LIVE REPORT
LUNATIC FEST. -DAY2-
2015.06.28 @幕張メッセ 1-4ホール
凛として時雨 / MOON STAGE
前日に引き続き、オープニングアクトのLUNACYが大いに観客を沸かせた幕張。たった3曲ではあるが、さすが25周年を迎えたバンドならではの圧巻のステージだった。この次に出るバンド、初日は9mm Parabellum Bullet、本日は凛として時雨、かなりテンションもハードルも上がった状態でのライヴとなる。特に凛として時雨は、LUNATIC FEST.唯一の3ピース・バンドなので、どのように攻めてくれるのか楽しみであった。まず驚いたのは、広いステージの下手に、狭い間隔で楽器が寄っていること。そして、すべてのバンドが使用していた左右のモニタースクリーンの使用も一切なし。「I was music」を演奏し始めると、先ほどまでの祝祭感が、一気にヒリヒリとした緊迫感へと変わる。TK(Vo/Gt)の鋭いヴォーカルが頭を突き刺す「DISCO FLIGHT」のあと、"はじめまして、凛として時雨といいます。"というシンプルなMCがはさまれ、「Enigmatic Feeling」へ。ピエール中野のドラミングは非常に安定しており、情感豊かで気持ち良い。345(Vo/Ba)の天使のようなコーラスも美しく響いている。「感覚UFO」は激情という言葉がぴったりな速いナンバーで、会場のボルテージも一気に上がる。細かいキメもばっちりな演奏力は、圧巻のひと言だ。"またここから歴史が始まると思います。楽しんでいってください。"というMCがはさまれ、ラストは「傍観」で締めくくられた。どこか呪術的で、中毒性の高い、凛として時雨の世界観、そして堂々としたパフォーマンスに釘づけになった、あっという間の30分だった。(KAORU)
ROTTENGRAFFTY / FATE STAGE
"ルナティックフェスー!!"威勢のいいかけ声と共にスタートしたのは、ROTTENGRAFFTYだ。「世界の終わり」が爆音で鳴り響き、正午をまわった幕張メッセは一気に開放感を得た。ステージから放たれるパワーも凄まじいが、どっしりと安定感のある演奏力に、たまらず身体が反応してしまう。"目は覚めましたか!"とひと言添え、"特別な日に、特別なことをやりたいと思います!"と宣言したかと思えば、なんとLUNA SEAからJ(Ba)が登場し、「This World」をコラボレーション! ステージ前はさらに人を集めて、ハチャメチャな盛り上がりを見せている。ステージのJも終始笑顔で、このコラボレーションを心底楽しんでいる様子だった。"奇跡は自分の手で掴み取る。お前らも掴み取れよ!"と説得力のあるMCを轟かせ、間髪開けずに「響く都」をプレイ。"もっともっと!""声出せ!"と観客を煽りまくり、フェスらしい高揚感をいっぱいに広げたところで、"SLAVEのみなさま!お前らの狂ったダンスを見せてくださーい!"とのMCを交えて会場の空気を一変させ、人気曲「D.A.N.C.E.」を投下。キッズのみならずSLAVEも巻き込んで一斉にジャンプ! そのまま"全員飛んで来い!"と言い放ち、代表曲「金色グラフティー」で爆発力のあるラストを締めくくった。"夢を与えてくれたLUNA SEA、ありがとう!夢を現実に変えてくれたSLAVEたち、ありがとう!!"去り際のMCも実に清々しい。ROTTENGRAFFTY、FATE STAGEのトップバッターに相応しい見事なステージングだった。(MAY-E)
MUCC / MOON STAGE
持ち前の柔軟性とパワフルさで観客を魅了したのは、最先端のラウドロックを体現するヴィジュアル系バンドMUCCだ。妖艶な姿を浮かび上がらせたかと思えばサビで一気に光が差し込む「睡蓮」で、ドラマティックに幕を開ける。"幕張!てめえら全員かかってこい!!"との掛け声と共に放った「ENDER ENDER」ではモッシュさながらの白熱ぶりをみせ、「G.G.」では"踊ろうよ!幕張!"と煽り客席を存分に踊らせていた。「睡蓮」を始め、「D・f・D(Dreamer from Darkness)」「TONIGHT」とセットリストの6曲中3曲を最新ミニ・アルバム『T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-』で固めてきたあたりにも今作への自信の高さがうかがえるが、何より、そのすべてのパーツが最高にかっこよく幕張メッセに突き刺さってきて、まるで『T.R.E.N.D.Y. -Paradise from 1997-』はこの日のために用意された作品なんじゃないのかと思ってしまったほど。"お前らの顔を全員覚えて帰るからな!"と、RYUICHIの名MCを再現した逹瑯(Vo)。MUCCの初ライヴでも自身の緊張をほぐすためにこのMCをパクったという自虐的なエピソードで客席をほぐしたところで、"このステージに立ってわかったことがひとつある!全員の顔を覚えて帰るのは無理だー!"との本末転倒なひと言。これには会場も大ウケだ。"だから変わりにここにいるみなさんにMUCCを覚えて帰ってもらおうと思います、いいですか!"とMCを締めくくり、キラー・チューン「蘭鋳」を投下。"幕張のみなさん全員死刑!"というひと声でオーディエンスを一斉にジャンプさせるドSっぷりもまた、MUCCらしくて心底楽しかった。(MAY-E)
