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LIVE REPORT

NOCTURNAL BLOODLUST

2021.02.23 @Veats Shibuya

Writer 米沢 彰 Photo by nonseptic inc.

昨年、コロナ禍真っ只中で復活を果たしたNOCTURNAL BLOODLUSTがついにライヴ再始動。昨年末に圧巻の配信ライヴで新体制をお披露目したばかりではあるが、実際に観客を入れての新体制でのライヴはこれが初となる。とはいえ緊急事態宣言が続くご時世。オール・スタンディングではなく座席式、シンガロングも慎まなければならないし、モッシュやウォール・オブ・デスなんてもってのほか、という制約のもとでの復活ライヴとなった。

すべての座席にオーディエンスが着席し、メンバーの登場を待ちわびる空気が充満するなか不意にSEが鳴り響く。歓声を上げられないため、拍手だけがフロアに響く、以前なら間違いなく異様な光景のなかメンバーたちが登場。尋(Vo)の"Let's get the party started!!"の掛け声でライヴのスタートが切られた。バンドの持ち曲の中でもデスコア色が強く、アグレッシヴでディープな「Pleasure of Torture」で幕を開ける。配信ライヴでもやっていない曲を今日の最初に選ぶあたりがとてもノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)らしい。イントロから尋のピッグ・スクイールがライヴハウスの空気を切り裂く。今日は2回公演だというのに、いきなりこのテンションで大丈夫か、とこっちが余計な心配をしたくなるほどに、ど頭からハイテンションのパフォーマンスを見せる。

"コロナなんてくそくらえ、ためてきたもの全部吐き出せ"と尋が煽ると、オーディエンスも思いは同じなのだろう。声を上げることはできないが、深く同意しているのが空気から伝わってくる。オーディエンスは、がんじがらめの制限の中でも頭を振ったり、手を上げたり、ジャンプしたりと、枠組みを守りながら思い思いのスタイルで曲を楽しんでいる。以前とはいろいろ違ってきている部分はありつつも、同じ空間に集まった全員が音楽を楽しもうとしているスタンスは当然変わらない。そんな思いを抱きながらも、「銃創」ではモッシュ・ピットができないのがやはり物足りなく感じた。尋自身もストレートに"モッシュ・ピットできねぇな、頭振っていこう"と呼び掛ける。個人的にも、以前の日常が待ち遠しいと、ここ最近の中で一番強く感じた瞬間だったかもしれない。

ここからは新曲のターン。「Left behind」、「REM」、「The Wasteland」、「FACELESS」と一気に続く。手数の多い楽曲を難なく叩いて見せるNatsuのドラムと、極低音域からバンド全体のサウンドを支えるMasaのベース、そしてバッキングを中心に丁寧に弾ききってValtz(Gt)を支えるYu-taro(Gt)、気持ちいいリフとソロを聴かせるValtzからなる楽器隊が圧巻の演奏を生み出し、その上に尋が超絶ヴォーカルを被せてくる。このチームはやはり常に最強だ。現体制での曲を中心としたこのあたりから、バンド全体のサウンドがさらにグルーヴを増していく。続く「ZeTeS」、「Malice against」ではシンフォニックでアグレッシヴなアプローチを存分に表現し、「Feel myself alive」ではバラードをしっとりと聴かせるなど、バンドのサウンド、表現力の幅をしっかりと見せてくる。セットリストの組み方からして、彼らの最強を積極的に証明するような流れになっているように思えて仕方がない。

"バラードをやるって恥ずかしいですよね。さっきまでFuck! みたいなことやってたのに"と尋がMCでおどけると客席からは笑いが起こる。このご時世なので、押し殺したような笑いなのが歯がゆい。"やっぱライヴハウスの音はいいよね"という尋の言葉には全員が深く頷くなど、いつものライヴでのやりとりとはまた異なるコミュニケーション、身振り手振りでの返しが新鮮に感じられる。

最後を締めくくるのはやはりと言うべきか、"あの日の約束を果たしに帰ってきた"というメッセージを込めた「Reviver」。メジャー調の楽曲で、先への期待を持たせる形でライヴを締めたノクブラ。これまでのキャリアの中で、ここまで意味づけが深く重い公演は他になかったであろう。閉塞感しかない今の状況であっても、ライヴは観る者をこれだけ前向きにさせてくれる。今まで当たり前すぎて考えていなかったことを痛烈に意識させる公演だった。

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