まなくなってきたので、今は月に2回ぐらい行ってます。
宮田:MAHONE君は間違いないと思う!
あやのん:すごい信頼!
小林:MAHONE君、ごめん! 正月連絡返せなくて。
ステミレイツ一同:ははははははは(笑)。
輝星:めっちゃ仲いいんですね(笑)。
-小林さんは喉に負担をかけないような歌い方やメンテとかはどうされてます?
小林:僕は本当にまだ悩んでますね。今掴んだかなっていうのはクイック・ブレスっていう、お腹を一瞬で膨らませて、みたいな技術なんですけど、なかなか難しいんですよねぇ。練習としては......昔ボイトレの先生に、昔の曲をやると当時の自分が憑依しちゃって、絶対に喉を使ってまた危ないことになっちゃうから、そこを気をつけて歌ったほうがいいかもねって言われたことはありましたね。あとは身体を作って、息をどれぐらい持たせられるかっていう。喉を切ったあとに何回か病院に通っていたんですけど、"吐く息の量が50秒以上続かないと、あなたはこのキーは出ませんよ"って言われて。
ステミレイツ一同:えぇ......。
小林:でも3ヶ月喋っていないもんだから、30秒とかしかできなくて。"これじゃ無理だね"って言われたのが悔しかったから、次の週に行ったときの最高記録が1分半。
ステミレイツ一同:おぉー!!
-ゆきっぺさんは歌うときに気をつけてることはあります?
ゆきっぺ:出し方というよりは、喉を乾燥させないようにしてます。合唱団のときに習っていた歌い方と今は全然違うんですけど、喉を開き切って歌うっていう、そのときに習ったことを土台にして、かっこいい歌い方を研究してます。たぶん、全部ロックな歌い方に振り切っちゃうと、私は喉をダメにしちゃうと思うので。長く歌い続けたいから、腹式呼吸で喉を使いすぎないような歌い方を研究しながらやってます。
宮田:合唱団的な歌い方っていうのは、(※オペラのような歌い方で)"あぁ~~~~!"みたいな感じ?
ゆきっぺ:そうです! 腹式呼吸の発声体操みたいなのがあって、行程が10個ぐらいあるんですけど、それを1時間半かけてやってから歌うっていうのを8年間週1でずっとやっていたので、そのときに呼吸法は身についていて。長い時間、声量が変わらずに歌えるのはそれが大きいのかなぁと思います。
宮田:すげぇ。教えてほしい。
小林:だからあれだけのハイ・ノートが出るんですね。
ゆきっぺ:だと思います。肺活量はめちゃくちゃ鍛えられたので。
あやのん:めっちゃ声デカいもんな?
ごみちゃん:普段はそうでもないけど、歌い始めると声量が全然違う。
あやのん:YouTubeのときは0.5ぐらいなのに......。
ゆきっぺ:バカにしすぎ(笑)! 今はそこまではやっていないんですけど、もう癖になっているので、普通の呼吸からわりと腹式になっちゃってて。だから普通に歌うぶんには、結構長い時間歌っていてもあんまり枯れない感じにはなってますね。
宮田:めっちゃいいじゃん!
小林:教えてもらいたい。
宮田:(※あやのんに)教えてもらえば?
あやのん:たしかに(笑)。教えてもらおかな。あんまりメンバーにそういうことを詳しく聞くこともなかったから。
輝星:(ゆきっぺは)まだレッスンしてないもんね。
ゆきっぺ:うん、ボイトレはまだ。
輝星:なぜかデスボのレッスンだけあるっていう。
-では、次の質問はあきらさんいきましょう。
あきら:曲を聴いて、すごく感動しました! ありがとうございます!
宮田&小林:はははは(笑)。
ゆきっぺ:入りがおかしい(笑)。
あやのん:(あきらは)いつもこんな感じなんで。
宮田:そうなんだ(笑)? "ありがとうございます"は私たちの言葉でございますからね。
あきら:私たちはまだ全然曲数がないんですけど、セットリストを組むときに重きを置いている点はありますか?
輝星:うちらは今4曲しかないんですよ。
宮田:今度のライヴどうしようかなって、今さっきちょうど話してたところだったんだけど、やっぱり16年ぐらいやってるとクソ飽きてくるんですよ(笑)。
ステミレイツ一同:えっ!?
宮田:固定されてきちゃうから。"最初にこう来て、中盤でこうして、最後はこうやって終わるよね"みたいな。最初の頃はそれでいいのかもしれないんだけどね。"これが私たちです!"っていうのを知らせるためにも。でも個人的には、自分がお客さんだとしたら、毎回同じだったらクソつまんねぇなと思っちゃう。ごめんなさい、ゲットー上がりなんで言葉遣いが悪いんだけど。
小林:ふたりともスラム上がりなんで。
ステミレイツ一同:ははははははは(笑)。
宮田:そこらへんを最初から気にしてやっていたら面白いかもね。やっぱり固定されている人たちってめっちゃ多くて。それもいいところだと思うんだけど、でも固定しないほうが"次は何が来るんだろう"みたいな。最初のSEも毎回変えたりしていると、俺がお客さんだったとしたら毎回ライヴが楽しくなるだろうなって。最近はそう考えながらやってますね。自分がお客さんだったら、何が来たらワクワクするかっていう。
小林:僕はもともと(a crowd of rebellionの)ファンで、そこからバンドに入ったので、たぶん当時から潜在的にそういうところがあったと思うんですけど、"この曲から始まるんだ?"って思うとやっぱりゾクゾクするし、今もそういうところが好きだから、"この日はこういうふうにしよう"とか、みんなで話したり。
あきら:みんなで決めてるんですか?
宮田:基本は俺がベースとなるものを考えて、そのあとみんなで考える。今回のツアーは全部ワンマンですか?
あきら:ワンマンです。
宮田:なら大丈夫! 対バンの場合だったら、その日はどういうイベントで、どういうお客さんが来て、何を求めている人が多いのかとか、そういうのを考えながら作るほうが、おじいちゃんはいいと思うなぁ。
小林:おっさんもいいと思う。
ステミレイツ一同:ははははははは(笑)。
宮田:その逆もいいと思うけどね。"どんな客がいようが、誰が観ていようが、私たちはこういうライヴをする"っていうのもありだし。だからそのどっちかじゃないですかね。一番良くないのが、中途半端になること。どっちかに寄せずに真ん中を行くのが、たぶん一番クソつまんないライヴになるから。さっきからクソ、クソ言ってますけども。
ごみちゃん:そこはちゃんと決めたいね。
宮田:そうそう。自分らの中で、私たちはこれからどうなりたいのか......ってさっきから俺すげぇ偉そうだな(苦笑)。
ステミレイツ一同:いやいやいやいや!
あやのん:全然です。
宮田:大事かもしんないっす! 16年やってきて、やっとちょっとわかった(笑)。