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INTERVIEW

Zephyren代表GEN氏×ROTTENGRAFFTY

2018.06.11UPDATE

2018年06月号掲載

Zephyren代表GEN氏×ROTTENGRAFFTY

ROTTENGRAFFTY:NOBUYA(Vo) N∀OKI(Vo) 侑威地(Ba) HIROSHI(Dr)
Zephyren代表:GEN
Photo by 結城 さやか

とりあえず今バンドマンできてることが幸せです。苦しいなかで、どんな幸せを見つけていけるかっていうことで、みんな大成していくんちゃうかな(NOBUYA)


NOBUYA:このツアー、苦しいこともあるんですけど、幸せだと思えるのは、自分たちの仲間のバンドが出てくれることとか、各会場たくさんのお客さんが来てくれてることとか。それはやっぱり幸せなことやと思うし。このツアーは、人生の断片的に苦しいなかにも幸せなことをちょっとずつ見つけていくような感覚でいて。さっきGENさんがおっしゃったように、ロットンってこの19年間苦しいこととか、逃げ出したいようなことばっかりだったんですよ。でもそのなかにちょっとずつの幸せがあったから、19年間この5人でやってこれたんやなっていうふうに、このツアーを通してロットンのこの19年を知れたというか。だから、"武道館やから特別なことしたろ"とか"武道館やから特別な演出で"とかいう、エンターテイメントなだけのショーにしようとは思ってなくて。本当に、僕ら5人がステージに立った瞬間泣いてる、みたいな。何も語らずして、ステージに立っただけでロットンのバックボーンをみんなが感じてくれて、涙を流してもらえるような、いつもどおりのROTTENGRAFFTYでありたいなと思ってます。

GEN:あくまでも、ロットンらしく泥臭い感じで。

NOBUYA:そこで終わるつもりではなく、通過点だと思っているので。まずは、そこのステージに辿り着けるように、このツアーを命懸けで頑張らないとっていう。

N∀OKI:19年やってて、たぶん今が一番(バンドの状態が)いいんで。ひとつのツアーで50本回るのは初めてなんですよ。今までは、ツアーが30本あったとしても、ここは他のバンドのツアーで行ったから今回は行かないっていう感じだったので。だからひとつのツアーでこれだけ回るのは結成以来初めてやし、しかもツーマン・ツアーでっていうのも初めてで。今まで一緒に行きたくて行けなかったバンドもいくらでもおるし、死んでしまった仲間もおるし、各バンドとの絆も、エールも、そんなんも全部括りつけて武道館に立ちたいっていう気持ちがあるんです。その武道館までの各地1本1本のライヴが繋がっていくのがファイナルやと思ってるので。そこで手を抜くと、武道館には辿り着けへんっていう勢いで、"これ以上歌ったらヤバい"みたいなときも当然あるんですけど、明日のこと考えて余力残してやってしまうと、そこでお客さんの気持ちをえぐれないなと。そこを振り切って、なんとかして武道館に立ったときに、すべてわかるんじゃないかなって思うんです。これまで順風満帆じゃなかったぶん、まだ想像は全然できないんですよね。ツアーが半分残ってるんで、その間にどうなるかわからないし。それでも、頭の片隅に武道館っていうのを置いて、1日1日、1本1本のライヴを充実して満足して反省して、いい状態でファイナルに立ててたら最高かなっていう気持ちですね。たぶん、自分の人生の中でも絶対忘れられへん日になると思うので。あとは、志半ばでやめてまうっていうこともあるじゃないですか。そういう"もうあかんわ!"ってなることも俺らだって何度もあったし、でもずっと続けてたら、ここまでいけんのやっていう。そういう意味で、他のバンドにも"ロットンもやったし、俺らもできるかも"って思ってもらえるような、力を与えられたらいいなって思ってますね。

HIROSHI:武道館を発表したときに、僕ら世代のバンド仲間がめっちゃ喜んでくれてて。ツアーも、"絶対その日空けとくわ!"って言ってもらったりして、それがすごく勇気になったので、ほんまに"ありがとう!"って思いますね。ライヴってほんまに何が起こるかわからないけど、メンバーもスタッフもお客さんも"今日良かった"っていうライヴになるように挑みたいです。なので、平日なんですけど、ぜひみんなに来てもらいたいと思いますね。

GEN:それぞれ武道館に対していろんな想いはあると思う。そんな武道館に挑むにあたって、今までで一番大変だったときのこととかも訊いておきたいな。

N∀OKI:それはやっぱり、2005年から2010年までの5年間ですね。会社もない、レーベルもない状態で、メンバー5人とスタッフひとりとかで、CDを出すあてもないけどしがみついて、全国を回って。"このトンネルに光差すんけ?"っていう感じでした。年齢的には、30歳から35歳くらいまでの間ですね。まったく鳴かず飛ばずの状態で。そんななかで手を差し伸べてくれる、10-FEETやったり、マキシマム ザ ホルモンやったりっていう仲間もおったんですけど、時代的に今ほどライヴ・バンドもおらへんし、ラウド・シーンも盛り上がってないし。メロディックとかスカとかのバンドが頑張ってた時期やったから、対バン探すのも苦労して。リリースがないから、どんどんお客さんも減っていくし。悪循環でぬかるみの中をのたうち回ってた時期ですね。今思うと、それがあったから今のロットンがあるわけですけど。

GEN:あのころだよね。その悪循環から浮上するきっかけは?