[Alexandros] / FATE STAGE
MUCCが圧巻のライヴを終え、熱気ムンムンの幕張メッセ。LUNATIC FEST.の出演者の中では、かなりアウェーな立ち位置ではあるが、実力派として認知されている[Alexandros]。今日もきっと彼ら流のいいライヴを見せてくれるだろう。なお、[Champagne]から[Alexandros]に改名してからは初となるアルバム『ALXD』リリース直後のライヴである。ドラムの庄村聡泰は、バンドを始めるきっかけとなったバンドがLUNA SEAであると公言しており、この場に立てることに深い感慨を持っていることだろう。"暴れる準備はできてるかー!!"というかけ声から、ダンサブルなナンバー「Stimulator」からスタート。とても勢いがよく、メンバーの気合いが一瞬で伝わってくる。「starrrrrrr」が始まると、先ほどまで座っていた観客が次々に立ち上がり、リズムに合わせて踊りだした。曲の途中にメタリックともいえる怒涛の展開があり、2バスドラムが炸裂する「Kick&Spin」を聴いて、改めて彼らの演奏のうまさを実感する。"誘っていただいてありがとうございます。LUNA SEAが主催ということを忘れて、俺らのライヴをやればいいって楽しんでます。俺が初めてLUNA SEA先輩に出会ったのは小学生のころで......"と、川上洋平(Vo/Gt)がLUNA SEAを知ったきっかけとなった当時のエピソードを語り、"さっき楽屋に挨拶に行ったら、好きにやっていいからねと言ってくれました。最高です。"と、敬意を示す。そして、「Famous Day」に続き、アンセミックなナンバー「ワタリドリ」がプレイされた。なんて爽やかで素敵なのだろう。ドロドロした音楽性のバンドが多い中、その清涼感は、ひときわ際立って響いていた。(KAORU)
GLAY / MOON STAGE
定刻より少し早めにステージに登場したのはGLAYの4人だ。今日ここまでで1番の歓声が幕張メッセに響く中、"OK幕張!いくぞー!"と「HEAVY GAUGE」でショーはスタート。続く「誘惑」ではオーディエンス全員の腕が上がり、早くも圧巻の景色を作り上げていた。"LUNATIC FEST.に参加できて嬉しいです、GLAYです!"そんな爽やかな挨拶のあとは、初日も会場を訪れ、YOSHIKIの涙を見て自分も大泣きしていたと明かしたTERU(Vo)。"あれはまずいよねぇ(笑)"なんて客席に問いかける微笑ましい一幕も。そして"LUNA SEAの影響を色濃く受けている曲"としてプレイしたのは、懐かしの名曲「月に祈る」だ。これぞLUNATIC FEST.ならではの選曲であろう。そこから間髪開けずにプレイした「口唇」で、その盛り上がりをさらに加速させる。スタジアム級のバンドであることを再認識させられるスケール感と、色褪せない名曲の数々。だが、上京したてのころはLUNA SEAを目指してがむしゃらに頑張っていたとMCで語ったのはHISASHI(Gt)だ。彼らのデビュー・アルバムにも一瞬にして虜になったという。そんなLUNA SEAへの愛溢れるエピソードの最後に、"エナメルの夜に"とひと言添え、なんとLUNA SEA「SHADE」のカバーを披露!このサプライズに、会場の盛り上がりはクライマックスを迎える。「彼女の"Modern..."」、「TILL KINGDOM COME」を挟み、"(出演者は)僕らのヒーローばっかりなんですよ。そんな僕らのヒーローたちに、これから僕らもヒーローになりたいという思い込めて"とTERUが語ったところで、ラスト・ナンバー「HEROES」へ。少しばかり後輩とはいえLUNA SEAと共に時代を歩んできたバンドは、LUNATIC FEST.に大きすぎる華を添えた。(MAY-E)
BUCK-TICK / MOON STAGE
