INTERVIEW
ステミレイツ × a crowd of rebellion
2024.01.12UPDATE
2024年01月号掲載
ステミレイツ:ゆきっぺ(Vo) 輝星(Gt) あやのん(Key/デスボ) あきら(Ba) ごみちゃん(Dr)
a crowd of rebellion:宮田 大作(Vo) 小林 亮輔(Vo/Gt)
Interviewer:山口 哲生 Photographer:Kanda Yukiya
-お話にあった通り、ステミレイツはまだ曲数が少ないのもあって、ワンマンのセトリをどうするかはまさに今考えている最中だと。
あきら:そうです。一応何曲か増える予定ではあるんですけど、それでもやっぱり何時間もやれるほどじゃないので。
あやのん:10もないしな。
あきら:同じ曲を2回やって、それをどこに入れようかっていう(笑)。
宮田:何分ぐらいやる予定なの?
あきら:今のところだいたい1時間半ぐらいです。
宮田:マジで!? テンション上がるわ!
ステミレイツ一同:上がるんですか(笑)!?
宮田:知り合いにFIRE ON FIREっていうハードコア・バンドがいるんですけど、まだ始めたばっかで、その人たちも初ライヴで3曲しかなかったんですよ。それで1時間ぐらいやってて、同じ曲をそれぞれ4回ずつぐらいやってた(笑)。それと同じものを感じる。
ゆきっぺ:私たちは今のところ、演奏している時間よりも喋っている時間のほうが長いです(笑)。
宮田:これまでのワンマンもそうだったってことでしょ?
ステミレイツ一同:そうです。
ごみちゃん:自己紹介を2回やったりします(笑)。
ゆきっぺ:後半に入って"みんな私たちのこと忘れましたよね?"って自己紹介して(笑)。
あやのん:忘れてるわけねぇだろ! っていう(笑)。
宮田:もしかしたら偏見になっちゃうかもしれないですけど、女性のバンドさんとかアイドルさんって、ライヴがすごくかっちりしているイメージだったから、なんか、いいっすね。
あやのん:MCもわりとテキトーやもんね?
ごみちゃん:うん、自由さがある。
宮田:そうそう、その感じがいい。俺、わりとライヴ中にテキトーになり始めて、メンバーを困らせるっていうのをよくやるんで。
輝星:曲中はかっちりしてるかもしれないです。フォーメーションを決めたりしてるので。
宮田:曲中もふざけだしたら終わりよ?
小林:(宮田は)シャトルランし始めますからね。
ステミレイツ一同:えぇーーー!?
小林:シャトルランしたあと、"疲れた。ちょっと休憩。喋ってて?"とか。
宮田:あとはドラムの邪魔をし始めたりとか。
ステミレイツ一同:自由だ(笑)。
あきら:楽しそうだよね、それだけ自由にできたら。
-では、次はごみちゃんさんの質問にいきましょうか。
ごみちゃん:はい......ヤバい、めっちゃ緊張する。
宮田:大丈夫、ただのおじいちゃんだから。
あやのん:たしかに聴いてた人たちやからな。
ごみちゃん:うん。すごく憧れていたし、楽曲もすごく難しいから、こういう曲を叩けるようになりたいって思っていたので。
宮田:岳(近藤 岳/Dr)がいてくれたら良かったな。
小林:デレッデレだろうな。
宮田:あんなのね、誰でも叩けるよ!
ステミレイツ一同:いやいやいやいやいや!
宮田:嘘です! うちのドラムは本当に大変だと思う。
小林:ライヴで1回でもちょっとミスると、出先でもスタジオに入ってます。
ごみちゃん:そうなんですか!?
宮田:2日連チャンのライヴで、1日目が納得いかなかったら"次の県に着いたら、俺、スタジオ入る"って。
ごみちゃん:だからあんなに叩けるんだ......。あ、質問でしたね(笑)。中毒性があって、普段ハードな音楽を聴かない人たちも沼る楽曲がたくさんある印象なんですけど、別のジャンルの人や、それこそフェスの会場とかで、お客さんを自分たちに沼らせる秘訣というか、いろんな人に愛されるポイントとか......。
小林:俺たち愛されてないよ。
ごみちゃん:いやいやいや! すごい沼じゃないですか!
