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INTERVIEW

a crowd of rebellion

2023.03.10UPDATE

2023年03月号掲載

a crowd of rebellion

Member:宮田 大作(Vo) 小林 亮輔(Vo/Gt) 丸山 漠(Gt) 中尾 佳介(Ba) 近藤 岳(Dr)

Interviewer:米沢 彰

サポート・ベーシストとしてバンドを支えていた中尾佳介を正式メンバーとして迎え入れ、バンドとしての新章を歩み始めたa crowd of rebellionが、8枚目となるミニ・アルバム『ALVA』をリリースする。4月からは"KNOTFEST JAPAN 2023"への出演やワンマン・ツアーの開催を控える5人に、作品についてはもちろんのこと、バンドの今とこれからについて訊いた。

-2022年のミニ・アルバム『ABANDONSYSTEM__』リリース時(※2022年1月号掲載)以来、1年2ヶ月ぶりのインタビューになりますね。この間、中尾さんが正式メンバーに加入されるなど、バンドにとって大きな変化があったと思いますが、振り返ってみていかがですか?

小林:いろんなことがありましたね。例年よりも激動というか、濃かったなって印象でした。キャパがいっぱいいっぱいになりすぎて、具体的にどんなことがあったかとか、ひとつひとつが細かく思い出せないくらいいろんなことがあった印象ですね。

-その中で一番大きいことってなんでしたか?

小林:やっぱり中尾の加入ですね。昔からの付き合いですけど、バンドを組んだことはなくて。中尾がメンバーになって、ベースを弾いて俺らと合わせると、こういうふうになるんだって衝撃が大きかったですね。

宮田:俺も亮輔と一緒になるけど中尾の存在は大きいですね。サポートのときから作業の面でも支えてくれてたし。メンバーになってからは、より自分のできることを探してやり出してくれて。中尾はもともとドラマーなので、ベーシストで入ったにもかかわらずドラムのことも専門的にわかってて、岳とリズム隊としてもっとこうのがいいんじゃないかっていろいろ話し合いをするようになって、明確にリズム隊の絆が深まっていってるのが、『ABANDONSYSTEM__』から今までの傾向なのかなって感じてます。精神的にも助かってる部分はいっぱいあって。中尾と俺は11歳差で、僕38歳なんですけど、27歳の彼に精神面で助けられることが多くなりましたね。

-中尾さんが午前四時、朝焼けにツキでドラマーとしてやってたときって、小林さんと時期的には被ってないんですよね?

中尾:ちょうど入れ違いだったんですよ。メンバーチェンジのタイミングで。一緒にやろうよって言われたのに、入ったら先に抜けて。

小林:違う違う。俺がやめるって言い出したら、ドラムも一緒にやめるって言い出して、それで中尾にやってって言って、無理矢理入れたんです。

中尾:当時からリベリオン(a crowd of rebellion)には引きずり回されてます(笑)。

-サポートを経て正式加入に至るまでの経緯をうかがえますでしょうか?

中尾:経緯はあるっちゃあるけど、ないっちゃないんです(笑)。わりと自然な流れで、じゃあそろそろみたいな感じで。最初宮田さんと話をしてて、お互い無言になったあと、ふたり同時に"あのさ!"って切り出して、それがきっかけっちゃきっかけですね。

丸山:なんか付き合う直前の人たちみたい(笑)。

宮田:ほんとそうです(笑)。打ち上げでワイワイなってるところで、ふたりきりで外に出て、タバコ吸いながら無言の時間が流れて、お互いのことどう思ってるのみたいな。打ち上げ中にもかかわらず30分くらいふたりで歩きながら、一緒に骨をうずめてほしいって酔っぱらって言ったのは覚えています。

-それもうプロポーズですね(笑)。引っつくべくして引っついたみたいな展開ですね。

宮田:中尾が10代の頃からの付き合いなんですけど、9年くらい前、東京で2日連続でライヴがあったんですよ。その前日くらいに岳がインフルエンザになって、ヤバいけど誰か見つけてやるしかないってときに、中尾に無理矢理1日で俺たちの曲を覚えさせて2日連続でやって。ドラマーのときから俺たちの音楽をサポートしてくれてたっていう。

中尾:あれはマジでしんどかったです。

近藤:その節は大変失礼しました。頭が上がりません。

中尾:ラーメンおごってもらいました(笑)。

-タイトルの"ALVA"は"夜明け"を意味する言葉ということで、再スタートの思いをこの作品には込めたのかなと思ったのですが、いかがですか?

小林:その通りですね。"ALVA"っていう言葉をどっかで使いたくて、2~3年くらい前からあっためてたんですよ。でも、再スタートするようなことはないし、バンドも続けていくし、心機一転なんてないんだろうなって思ってたんですけど、高井(佑典/Ba)さんが抜けるとかコロナ禍になってみんなが声出せなくなるとか、あと俺と宮田さんが喉手術したとか、声が出なくなって歌の練習をもう1回始めるとか、新しく始まることが多かったなと思って、"ALVA"を使うなら今かなって。

-言葉のチョイスが面白いなって思いました。

小林:それこそ中尾きっかけかもしれないです。ALVA NOTOっていう坂本龍一さんとも一緒にやってる海外のアーティストがいて。ノイズ・ミュージックっていうのかな? それを中尾に教えてもらって、それをずっと聴いてめちゃくちゃ落ち込んだりして(笑)。それで"ALVA"って響きいいなと思ってずっと印象に残ってて、調べてみたらそういう意味があって、わりかし運命的な出会いでした。

