INTERVIEW
NOCTURNAL BLOODLUST
2015.07.09UPDATE
2015年07月号掲載
Member:尋 (Vo) Masa (Ba) Cazqui (7-strings) Natsu (Dr) Daichi (Gt)
Interviewer:米沢 彰
-やりたいようにやれてる感がありますね。
Cazqui:『THE OMNIGOD』はノクブラ像そのものを作ろうって思いが強くて、受け入れられるまで怖かったんです。「GENESIS」が受け入れられなかったら俺の音楽人生全部終わりだなって思うぐらい。でも今回は作っていて新鮮だったし、まだ世の中にないものだなって思ったんですよ。俺はこれものすごく好きだし、別にどう受け取られてもいい、みたいな。受け入れられなかったら他の曲を聴けばいいんじゃない?ってぐらい気持ちに余裕があって、だからこそ肩の力を抜いてできたのかな、と思います。
-前回のインタビューで"外タレに引けをとらない位のサウンドを作りたくて、それに対抗できるくらいのクオリティにしたいなっていうのは常々思ってます"というCazquiさんの言葉がありましたが、今もそれは変わらないですか?
Cazqui:そうですね。多くの方が日本のバンドは海外のバンドに劣るというイメージを抱いている印象ですが、僕らが今戦っているのってあらゆる固定概念だと思うんです。ラウド系/ヴィジュアル系はこうあるべきだ、とか日本のバンドはこうだ、とかいう決めつけと戦ってきて、それに中指を立て続けてきた結果が今の音楽性やヴィジュアルイメージであり、立ち位置だと思うんです。覆していくことがアーティストの生き甲斐だと思います。
尋:僕もそうだったんですけど、海外のアーティストに憧れを抱くのってラウド・シーンだと多いと思うんですよ。影響を受けるのもそうですし、海外から先行してきたりってのはありますけど、やっぱり僕らは日本でやっているし日本のアーティストで、日本にもいっぱいいい音楽ってあると思うんで、日本人として日本の音楽と海外から得た知識を融合させていいものを作るっていう。僕らもあっちからしたら外タレなわけで、向こうが憧れを持つぐらいやらないと伝わらないと思いますね。
-つい先日「PROVIDENCE」のMVを公開されていましたが、ついていたコメントはほとんど英語でしたね。海外からのリアクションについての実感はいかがですか?
尋:いい傾向ですね。
Masa:本当にうちは外人しかコメントしないんじゃないかってぐらいなんですよ(笑)。(海外の人は)日本人よりもオリジナルなものが好きなんで「PROVIDENCE」に関しても"また新しいのが来たぜ!"みたいな感じで盛り上がっていて。日本人のリスナー以上に、昔からこういうデスコア、メタルコアを聴いてきていますから、狙い通り斬新なメタルコア・サウンドとして聴いてもらえて良かったなと思いますね。
-海外への展開の野望などあったりはしますか?
Masa:準備はしていますけど、タイミングを見て露出していこうかな、と思っています。
-「PROVIDENCE」の後半のギター・ソロについて、かなり細かいんですが、大きく2つに分かれているところの継ぎ目をテイクを分けないで一気に弾いていて生感が強かったのが印象的でした。
Cazqui:全員のプレイを含め、「人間」が演奏している音を収録するのはすごく大事なことだと思っています。演者が汗を流して本気で受け手に伝えようとしたメッセージは、時代がどんなに移り変わっても、決してその熱を失わないと信じています。
-前作が"OMNI=あらゆる""GOD=神"で、今作は"PROVIDENCE=神の意思"と宗教めいたタイトルが続きますが、これには何か意味やバンドとしての変化が表れているのでしょうか?
尋:前作が"OMNI=あらゆる""GOD=神"で唯一神みたいな意味合いで、神に導かれた魂がいろんなストーリーを描くような世界だったんですが、今回の『PROVIDENCE』はどちらかというと神に対する反抗心に近いですね。ジャンルを覆すような音楽だとか、当たり前と思われているものを覆すとか、もうひとつ先に進もうかな、と。世界観よりは人間らしい部分をここから出していきたいと思っています。
-赤坂BLITZでのワンマンをソールド・アウトさせるなど、バンドとしてはひとつのマイルストーンに到達したと言っても良いと思いますが、ここまで来た今、見えている今後の目標などありましたら教えてください。
Daichi:ライヴ中にも尋がMCで言っていたんですけど、バンドとしての第一目標だった赤坂BLITZをソールド・アウトさせることができて、"激しい音楽だから"とか"アンダーグラウンドの世界"とか、変に引け目を感じなくてもいいというポジティヴな気持ちになれた反面、"こういう音楽だから"って言い訳ができなくなったってことが証明されたと思っていますね。僕たちだけでなくアンダーグラウンドですごくコアな音楽でもやり方次第で十分やれる、赤坂BLITZでできるっていうのを表現できたので、より多くの人たちにもっと知ってもらえるように突き詰めていきたいと思っています。
Masa:限界に挑戦したいというか、やれるところまでやりたいと思っているし、日本を代表するようなバンドになりたいです。世界のどこにいっても自分たちの我を通せるようなそんな存在になりたいので、このままひたすら歩み続けるだけです。
Natsu:節目になるワンマンだったなとは思いますね。大きな舞台に立つたびに、毎回ここがスタートだって思っています。前回の恵比寿LIQUIDROOMもそうでした。初心を忘れないように、って思いつつ、自分たちの天井を常にぶっ壊しているので、これからも貪欲にいきたいですね。
Cazqui:ノクブラのファンが持つ音楽的なバックグラウンドは本当に多種多様です。ラウド・ミュージックを好んで聴く人もいれば、ラウド・ミュージックへの造詣を持たない人もいます。きっかけになれているのであれば、本当に光栄です。だからこそ"「ちゃんとしたもの」"を提供し続けなければならないと思っています。ヌルい音を提示してしまったら、世のラウドの看板に泥を塗ってしまう。逆に、ガチな音を提供し続けていればそれが基準になるとも思っていて。そうして"お客さんがカラオケで下水道ヴォイスを出しても引かれない社会"を目指したいです(笑)。普通の音楽と比べて何の遜色もない素敵な音楽なんだよ、ってのをわかってもらうためにずっと続けてきた、っていうのもあるので、ファンにうしろめたい気持ちは感じさせたくないし、妙な選民意識を植えつけたくもない。その一方で、いつまでも少数派の味方でいたいし、ひとりぼっちの人に寄り添うような音楽でありたいと思う。なんにせよ僕はかつての自分が目の敵にするような俗物にはなりたくないです。何があってもブレずに貫いていきたい。
尋:ひとつの目標を達成した達成感は何回もガッツポーズを心の中でしちゃうぐらい素敵なものだったんです。僕がステージの上に立って1番思ったのは、多国籍なフロアになっている今の状況は別に普通のことなんじゃないか、ってことでした。これが自然で、これがライヴの形だなって。それを崩さずにこれからも進んでいこうかな、と。僕らはかっこいいと思って自由にやっているわけで、聴き手も自由に聴いてもらえればと思いますね。大船に乗ったつもりでぶつかってきてくれたら僕らもそれに応えるし、たくさんの笑顔が見れたときは、それ以上の幸せはないなと思いますね。
-次はO-EASTですね。
尋:暴れやすいですね。