小林:いや、マジ愛されてないよ。話し掛けても無視されるし。
宮田:それはないだろ(笑)。
小林:(笑)coldrainのSugi(Gt/Cho)さんとか、いろいろ教えてくださる先輩とかもいらっしゃいますけど、沼らせる秘訣は......僕らの楽曲って、ここふたりから"こういう曲が欲しい!"って伝えて書いてもらったり、彼(丸山 漠/Gt)も自分が作りたい曲があったら自分なりに作る曲もあるんですが、みんな元来J-POPとかギター・ロック、それこそ弾き語りとかがルーツだったりするんですよ。たぶんそのDNAみたいなものが僕たちの中にあるからこそ、"うるさいの苦手"っていうお客さんでも聴けるメロディになっていたりするのかなと。
宮田:あと、根本に置いてるのは"日本"。海外に憧れているだけじゃなく、日本のバンド感っていうのは大事にしてる。そういうところも日本のお客さんからしたらたぶん聴きやすいだろうし、興味を持ってくれるっていうのはあるのかもしれないですね。だから、俺らの曲にはJ-POPの要素もあるし、ハードコアの要素もあるし、そういうところがいいのかも。それプラス、自分らの音楽の可能性を信じてるというか、何をやっても俺たちの音楽になるし、俺たちが歌えばa crowd of rebellionになるっていう意識は強いかもしれないですね。だからいろんな曲があるし、それこそさっきのセトリの話でも言ったけど、いろんな曲があるから、今日はメタルだけでいこうとか、今日は優しい曲だけにしようとかもできるんで、どんなライヴをするのかわからないっていう。
ごみちゃん:聴いていてもそれはすごくあります。気分によって曲を変えたりして、変えてもまたそれをリピートしたくなるっていう。
宮田:それで沼らせ......てます(笑)。それが一番大きいのかな、俺たちのことを好きだって言ってくれる人は。きっと他のバンドには絶対にないものを何か感じてくれてる。バンドって宗教に近いと思うんですよ。どれだけ教祖になれるかっていう。一神教なんで。どれだけそう思わせられるのかっていうのが、沼にハマらせる感じなのかもしれない。
小林:でもまぁ、八百万の神ですからね、日本は。神様がいっぱいいたっていいですから。
-次の質問はゆきっぺさん、いきましょう。
ゆきっぺ:私、本当に初心者で、もともとバンドとかもやっていない状態で今ヴォーカルをやらせてもらっていて。あと昔、趣味で歌詞をちょっと書いていたりしたので、それも今数曲書かせてもらっているんですけど、歌詞を書くときに大事にしていることとか、コツとかってあったりしますか?
宮田:基本、楽曲ができてから、ふたりでまず何を歌いたいのかっていう会議をするんですけど。
宮田&小林:カラオケで。
ステミレイツ一同:へぇー!
-昔からそのやり方なんですか?
宮田:昔からずっとそうですね。新潟の駅前の(カラオケ)ビッグエコーで。
小林:主に4階で。
宮田:喫煙所が近いんですよ(笑)。そこで昼から夜までフリータイムで入って。
小林:ちょっとつまずいたらタバコ吸って、なんか好きな曲を歌って。
宮田:"ダメダメダメ!"って(笑)。
輝星:すごい! 仲いい!