-先行配信シングルとなった「TFTL」は、"THANK YOU FOR THE LIE"をタイトルにしていますよね? 歌詞の"ふざけんな"だったり、"I'm gonna kill you."みたいな直接的な表現だったり、相手がある怒りがかなり強く表現されていて、何かあったのかなと心配になるぐらいです。

宮田:『ABANDONSYSTEM__』のあと、対人関係でいろんなことがあったんですけど、自分らの思いを直接言葉にして相手にぶつけることはできるが、それだと戦争しか起こらないわけじゃないですか。でも、歌手だから自分の思いを全力で出せるっていうのはいいところで。俺らは誰かに向かって言ってるのかもしれないけど、「TFTL」を聴いた人はその誰かを知らないわけですよね。でもその人も俺らが知らない誰かにムカついていて、俺らの歌詞を見るとか、俺らが叫ぶことによってその人のイライラや不満やムカつくことを解消できている。そんな歌詞になっているんじゃないかって思います。

-それにしてもどうやってこんな曲ができあがるのか、これは誉めてるんですが、本当に理解できません。作曲の時点でテーマやこんなサウンドにしようというイメージがあったのでしょうか?

丸山:宮田さんが"リフがとにかく激しいのが欲しい"って言ってたときがあって。一気に2日でフル・コーラス作りました。

-そんな短時間なんですね。今作もこの曲に限らず展開が多すぎて、1曲に何曲分入ってるのかなっていうのは思っていて、でもあとから確認すると分数はそんなに長くない。でも通して聴くと曲数以上の展開があって、フル・アルバムみたいな満腹感がある感じがするなって。

近藤:自分たちも若干麻痺してきているところもあってA(メロ)、B、Cって行ったあとにシンプルにAに戻ってきたら"偉い"って思うぐらいになってて(笑)。A、B、Cって行ったあとD行ってE行って、みたいな感じだった昔に比べたら、王道の展開を踏みつつもエッセンスとして違う展開に踏み込んだりしているので、そのバランスは結構考えていますね。今回のミニ・アルバムには2~3年前からあったけど、展開が納得いかなくて世に出していなかった曲もあるんですが、改めてバランスが取れるようになったっていうのもありました。

-「TFTL」にまた戻るんですが、インタールードを挟んでからのもろミクスチャーのパートとか、こんなとこに行きつくなんて何度聴いても理解できない展開なんですけど、これってみなさんデモを聴いた段階で受け入れられるものなんですか?

小林:......はい。

宮田:岳がさっき言ったように丸山 漠が作る音楽に麻痺しているっていうのはありますね。さっき分数が短く感じるって話もありましたが、もともと長くなりがちだったんですけど、どんどん短くなっていってるというのはあって、「TFTL」もあんだけ展開を見せといて短くなっている。ミクスチャー・パートも、漠に対して"ここいらない"とか"ここもっと短くしたい"、"長くしたい"って言ったりして。俺は全体的な曲のディティールを見ているタイプなので、ミクスチャー・パートのあとに騒ぐ部分がすぐ入ってきたほうがいいと感じたんです。ディティールを見ているから、そういうパートが印象的になってるのかなって思います。

-1曲目の「ALVA」がタイトル・トラックになっていますが、1曲目から出し惜しみする気が全然ないですよね。どんどん展開して、ストリングスからピアノまで入ってきて、ギター・ソロもあって、サックスも入ってきて、各パートの秒数は少ないけどどれも印象に強く残るっていうのはすごく感じました。

丸山:最近の曲が短いというのはたしかにあって、分数短いほうがウケるでしょって気持ちは多少ありますね。最近、長い曲ってあんまりないじゃないですか。なんなら2分ちょいで終わっちゃう曲も多いのでそれに影響されていますね。

-一方、全体は短くても、ギター・ソロはしっかり入ってる曲が目立つなって思いました。

丸山:ギター・ソロってかっこいいんで、やっぱり入れたいです。

-時代とか無視なのは最高です。

丸山:いや、気にはしてて"これぐらいならいいかな?"って考えながらやっていますね。

-意外に気にしながらっていう側面もあるんですね。"白き衣を纏い"っていうパートはすごく印象的でちょっと目立って聴こえる感じがしました。

宮田:"ALVA"の意味を調べたときに"白い衣"っていうのもあって。ちょうど朝焼けとか新しいほうに向かうときの正装や、白い戦士みたいなイメージで"白い衣纏いて"って歌ったらいいんじゃないかなというアイディアが出てきたんですよ。イメージ的には、"ナウシカ(風の谷のナウシカ)"の"その者 青き衣(ころも)をまといて 金色(こんじき)の野に降り立つべし。"っていうフレーズの、あのイメージです。

-2曲目の「Lightning-Syndrome」が足のちぎれそうなくらいのツーバスで(笑)。近藤さんを殺しにいってるような。

小林:ほら、丸山さん。岳の顔を見て!

丸山:嬉しそうじゃん(笑)。岳がいい顔するんで(笑)。

-またやってますよね(笑)。

近藤:スパルタですよ(笑)海外では打ち込みが主流だったりしますもんね。

-海外ではっていうのはたしかにその通りで、以前にデス・メタル系の海外アーティストに"これレコーディングするのめちゃ大変じゃないですか?"って聞いたら普通に"打ち込みに決まってるじゃないか。ハッハ~!"って返されたことがありました。

一同:(笑)