NOBUYA:それはやっぱり『This World』(2010年リリースの3rdアルバム)のリリースですね。

N∀OKI:あとは、やっぱりそういう状態でもライヴを止めなかったこと。それで「THIS WORLD」、「響く都」、「マンダーラ」(すべて『This World』収録曲)っていう曲をリリース前からずっとライヴでやってたから、すぐにお客さんが曲を覚えてライヴで歌ってくれたり、めっちゃ暴れてくれたりしてるっていう。そうやって、ライヴでやりまくってた曲をリリースしたら、ドーン! と来たっていう感じでした。昔のデモ・テープみたいな感覚ですよね。そのときに、松原(裕/ROTTENGRAFFTYの現所属事務所社長)っていう関西の仲間がいて、太陽と虎っていうライヴハウスを持ってるっていうのが強みやって。どう考えても、これからライヴの時代になっていくっていう流れも感じてたし。関西人でひとりで"COMING KOBE"っていう何万人も集めるフリー・イベントをやれる奴なんて、そのへんのレーベルの社長と器量がちゃうじゃないですか。そのへんも含め、いろんなものが重なった感じですね。そこで、ちょっと光が見えた、みたいな。もし『This World』が全然鳴かず飛ばずで、誰も反応せぇへんかったら、そこで終わってたと思います。最後の一手やったってことですね。

NOBUYA:うちの事務所の松原もそうやし、ライヴの制作やってくれてる方、スタッフ含め、本当に"ロットンなんとかしたろ"みたいな人たちがよく集まってくれたなって思います。あとは、個人的に一番大きいなと思ってるのが、やっぱ10-FEETですね。"京都大作戦"の1発目(2007年)が台風で流れて、その次の年に僕らは出させてもらったんですけど、オープニング・アクトっていう肩書で。そのときは今みたいな状況でもまったくなく、4年間CDが出せなかった時代に、10-FEETはあんなデカいフェスを京都で開催してる。その10-FEETのライヴのアンコールのときに、袖で観てたバンドマンが全員泣いてたりとかして、それを見て僕は違う意味で泣きましたね。すごく悔しいなと。ほとんど同じくらいの時期に結成して、同い年で切磋琢磨してきた10-FEETにこれができて、なんで俺らはこの状況なんだって。そういうところから、バンドマンとしての考え方とか、人としての考え方とか、そういうものはすべて10-FEETから学んだと思ってます。なので、僕はそこでスイッチが入りましたね。あれがなければ、とっくの昔にロットンは終わってたと思うし。理由はメンバーそれぞれ違うかもしれないけど、あそこでロットンはみんなスイッチ入れたんじゃないですかね。

GEN:そうだよね、同世代で同じ土地で育ってね。それはわかるな。俺だってそういう立場になったら"絶対やってやる!"って思うもんね。

NOBUYA:あの松原も、"COMING KOBE"を立ち上げるきっかけになったのは、ガガガSPが神戸でフェス("長田大行進曲")やってるのを見て"なんであいつらにできて俺にでけへんねん"っていうところから始まったんだって言ってたし。俺らもそうやったから、松原とそういう話をしたときに、徐々に距離が縮まっていって、今があるんですけどね。

GEN:でも、昔はみんな苦しかったよね。思い出すと俺もそうだし。それで、またこうやって一緒に仕事で飲めるのが最高なんだよね(笑)。

NOBUYA:そうですね(笑)。とりあえず今バンドマンできてることが幸せです。苦しいなかで、どんな幸せを見つけていけるかっていうことで、みんな大成していくんちゃうかな。

GEN:ロットンは、そうやって強くなっていったイメージがあるよね。昔のイメージより、すごく強くなった感じがするな。まぁ、大人になったからかもしれないけどね。

N∀OKI:僕らは、やっぱ器用なタイプじゃないんで。1回ボカンってコケて、それで勉強して。そうやってひとつずつ進んでいくバンドやと思いますね。1個飛ばしができないっていうか。

GEN:俺は、それが一番いいなって思うけどね。今はね、ビュンって上がってすぐに武道館でできるバンドもいっぱいいて、それが別に悪いんじゃないけど、地道に上がっていくっていうのはやっぱりいいことだと思う。こうやって這いつくばって上がってきたバンドは、ほかのバンドにない強さっていうか、見せ方があるからね。そういうのがあると感動もやっぱり違うと思うし。19年やってて、うまく活動できてない期間もすごく長いバンドだから。それを思うと、ヤバいなって俺も思うし。こうやって対談させてもらうのも嬉しい。

NOBUYA:僕らもそうですよ。