宮田:で、"じゃあこの曲はこういうお題にしよう"って。"最近どんなこと思ってる?"みたいな話をして、"じゃあそれをそのまま歌詞にしよう"って、自分のパートはそれぞれ自分で書いているので書いてきて、後日また集まって。でも別々で書いているから繋ぎがおかしかったり、1曲として意味が繋がらなかったりするんで、そういうところをチェックしながら"ここはもうちょっとこういうふうに変えてみよう"とか。作るときの流れはだいたいそういう感じですね。
ゆきっぺ:おふたりそれぞれで書いてはいるけど、曲としてのメッセージ性は一貫しているっていうことですよね。
小林:もちろん。起承転結はすごく大事にしているので。
ゆきっぺ:そういう曲がすごく好きなので、聴いていていいなと思いました。いろんな方の歌詞を見るのが好きなんですけど、めっちゃ残るフレーズがあったり、普段はしないような独特な言い回しなのに、何が言いたいのかがすごく伝わってくるから、すごく素敵だなって。だからこのことはぜひ聞いてみたいと思ってました。
小林:ありがとうございます。でも、若干わかりやすくはしましたね。
宮田:最初の頃はマジで意味わかんなかったからね(笑)。
小林:わかんなかった。
宮田:お互いな(笑)。
小林:比喩表現がすぎて、何を言ってんのかサッパリわかんなかった。
宮田:特にサビはちゃんと聴き取りやすいもの、あとは"さよなら"とかひと言でもいいから、本当にわかりやすいものをひとつ入れるっていうのは、最近亮輔はすげぇこだわってる。
小林:そうっすね。パンチラインというか。
ゆきっぺ:比喩表現とか、独特な言い回しでもちゃんと伝わるのは、そのストレートな部分があるからなんですかね。
小林:うん。そこでまとまりがつくっていう。(自分は)元来、めちゃくちゃいじめられっ子で、昔から本ばっかり読んでて。会話のIQが低すぎて、"やっと4歳ぐらいになった"ってメンバーには言われるんですけど、歌詞を書くときだけ語彙力が上がるというか。書くのがすごく好きで。
ゆきっぺ:私も本を読むタイプなんですけど、言い回しとかがちょっと小説っぽいというか、"その感情をそういうふうに言うんだ!?"みたいなところがすごく多くて素敵でした。
小林:でもやっぱり、自分で経験していないことは書けないから、そこは確実に書くっていう感じですね。あと、最近は(インプットもととして)現代小説とかにちょっと限界を感じてしまったというか。さっき宗教の話があったけど、この前祖父が亡くなったときに、お寺様に"これはお貸しするものだから"って本を渡されて、これ(お経)を唱えてくださいっていう。その本が面白かったんですよ。これはこういう意味なんだよっていう注釈が書いてあって。それこそバンドってある種のカルトだし、そこからちょっと引っ張ってきてもいいなっていうのを若干考えていて。旧約聖書と新約聖書とか、そういうバイブル的なものというか。で、お寺様にも三つ指ついて、"その本を1冊譲っていただけませんでしょうか......"とおうかがいしたら、"いいよー"って。
ステミレイツ一同:軽い(笑)。
小林:最近はそういうところから摘まんだりもしてますね。
ゆきっぺ:その発想はなかったです。
小林:やっぱり限界があるんですよ。自分の中のキャパもあるし、"まだ足りない、まだ足りない、もっともっと"ってなると、また別のところに足を突っ込みたくなるんですよね、歌詞を書くうえで。あとは、僕の話になってしまうんですけど、最近は歌詞の依頼とかが増えてきてまして。この前、急に"電波ソングを書いてくれ"と言われたんですよ。これまでそういうのって全然書いたことなかったけど、それでまた勉強になりました。
ごみちゃん:引き出しがすごく多いですね。
宮田:あとは、普段何を思っているのかっていうのがデカいよね。基本、俺らの歌詞はド暗いんですよ。人間とは何かとか、虫は喋れるのかとか。
小林:絶望の色は白なんじゃないかとか。
ゆきっぺ:哲学だ。
宮田:そう、そういうのに近い。このふたりは根本が同じ人間性だから、そういうところが合わせやすいというか。
小林:未だにガイア論とか(について)ずっと喋ったりしてるんで。
宮田:そうそう。そういうところはあるっすね。そこが歌詞においては一番デカいかな。
小林:うん。「DISTRESS」(2021年配信リリース)っていう曲があるんですけど、あれは俺の家で速攻できたんですよ。すぐだったよね? 同じことを考えていて。
宮田:そうそう。特別な曲ですね、「DISTRESS」は。