INTERVIEW
NOCTURNAL BLOODLUST
2015.07.09UPDATE
2015年07月号掲載
Member:尋 (Vo) Masa (Ba) Cazqui (7-strings) Natsu (Dr) Daichi (Gt)
Interviewer:米沢 彰
-先日リリースされたシングル『PROVIDENCE』ですが、リリースしてからの反応はいかがですか?
Cazqui:狙っていた通りの賛否両論です。"今まで聴いたことない""面白い"という意見が多くて、"受け入れるのに時間がかかる"とか"望んでいたのと違う"という意見もありました。会場限定シングルのトレーラーを同時期に出したのもあるし、狙い通りという感じですね。
-シングル、アルバムという違いはありますが、前作『THE OMNIGOD』のリリース時と比べての違いを感じることはありますか?
Cazqui:前作は"ザ・ノクブラ"ってものを提示させてもらったので、反応も"これぞノクブラ"という感じだったんですが、今回は新鮮さを感じてもらえたのかなと思います。
-これまでも作品の中でジャンルを飛び越える瞬間を感じていましたが、今作はこれまでの枠組みからかなりハミ出して、ヘヴィネスにフォーカスを当てながらもより普遍性を目指していった意欲作のように感じました。ご自身ではそういった見方についてどのように感じますか?
尋:遊び心を入れたいというのがあったとは思います。肩の力を抜いて作ることができたというか。前作『THE OMNIGOD』はもうちょっと世界観を重視した作品だったのですが、今回はその延長上に何が出せるかっていうことで、コアの部分は崩さずにできたかなと思います。会場限定シングルの『銃創』も含めて、バラエティに富んだ作品作りというのは僕らの作り方としては変わっていないので、3曲通して聴いて"これがノクブラですよ"というのを感じてもらえればいいなと思います。
Cazqui:各ジャンルにおけるポピュラリズムに対して自分たちがどう挑むか、がテーマでした。一般のラウドでは入ってこないようなストリングスであったり、エレクトリック・ピアノの音が入っているんですが、楽曲全体を支配するのは、キャリア史上最も低いG#チューニングによる轟音。全方位に対するトゲに満ち溢れた作品だと思います。
-ヘヴィネスと耽美な世界観が上手く共存しているのも面白いと思いました。それも1曲の中でではなく「PROVIDENCE」(Track.2)の入りみたいに、同じ時間軸の中で共存しているのが非常に印象的で、今のNOCTURNAL BLOODLUSTの音楽的な一番の特徴がど頭でしっかりと出ているな、と感じました。
尋:ありきたりな音楽の進行を崩したスタイルで、飽きさせないようになっていると思うんです。こうきたら、こう、みたいな、よくこのジャンルを聴いている人はすぐにわかると思うんですけど、「PROVIDENCE」は展開が無限大に謎なんで、この1曲だけで楽しめる曲になっていると思いますね。
Cazqui:様々な要素を盛り込んだうえで、しっかりと辻褄を合わせて、ひとつにパッケージングするということを今回は強く意識しました。
Masa:僕らはリリース・スパンが短いんで、シングルを出すうえで、ガチなメタルコアを出しちゃったら既存のリスナーは喜ぶとは思うんですけど、だったら『THE OMNIGOD』を聴けばいいと思って。作品が多い分、僕らとしては斬新さの方が優先順位が高いですし、同じような作品をどんどん出していって飽きられたくないですし、リスナーがチョイスできるように、バリエーションを増やして、そこで全部をまとめて"エクストリーム・ミュージック"として提示できるようにしています。
Daichi:「PROVIDENCE」は、曲のイメージと僕たちが出している音に矛盾があって、すごく軽やかなノリなのに、バンド史上1番低い音が出ていたりして、それもこのバンドのバラエティに富んだ部分なのかな、って。ちょっとギクシャクした感じの、複雑な作り方をしているのに、すんなり身体に入ってくる曲ですね。
-「PROVIDENCE」はキャリア初となるlow-G♯チューニングとのことですが、つまり何音下げになるのでしょうか?
Cazqui:6弦ギターでいう4音下げですね。
-そこまで落としていくと、ベースと音域が被ってこないですか?
Cazqui:そこはもう任せてください。
Masa:10代のころから培ってきたバランスがあるので。
Cazqui:極太弦を張って、ピック選び、アンプ、スピーカー選びをとことんやって、ギリギリで鮮明な硬さのある音を目指しました。
-単純に落としただけではなくて、いろいろなセッティングをやっているんですね。
Cazqui:まだ今の日本には、2音下げでも"そんなのギターじゃない"と思う人がいるようで、"そんなに下げたら何をやっているかわからなそう"とか、ドゥーム(メタル)みたいなイメージを抱かれがちです。"今の時代はそんなことはない""もっとディープな世界があるんだ"ということを示したかったというのがあります。
-その一方で、より一層音域が被ってくるとは思いますが、ベースはスラップしてくるのが印象的でした。
Masa:G♯で、こういうラウドなサウンドをやろうと思ったら、普通は支えるしかないんですけど、そんな中でああいう普通はやらないフレーズ、大胆なスラップを何の違和感もなくさりげなく入れられれば、オリジナリティを出せるかなと思っていました。