INTERVIEW
a crowd of rebellion
2015.09.02UPDATE
2015年09月号掲載
Member:宮田大作(Vo) 小林亮輔(Vo/Gt) 丸山漠(Gt) 高井佑典(Ba) 近藤岳(Dr)
Interviewer:荒金 良介
-これはもう異常なアルバムですね。
宮田:異常? その言葉は嬉しいです(笑)。
-異常と言いたくなるくらいすごい作品です。熱量、技量、楽曲クオリティ、今持てるバンドの武器を総動員して、磨き上げて、封印したような1枚だなと。
宮田:前回のシングル『The Crow』(2015年3月リリース)で見せたキャッチーさ、わかりやすさを継承しつつ、自分たちのやりたいことを詰め込めた作品です。サビはよりキャッチーになってるし、重いパートはより重くなってる。結局ウチらは自己満足でやっているバンドですからね。自分たちの満足感を満たしつつ、聴く人にもわかりやすく伝えることを考えました。ええと、異常系でしたっけ?
-ニュアンスはほぼ合ってます(笑)。
宮田:そういう反応をいただけるとは思っていなかったです。"わかりやすくなりましたね?"と言われると思ったんですよ。だから、異常系と言われると嬉しいです(笑)。
-もちろん前回のシングルで見せたキャッチーさに磨きをかけつつ、その正反対にある激しさやカオス感もより一層高まってるので。
宮田:上下の幅はさらに広がったかもしれないですね。
丸山:"異常"は1番嬉しい言葉ですね。
-そうなんですか?
宮田:叙情系じゃなくて、"異常系"を目指します!
-そこばかり押しても仕方ないので、まずひとりずつ今作の手応えを聞かせてください。
小林:見事に一本の樹になってくれたというか。アルバム名の"Daphne"(読み:ダフネ)は月桂樹という意味で、このアルバム名は完全にあとからつけたんですよ。
-えっ、そうなんですか?
小林:はい。EPを出そうとなったときにひとつずつ違う曲ができて、一見バラバラに思えたんですけど、根底は一緒だなと。そこに"Daphne"という名前がついたことで、完全に1本の樹になりえた、という感じですね。本当に大変でした。
-何が大変だったんですか?
小林:今回は制作環境も変わって、短いスパンでガッとやらなきゃいけなくて。追いつめられるというか、極限状態で1曲ずつ作り上げました。それこそTrack.2「BLACK ANTHEM」はレコーディングの歌入れ当日に、"サビの歌メロを変えて欲しい"とメンバーに言われて。"えっ、マジか!"と。それから寝ないで、朝の8時にやっと日本語詞を書き上げて、10時に歌入れしましたからね。
-「BLACK ANTHEM」はもともと全部英語だったんですね。この英語と日本語がバランス感が最高だなと。
宮田:ですよね?
小林:みんなが正しかったんだ(笑)。
丸山:最初、英語で歌入れしたけど、なんかパンチがなくて。
-"Daphne"というアルバム名から察して、最初からコンセプトありきだと思ってました。
宮田:まったく違いますね。
小林:僕らそういうことができないんですよ。コンセプトを作ると、その枠組から抜け出せなくなる。今回は限りなく"無"の状態から作ったので、こういう作品になったのかなと。
-丸山さんはどうですか?
丸山:1曲1曲の明確さは増したと思います。この曲はタテノリ、この曲は疾走みたいな仮のテーマがあって、それをうまくまとめることができた。とてもいい作品ができたと思います。EPは曲数もあるので、同じもので固めてもしょうがないですし。方向性はバラけているけど、バランスのいい作品だなと。
近藤:今、獏が言ったように、それぞれの楽曲のテーマが明確だったので、その分ドラムのフレーズもうまく噛み合わせることができました。アレンジの幅も広がりましたね。今まではいろんなものを取り込んで、自分たちらしさに変えてきたんですけど、今回は楽曲に合わせたアレンジを心がけました。獏と話して、歌に寄り添うようなアプローチを意識して。
高井:僕は過去作も時系列に聴いてみて、根本的なところは変わらず、ここまで来れているのかなと感じて。メジャーに行っても、こういう作品を出せるのは幸せですね。メジャーで協力してくれる人も増えて、大きなイベントにも出る機会もあり、さらに注目されている状況でこの作品を出せて良かったです。
-根本にある自分たちらしさを言葉にできます?
高井:ふたり(宮田と小林)の歌の対比が大きいかな。メジャーに行くと、クリーンが増えるバンドも多い気がするけど、俺たちはそうならない。
-それはアグレッシヴさは失いたくないから?
宮田:アグレッシヴさというか、ヒネクレ感ですかね。"闇感"というか。前よりは少し明るくなったけど、そういう根暗さみたいなものはずっと持っているんですね。あとは人間があまり好きじゃないんで、まあ自分も人間なんですけどね。