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LIVE REPORT

NOCTURNAL BLOODLUST

2020.12.20 @オンライン・ライヴ

Writer 米沢 彰 Photo by 高山和久(@tk_nonseptic)

ノクブラ(NOCTURNAL BLOODLUST)初の配信ライヴは、やはりと言うべきか、復活の狼煙となった配信シングル曲「Life is Once」で幕を開けた。彼らが持つ様々なサウンド要素を詰め込み"ノクブラここにあり"とはっきりと示した、彼らの新たな出発点となる楽曲で新体制初のライヴの幕を開けたことに、彼らの強いこだわりが感じられる。このハマりようは、この日の流れまで見越しての一連のリリース群だったのかもしれない。演奏が始まってからは"アテ振り?"と思うレベルのサウンド・プロダクションに驚かされる。曲が展開するにつれてだんだんと、"あ、ちゃんとライヴなんだ"と気づくが、それにしてもすべてが圧倒的だ。個々の演奏レベル、計算しつくされた楽曲の構成、サウンドテック・チーム、照明演出、すべてが高次元に合わさって、この配信ライヴを可能にしている(ライヴ終了後のスタッフ・ロールではSTUDIO PRISONERがサウンド・チームで参加していることが明かされている。映像は大山卓也。最強チームと言っても過言ではない)。

超絶リズムを正確無比に刻み続けるNatsuのドラム、時に前に出てサウンドをリードしつつバンドのサウンドを文字通り下から支えるMasaのベース、音源と違わぬ超絶ギター・テクを惜しみなく繰り出すValtzに、息を合わせたギター・ワークでバンド全体のサウンドとグルーヴを引きだすYu-taroのギター、そして鬼気迫るヴォーカル・ワークで魅せる尋。5人のプレイヤーが高次元で鳴らすサウンドが1分の隙もなく編み上げられ、まるで目の前で演奏されているかのように迫ってくる。それにしても、尋のスクリームやピッグ・スクイールが音源よりさらにキレッキレなのに本当に驚かされる。音源と聴き比べながら楽しむとより深く、濃く、楽しめるだろう。

テクニカルなのに異様なグルーヴ感が圧巻の「ONLY HUMAN」を難なく(見えるように)グルーヴィに聴かせたあとは、ドラマチックなピアノのSEを挟んでからの「銃創」。"まじかよ"と思ったファンも多いはず。ハイテンションでぶっちぎる「銃創」を現体制で観られることに狂喜しながらも、画面にグイグイと引き込まれてしまう。"これはヤバいやつじゃないか?"改めてあとで聴いてみてはっきりとわかったが、音源よりさらに音の分離がいい。良すぎる。サビ裏のギターのフレーズも含めて、全体に意図を持ってバンド全体のサウンドが再構成され、それをライヴでやっているのだ。生身のライヴでここまで到達できてしまうのだから恐ろしい。

『THE OMNIGOD』から「Punch me if you can」、『OMEGA』から「VENOM」へと続く。一曲一曲エグい選曲で観客を殺しにきてる。相変わらず尋のヴォーカルのレベルがおかしい。ライヴ会場で観るときは生のパフォーマンスが音源のフォーマットには入りきらないんだ、って思ってたけど、配信でも同じく音源よりヤバいと感じるのは目の前で、生でパフォーマンスされていることに何かが宿るってことなんだろう。今までのライヴ観を更新する事件だ。

MCを挟んでからは「PROPAGANDA」、「REM」と新ミニ・アルバムからの楽曲が続く。いずれも新たなノクブラの楽曲として完全に馴染んでいるように感じられる。圧巻のグルーヴ感に、尋の多彩なヴォーカル・ワーク。ライヴで演奏している姿がとにかくかっこ良く見えることにこだわりぬいた演出が徹底された映像と相まって、観る者の感覚にダイレクトにライヴが伝わってくる。それにしてもValtzが「REM」のギター・ソロを実際に完璧に弾ききっているのを見せられるとただただ呆気に取られてしまうしかない。

『ZēTēS』より「Malice against」、「the strength I need」と続けてからはいよいよ終盤へ。MCにて2月に有観客ライヴを行うことがここで発表された。これがいつものライヴならオーディエンスが声を上げ、歓喜を共有できるはずなのだが、今回はとつとつと尋が語りながらMasaと絡むトークでの発表となる。このあたりも普段のライヴとの差を強く感じられる。そしてここからは締めくくりへ向けた新曲のラッシュ。「FACELESS」、「Left behind」、「Feel myself alive」と新ミニ・アルバムの終盤を再現してからは、"俺たちは約束を果たす"、"またライヴに戻ってくる"というメッセージを込めた「Reviver」でフィニッシュ。本当に一瞬で終わってしまったかのような感覚すらする濃厚な配信ライヴが終わった。次は有観客、2月。まだまだ社会情勢は予断を許さないが、どうにか開催にこぎつけてほしい。


[Setlist]
1. Life is Once
2. ONLY HUMAN
3. THE BEGINNING
4. 銃創
5. Punch me if you can
6. VENOM
7. PROPAGANDA
8. REM
9. ZeTeS
10. Malice against
11. the strength I need
12. The Wasteland
13. FACELESS
14. Left behind
15. Feel myself alive
16. Reviver

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