INTERVIEW
NOCTURNAL BLOODLUST
2020.12.16UPDATE
2020年12月号掲載
Member:尋(Vo) Valtz(Gt) Yu-taro(Gt) Masa(Ba) Natsu(Dr)
Interviewer:米沢 彰
デジタル・シングル「Life is Once」を5月に配信リリース。新体制での再始動の狼煙を上げたばかりのノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)が、わずか半年でフィジカル盤をリリースする。それもこの間のデジタル・シングルは1曲も含まないオール新曲。それは自信の裏打ちでもあり、また彼らの進化を追求し続ける抑えきれない衝動の表出でもあった。新体制での今作の制作の内幕を中心に5人に訊いた。
-『The Wasteland』のリリースおめでとうございます。あまりにもあっという間にフィジカルのリリースまで果たして、見ているこちらが追いつかないぐらいのスピード感です。実際に辿りついての感情を教えていただいてもいいでしょうか。
Masa:怒濤の制作期間を経てって感じですね。ずっと曲作ってたんです。
-デジタル・シングルも合わせると制作は月1曲ずつぐらいのペースですよね。かなり缶詰になって進めたのですか?
Masa:わりとそうですね。コロナ期間を有効活用して。
-(笑)なるほど。昨年の12月にギターふたりを口説いていたところから、5月、7月、8月にデジタル・シングルを1曲ずつ出して、12月にはもうミニ・アルバム、と。
Natsu:たしかに、そうやって聞くと忙しいですね。
Valtz:あっという間だったなぁ。
Yu-taro:でも、1年も経つのかって感じだね。
-今回のミニ・アルバムは、先に出したデジタル・シングルを1曲も入れずに、全部新曲ですね。これはこだわりがあったんですか?
Masa:そうですね。配信は配信とあくまで区切って考えていたので、まったく違う新曲だけでいこうっていうのは前から決めていました。
-新体制になっていきなりハイペースな制作に入っていって、特に違和感なく進行できましたか?
Masa:まったく違和感はなかったですね。
-新加入のおふたりはいかがですか?
Yu-taro:全然大丈夫でしたね。
Valtz:同じです。
-音を合わせる期間を作るとか、どういう方向性でやりたいかみたいなミーティングみたいなものも特にせず、ですか?
Masa:ないですね。もう各々の音を作ってすぐレコーディングするっていう。
Natsu:強いて言えばその場その場で"こっちのほうがいいんじゃない?"っていうやりとりは結構していましたね。
尋:逆にディスカッションしたことって今までもあんまりないですね。他のバンドはわからないですけど。
-新体制になってすぐのリリースですが、実際に聴いてみるとそれぞれに高い次元で作り上げられた楽曲ばかりだなと感じました。制作はスムーズに進みましたか?
Masa:スムーズに進んだと思っています。
尋:もちろん悩みましたけどね。いつも通り悩んで作って。制作期間がずっと続いていたから、精神的にはちょっとプレッシャーは感じましたけど。
-デジタル・シングルからそのまま制作が続いたのが、逆に集中力が切れなくて良かったということはありますか?
Natsu:それはあったかもしれないですね。慣れじゃないけど、レコーディングが習慣づいてた感じはありました。
-その制作期間の中で方向性を合わせられたっていう感じですか?
Natsu:ドラムの音決めとかはそうでしたね。最初に配信で3曲新曲出したときに「ONLY HUMAN」(2020年7月リリースのデジタル・シングル)の音がベストだったのかなって思ってて。ドラムに関してはですけど。それに重点を置いてやろうって考えていたので、ミックスとかもスムーズにいきました。配信、配信、配信でアルバム制作という流れは良かったのかもしれません。
-一気にやっていくなかで答えがわかってきたというか。
Natsu:そうですね。ある種、臨機応変にできるテンプレができたみたいな。
-詰め詰めでやったのがうまく噛み合ったという感じがしますね。
Natsu:それにしてもちょっと詰めすぎましたね。なんであんなに詰めすぎてたのかなって感じですけど(笑)。ミックスの日とMVの撮影の日が被ったりで"あれ!? この日ヤバくね?"みたいな(笑)。
-(笑)今回作品を聴かせていただいて、全体的にバンドの生感がすごく大事にされた音作りだなと感じました。上物の音が少なかったり、入っててもめっちゃ薄かったり、パッと聴いたときの感じ方もそれで変わったんですよね。
Natsu:シークエンスとかがバンド音重視ってことですよね? それはちょっとあるかもしれないですね。前は同期が多かったけど、そこを全部ギターで弾いてるとかっていうのは今回あるかな?
Valtz:あとは、レコーディングで言う"オーバー・トラッキング"、要は基本的に成立しているところから、さらに何個も重ねてっていう作業はしてないのもあるかもしれませんね。
-同期が本当に数えるほどで、「FACELESS」のギター・ソロの裏とか、「PROPAGANDA」のサビとか、「REM」はそういう曲なのであれなんですけど、「Left behind」もたぶんサビくらいしか入ってないのかなと。しかも、よく聴かないわからないくらい自然だったりで。ノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)の音作りにはドラマチックな表現をかなり多く含んでいたところから、少しシフト・チェンジした感じを受けました。
尋:ちょっと前からそういう感じじゃないよねっていうのはあって。臨機応変ですよね。今回は今回。でも、シンフォニック性は今はあまり僕的には求めてないんですよね。
Valtz:個人的に僕が音を重ねたくない理由は、ミックスやマスタリングを想定したときに、重ねすぎると音圧を出していくときに音が見えなくなってしまうんですよね。そういう意味でも無駄にトラッキングしすぎないという考え方はありましたね。
-パートごとの音がすごくよく聴こえますよね。
Valtz:それは絶対条件にしていましたね。
-弦楽器だとアタックの感じというか、ピッキングの感じとか弦が鳴ってる感じが見えるような感じすらしました。
尋:レコーディングの環境が変わりましたからね。だから、音も良くなっている感じがします。
Yu-taro:弾いてる感じが見えるって本当にないですからね。音の分離感も含めてすごいと思いました。
-今作でスタジオを変えたのでしょうか?
尋:STUDIO PRISONERさんというのは一緒なんですけど、そこがグレードアップしたので。みなさんぜひ使ってください。
-Hiroさん(STUDIO PRISONERオーナー&エンジニア)の設備がバージョンアップしたってことですね。
尋:最高です。
-今までになくベースがわかりやすく聴こえるように感じました。
Masa:普段はギターの下を狙っていくことのほうが多いですけど、Valtzの曲なんかは"もっと出して"みたいなリクエストがあって。あんなに低音を出してるのに、音が潰れないって、本当にすごいなって思いましたね。
Yu-taro:音数も少なくないと思うんですよね。それが分離して聴こえるって、めっちゃむずい気がするんです。すごい技術ですよね。
尋:ミックスにはすごい時間かけましたね。Valtzのこだわりがすごくて。
Valtz:さっきはあまりディスカッションしなかったという話をしましたけど。制作においてはたしかにそうなんですが、レコーディングに入ってからミックス/マスタリングを仕上げるまでは、やりとりをすごくしましたね。
-そこでお互いの方向性の違いに気づくとかもありましたか?
Valtz:でも、意外とみんな共通していて、僕もそう思ってたって話が多かったです。