INTERVIEW
NOCTURNAL BLOODLUST
2022.05.02UPDATE
2022年05月号掲載
Member:尋(Vo) Valtz(Gt) Yu-taro(Gt) Masa(Ba) Natsu(Dr)
Interviewer:米沢 彰
2020年に新体制で再始動を果たしたノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)が、前フル・アルバムより8年の時を経てついに新体制下初のフル・アルバムをリリースする。シングル曲のリリースにイベントの主催、オンライン/オフラインでのライヴを経験するなど、再始動以降、決して止まることなく2年をかけて着々と牙を磨き、爪を研いできた彼ら。今作のリリースについてメンバー全員に訊いた。
-2014年の『THE OMNIGOD』から数えて約8年ぶりのアルバムとなりましたが、フル・アルバムがここまで間が空くというのは誰も予想していなかったのではないでしょうか?
Masa:そうですね。いろいろあったので、基盤を固めるというか、バンドがベストな状態になるのにそれくらいかかったっていう感じです。
-8年はかなりの長期間に思えますが、実感としてはいかがでしょうか?
Masa:ValtzとかYu-taroはそんなに実感がないかもしれないですけど、意外とそんなに経ってたんだって感じで。シングルとかEPとかミニ・アルバムをちょこちょこ出してて、何も出してないっていう感覚はなかったので、そんなに経ったのかって。
尋:そんなに(実感はない)ですね。結構ずっと音源出してるんで。
Natsu:もう8年も経つのかっていう感じで。でも、その8年の間でレコーディングとかシングル出したりとかはしてたわけじゃないですか。今回のアルバムも新体制になってリリースした曲も入ってるし、みんな慣れてきたっていうか、制作もそれなりの試行錯誤はするけど、8年前より効率的にできるようになったりとか、作業自体もスピードが上がってきたりしていて。当時の大変さみたいなのは今はそこまでないですね。思い出したら『THE OMNIGOD』はまじで作るの大変だったよなぁってなるんですけど(笑)。今回も大変ではあったんですけど、違うベクトルで大変さを見つけられた気がして、8年っていう間の成長も感じられた気がしますね。
-2020年に新体制になってからは配信シングル「Life is Once」(5月)、「ONLY HUMAN」(7月)、「Reviver」(8月)の3曲、ミニ・アルバム『The Wasteland』(12月)を同年リリース、2021年にはシングル『THE ONE』(9月)とコンスタントにリリースを重ねての今回のフル・アルバムとなり、まさに満を持してという印象を受けます。ご自身でもそういう感覚はありますか?
Masa:ValtzとYu-taroが入って、(バンドとして)仕上がってから出したかったんで。それまでにちょっとずつ破片というか、断片的なものを出してからのファイナル・アンサーみたいな感じでやろうかなと思ってて。たしかにあんまりすぐは出そうとは考えてなかったですね。このタイミングだったらいいのができるんじゃないかなって。
-特に昨年はオリジナル作品のリリースとしては1作品のみに留まりましたが、2デイズにわたるワンマン([2 DAYS ONEMAN LIVE "NEW WORLD ORDER"])や主催イベント"6DAYS OF CHAOS"の開催、"DANGER CRUE 40th Anniversary JACK IN THE BOX 2021 supported by MAVERICK DC GROUP"への出演など、バンドとしてのパフォーマンスを磨く1年として充実していたのではないかと思うのですが、振り返ってみていかがでしたか?
尋:実のある1年でしたね。ライヴ自体コロナ禍もあって、なかなかやる機会がなかったし。あとやっぱ対バンをずっとやってなかったんで、いろんな対バンをやりながら"闘争心"っていうものをもう一度掘り起こす1年になりました。
Valtz:様子を見ながらやってたっていうのが正直なところですね。音源1作品だけだったって今聞いて、あれ? そうだっけって思って。
Masa:それ思った(笑)。2020年の序盤に出して、さらにミニ・アルバムも12月だからか。あとはライヴ作品(2021年10月リリースの『SPECIAL ONLINE LIVE』)もあるけど。
-そんな昨年の動きの中で、特に今作の制作面でプラスになったと感じることがありましたら教えていただけますか?
