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LIVE REPORT

a crowd of rebellion

2022.05.14 @LIQUIDROOM ebisu

Writer 米沢 彰 Photo by Yuto Fukada

a crowd of rebellionのツアー・セミファイナルは、NOISEMAKERが先陣を切る形でオンタイムでスタート。彼らの持ち味であるキャッチーなメロディと心地いい縦ノリのサウンドが、みるみるうちにフロアに火をつけていく。"ロットン(ROTTENGRAFFTY)とのツーマンが中止になって2年。ロットンとの前にリキッド(LIQUIDROOM ebisu)に出るのはどうかと思ったけど、リベリオン(a crowd of rebellion)に誘われたら断れねぇ!"とAG(Vo)がツーマン実現の舞台裏を明かすとオーディエンスは大いに盛り上がる。巧みなパフォーマンスでフロアのテンションを上げ、リベリオンへと完璧にバトンを繋いだ。

オーディエンスの手拍子に迎えられてリベリオンのメンバーが登場。音を鳴らしたその瞬間からオーディエンスに衝撃が走るのが見て取れる。現時点で最新のMV曲でもある「TATSUMAKI」からスタートした。メンバー・チェンジの影響を微塵も感じさせないどころか、よりタイトになり切れ味を増したサウンドで鬼気迫る演奏を見せる5人。続く「O.B.M.A」は、サビでオーディエンスが左右に手を振る動きが最前列から後ろまで連なる圧巻の光景がフロア全体に広がる。音のキレがいいのに引っ張られて、オーディエンスの手の振りもやたらとキレが良くなっちゃうのが後ろから見ていて面白い。メンバー全員が尋常じゃないパフォーマンスを発揮し、フロアを一気にヒートアップさせていく。リベリオンの恐ろしいところは"ツアーのたびに異次元に生まれ変わっている"と毎回感じさせる懐の深さにある。フリーザで言ったら今は第1917形態ぐらい、たぶん。中でもあの手数と変則的な構成をものともせず、バンドにグルーヴとキレをもたらす近藤 岳のドラムには毎回シビれさせられる。

「Alone//Dite」では、バンドのサウンドがタイトすぎて、楽曲に同期するSEを完全に超越してしまったように感じられた。作り込まれ形を整えられたサウンドに、リアルタイムの生演奏が打ち勝つなんてそうそうないことが、このバンドには普通に起きてしまうのが恐ろしい。この曲に限らずありたい姿、理想の姿があまりに高すぎて、自ら生み出した期待に追いつこうとずっと必死で走り続けた彼らのここまでの苦しみ、葛藤、進化が公演のあちこちで感じられる。"俺たちのすげぇ枝分かれした音楽の、大もとの幹の部分をやろうと思って"と宮田大作(Vo)が語ってからスタートしたのは「Hydrangea」。彼らが2007年結成のバリバリのスクリーモ全盛期世代だったことに改めて思い至る。海外勢を含め、スクリーモで今も残っているバンドはとても少ない。その中でマインドをしっかり煮詰めながら独自の進化を遂げ、今もなお貪欲に変化しつづける彼らの存在は日本の音楽シーンにとってとても重要だということに気づかされる。

彼らの初期衝動を改めて覗かせたうえで、「FASTER THAN SKANDA」、「Raccoon Dead」、「ZENITH」とキレキレの楽曲を次々に繰り出し、オーディエンスを巻き込みながら公演のクライマックスを一気に作り上げていく。目まぐるしい展開に食らいつきながら、フロアにいる全員が全身全霊で楽曲を楽しんでいるのが伝わってくる。そしていったんの締めくくりとなるのは「M1917」。あの場にいたほとんどの人間がイントロで鳥肌が立ったはずだ。さんざん上げてきたボルテージでその展開はズルい、としか言いようがない。がっつりと盛り上がったうえに、アンコールでは、「Black Philosophy Bomb」でオーディエンスのエネルギーを最後の一滴まで絞り出させて、圧巻のツアー・セミファイナルの幕を下ろした。

モッシュ禁止、声出し禁止、シンガロング禁止では生殺し感がどうしても拭えないのもまた、否定しようのない事実だと感じさせられた。2アーティスト共にパフォーマンスが圧巻だっただけに、これでは"地方から出てきて初めてのライヴ♥"みたいな生娘をシャブ漬けに、じゃなかった、ライヴ漬けにすることがどこまでできるというのか。ライヴを楽しむ人口を増やしていけるのか、今とても大事な岐路に立たされていることが強く意識させられる公演でもあった。

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