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LIVE REPORT

a crowd of rebellion

2023.05.21 @SHIBUYA CYCLONE

Writer : 吉羽 さおり Photographer:ゆうと。

昨年、中尾佳介(Ba)が正式加入し新体制となったa crowd of rebellion。今年3月には新体制第1弾となるミニ・アルバム『ALVA』をリリースし、地元新潟をスタートに全国7ヶ所を回る"ALVA:ONE MAN TOUR 2023"を開催、その最終日が5月21日SHIBUYA CYCLONEで行われた。コロナ禍もツアーやライヴを行ってきたが、声出しが解禁となってからは初のワンマン・ツアー。それだけにバンドはもちろん、フロアのボルテージも1曲目「ALVA」から振り切れた状態になっていく。約3年間溜め込んできた思いを、この時を待っていたとばかりにまずは大声で、全身でぶつけ合うようなライヴだ。

ずしりとヘヴィで、また攻撃的に突き進んでいく近藤 岳のビートと、そこにアクセントをつける中尾のベース、士気高まるリフや泣きのフレーズで観客の拳を引っ張り上げていく丸山 漠のギター、そしてハイトーンのクリーンVo 小林亮輔とシャウト 宮田大作の2枚刃が、観客を揺さぶっていく。感情がうねりを帯びて上昇していくドラマ性の高い「ALVA」から、クリーンとシャウトのコントラストと多彩なアンサンブルの表情で魅せる「Lightning-Syndrome」、フロアを眺め"最高だ"という宮田の言葉と共に、躍動的なビートに手拍子とシンガロングが巻き起こる「M1917」が続き、始まりから凄まじい熱気で会場が満ちていく。

声出しはもちろん、リミッターも解除されたフロアに向けて宮田は"全員で笑って帰ろう"と語り掛ける。好きにやっちゃってと言いながらも、a crowd of rebellionはいろんな曲調がある、周りの人のことも気にするんだぞと、フロアを埋めた様々なファンに目配せをしながら盛り上げていく姿が印象的だ。ミニ・アルバム『ALVA』を軸に、中盤はこれまでの曲を交えよりアグレッシヴに展開していく。弾むようなビートとリフでスタートし、ストレンジなハイトーンVoとシャウトの掛け合いでカオスへと突入していく「Black Philosophy Bomb」から硬質なメタルコア「Never Say A Gain」で手拍子を大きくし、豪快なドラム回しでショーアップした「Smells Like Unknown」で大合唱を巻き起こす。響き渡る観客の声が、さらに曲をタフにしていくことにグッとくる瞬間だ。

また『ALVA』の中で1曲だけ"めっちゃ悪口言ってる曲がある"と、宮田が「TFTL」の怨念のようなシャウトをぶちかまし、アンサンブルもノイジーさを極めていった。あまりに白熱したのか、ギターの機材トラブルも発生。このCYCLONEでは以前にも同じようなことがあったとメンバーは回想し、"CYCLONEでは何かが起きます"と笑い、常套句だがと添えながら"これが、ライヴだ"(宮田)と場を繋ぐ。ハイボルテージで突っ走ってきただけに通常ならハラハラするような状況だと思うが、そこは結成から15年以上着実にライヴを重ねてきたパワーで乗りこなし、"CYCLONE、かかってこいや!"の叫びと共にさらにテンションを上げa crowd of rebellion節たる様々な展開で織り成されるプログレッシヴな「Calendula」へと突入していった。

また本来は次の曲も連投する予定だったようだが、ツアー・ファイナルを迎え、これまでのいろんな思いが胸に去来したのか、小林が"本当は俺は、このツアーがめちゃくちゃ怖かったんだ"と語る。"でも、みんなの顔を見て、歌ってくれる姿を見て、怖くなくなっていた"と、さらに込み上げる思いを押さえ込むように話した。コロナ禍も活動やライヴは行ってきたが、そのときはその状況をなんとかして乗り越えることに必死だったのだろう。バンドだけでなく、観客も思いは同様だ。小林の素直な吐露に観客もまた目元を拭うようにして頷く。溢れる気持ちに、互いに照れ臭い間も味わいながら歌い上げた「Room key」は、さらに神聖に、多幸感を持って響いた。

近藤の圧倒的なドラム・ソロで再び熱を高めて突入した終盤は、怒濤の展開となった。"遊びの時間だ!"(宮田)という叫びで「MEI」を幕開けると、スピードをぐんぐんと上げてブラストビートと華麗なリフの応酬による「A Malice Of Rider」、そして攻撃的に、メロディアスにとカオティックに展開していく『ALVA』収録曲「THE XXV MILLION」でフロアをもみくちゃにする。まだまだとばかりに、最狂曲「O.B.M.A」を叩き込んでいく容赦ない展開と、さらにダイナミックにステップを巻き起こし、ダイバーを生んでいく「She'll Never Forgive To Be Insulted.」でクライマックスを更新。

ラストとなった「Ill」では"お前らの気合、見せてもらいましょうか"と宮田が凄まじい咆哮を轟かせ、フロアの熱狂に身を投じるようにしてシンガロングを起こしていった。ここで終われるはずもなく、大歓声に迎えられアンコールまでフルスロットルで駆け抜けたa crowd of rebellion。ひとまず"ALVA:ONE MAN TOUR 2023"本編を駆け抜けたが、盛況のツアーを受けて追加公演"ALVA:ONE MAN TOUR 2023 -EXTRA SHOW-"、"ALVA:ONE MAN TOUR 2023 -EXTRA SHOW 西日本編-"がスタートし、多数のフェスやイベント出演が決まっている。昨年の結成15周年を経て、最高の2023年を約束するライヴを見せてくれたツアーだった。

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