Masa:2曲目の「Red Soil」はValtzが書いてるんですけど、あれなんかはライヴを踏まえたうえでValtzのプログレッシヴさが上手い具合に嚙み合ってて。それこそライヴがあったからできあがった曲なんじゃないかなって勝手に思っていますね。そういうふうに曲に反映されたりはしているんじゃないかなと。
Valtz:それは間違いなくそうで、肌感でお客さんがどういうふうに曲にノってくれるかっていうのを感じ取れた年でした。僕個人的にはそこまでライヴを考えて曲を作らないところがあるので、少しライヴ寄りに曲が作れたかなと思いますね。
Masa:アルバム出すのに間隔空けたっていうのも、まず1年目の2020年はコロナ禍もあってライヴがうまくできない時期だったからリリースに専念して。で翌年は逆にライヴがちょっとできるようになったんで、ライヴに専念してっていう。そのいいバランスでいけるのが今年なんだろうなっていう感じで、やっとそこでアルバムを出したら、ライヴの肌感も取り入れつつ、自分たちのやりたいことも取り入れつつで、ちょうどいいバランスの作品に仕上がるんじゃないかなって。そんな感じで個人的には(時期によって)振り分けて考えてましたね。
Yu-taro:自分は曲作りがめっちゃスランプだったんですよ。ノクブラに入る前に今もやってる違うバンドでフル・アルバム作ってから、ずっと曲を作ってなくて。でも入ってからはポンポンって感じで作って。今回も2曲とかなんですけど、でも少しずつ(この期間で感覚が)戻ってきた感じがしています。
尋:一周まわって原点の自分を出して、さらに磨きをかけられたかなって。もちろん今までも詰め込んでたんですけども、どっちかっていうと初期のノクブラのころの初心の力というか、精神的な部分を詰め込めた1枚かなと。
-初心というと、さっきの"闘争心"という話にも繋がってくるのでしょうか?
尋:また別ではあるんですけど、今回メンバーが作ってきてくれた曲が初期の自分のスタイルにすごく合ってて。それにプラスで、こういうこともやりたいな、こういう路線も好きだし、とか今までやれなかったことをっていろいろリクエストした結果、いろいろできちゃったって感じですね。
-『ARGOS』の制作自体はいつごろから始まっていたのでしょうか?
Valtz:メンバーそれぞれだとは思うんですけど、僕が曲を作り始めたのは10月とかですね。"6DAYS OF CHAOS"が終わったあたりからそろそろエンジンかけようかなって感じで。最初にできたのが「Cremation」で、メンバーに渡したのが11月末でした。
-去年のうちから徐々に始めていたんですね。
Valtz:そうですね。とはいえペース配分としては結構ギリギリというか、ライヴなりなんなりを挟みながらやってたので、最後はだいぶ切羽詰まってましたね。ノクブラは毎回そうなんですけど。
一同:(笑)
-オープニング・トラックからの実質的な1曲目となる「Red Soil」は爆発力があって、アルバム全体の幕開けに相応しいトラックだと感じました。この曲を最初に持ってくるのは当初から狙っていたのでしょうか?
Valtz:曲が揃ってから全体図が決まるので、狙っていたわけではなく最終的にバランスを考慮した結果ですね。
-イントロからギター・リフのリズムがくってて、さらっと聴けるけど実はちょっとひねった作りになっているのが印象的でした。そういう要素を持った曲が幕開けというのも今のノクブラらしいですね。
Valtz:「Cremation」のあとにこの「Red Soil」のデモを完成させて。BPMやリズム・パターンだったり、曲調を全曲バラけさせることは曲作りの段階で考えていました。最初にあれだけ詰め込んだ曲を作っちゃったので、次はわかりやすい曲を作ろうかなと。ノりやすいけどよく聴いたら小難しいことやってんなぁみたいなところを目指して作りました。
-最初本当にサラッと聴けちゃうところが良くできていて、何度も聴くとめっちゃやってる! というのがだんだんわかってくる感じでした。
Valtz:まず始めに一番難しいパターンから作ってみたいって感覚があって。だけど、いざ仕上がってみるとわかりづらかったりするので、フレーズを4小節、8小節のインターバルでわかりやすくまとめて、プログレッシヴ要素とノリやすさを両立させる作業は試行錯誤しました。
-小節単位でなんだかんだ帳尻が合ってるというのをルールにしたのかなっていうのは、この曲に限らず他の曲でも感じる部分はありました。
Valtz:そうですね......まぁ、置いてけぼりくらわないギリギリのところを狙ってたので。
-ちょうど今MESHUGGAHの新しいアルバム(『Immutable』)が出てるんですけど、そっちは置いてけぼりをくらうな、とふと思いだしました(笑)。
一同:(笑)
Valtz:まだ新譜は聴けてないんですけど、MESHUGGAHは大好きでよく聴きます。だから置いてけぼり慣れはしています。
-置いてけぼり慣れ(笑)。
Valtz:ただ、そことは違っていいバランスをとろうみたいなところはありましたね。