ヴィジュアル系創成期の礎を築いた重鎮の凄味を感じさせる素晴らしいパフォーマンスを披露したD'ERLANGERに続き、BUCK-TICKのライヴが始まる。エレクトリックなSEと共に、メンバーが登場。櫻井敦司は全ヴィジュアル系ヴォーカリストの憧れといえる存在であり、その姿を見ただけで卒倒しそうなくらい妖艶な色気を放っている。「独壇場Beauty」が始まると同時にミラーボールが回り、宇宙的な映像が中央スクリーンに写される。"死ぬほど楽しめ、踊れ"という歌詞の通り、フロアはディスコティックな祝祭空間に。昨年リリースされた『或いはアナーキー』に収録されている「メランコリア」も、四つ打ちのEDM要素を含むナンバーで、とにかくダンス!ダンス! 上半身を殆ど動かさず、淡々と正確なリズムを紡ぐヤガミ・トール(Dr)の姿に後光が差して見えたのは私だけだろうか。「ONCE UPON A TIME」では樋口 豊(Ba)の表情に笑顔が見えた。"Enjoy! LUNATIC FEST."というMCの後、今井 寿(Gt)がテルミンを披露し、こちらもダンサブルなナンバー「Django!!! -眩惑のジャンゴ-」、「Memento mori」へと続く。今井はギターを持ち替え、星野 英彦(Gt)と共に魅惑的なフレーズを紡ぐ。櫻井はスポットを観客へ向けて照らし、どんどんボルテージが高まっていく。その後、LUNA SEAのJがステージに登場し、樋口と共に「ICONOCLASM」のベースに参加した。途中Jが"カモン LUNATIC!!!"と、興奮を隠し切れない様子で叫んだのが印象的だった。Jにとっても大先輩のBUCK-TICKのライヴに参加できたことは、このフェスを主催したからこそ実現したのだ。テンポが早く緊迫感のある「真っ赤な夜-Bloody-」のあと、ガラっと雰囲気が変わり、バラード・ナンバー「形而上 流星」でしっとりと聴かせ、"LUNA SEAに愛を込めて"という言葉の後、ラストはなんと「無題」である。櫻井の叫びと、最後の最後にノイズを響かせ、しっかりと爪痕を残す。なんてかっこいい終わり方なのだろう。ライヴが終わったあとのザワザワとした空気が忘れられない。洗練された退廃の美を体感した。一生記憶に残るライヴだった。(KAORU)
LUNA SEA / MOON STAGE
LUNA SEAの名の下に、90年代を代表するヴィジュアル系バンドと、LUNA SEAに影響を受けたバンドが集結し、すべての出演者が最高のパフォーマンスを見せてくれたLUNATIC FEST.。いつまでもこの時間が続いてくれれば......と、少し寂しい気持ちだが、いよいよ大トリ、LUNA SEAの登場だ。ベートーヴェンの「月光」が流れるなか、レーザー光線が放射線状に放たれる。今夜の1曲目は「Anthem Of Light」だ。昨夜よりもさらにコンディションが良いことを感じさせる、圧倒的な演奏。「TONIGHT」のサビでは大合唱の嵐か巻き起こる。"最高だな!昨日もはしゃいで、今日もはしゃいで、25周年を締めくくるこのLUNATIC FEST.が幕を閉じようとしているんだけど、20バンドも出演してくれて、盛り上げてくれたシーンの分厚さにみんなが伝説を感じてると思う。今日はさらにそれを深めていきたいと思います。もっと狂ってしまえる夜にしましょう"というMCから、超絶キラー・チューン「DESIRE」、「TRUE BLUE」が立て続けに披露される。会場の熱気は、この2日間で一番、猛烈に熱い!さらに、「FACE TO FACE」ではパイロの柱が上がりまくり、その熱気もあいまって、正に熱帯夜。ミドルテンポで、凛としたリズムに妖艶なメロディが絡み合い、ドライ且つドロドロとしたLUNA SEA特有の不穏なグルーヴが渦巻く名曲だ。RYUICHI(Vo)とSUGIZO(Gt/Violin)のコーラスのハモりも美しく響きわたる。その流れから、SUGIZOがギターをヴァイオリンに持ち代え、ワルツ「Providence」が奏でられ、情感豊かに、悲しくも美しい旋律にしばし酔いしれる。「I for You」ではRYUICHIの倍音とビブラートを駆使した歌声に、ただただ圧倒された。"本当にみんな最高です。どうもありがとう!やっぱり、音楽はやり続けないとだめだなと実感した。LUNA SEAも、みんなと共に歩くよ。"と、高らかに宣言し、hideの「ROCKET DIVE」のカバーを披露、いや、捧げられたという表現が正しいだろう。昨夜の「ピンクスパイダー」も嬉しいサプライズだったが、まさかこのフェスのために2曲カバーしていたとは......。モニターのhideの映像とステージを交互に見つつ、改めてhideの偉大さを噛み締めた。真矢(Dr)の2バスドラムと、切り刻むようなSUGIZOとINORAN(Gt)のギターが炸裂する「Metamorphosis」、デビューアルバム『LUNA SEA』の代表曲「TIME IS DEAD」、そして、本編ラストは、やはりLUNA SEAといえばこの曲、「ROSIER」だ!曲間でJ(Ba)が歌う英詞のパートが特徴的だが、SLAVEならばひと言も間違えずに一緒に歌うことができたはずだろう。生命を燃やすかのような全力の演奏で、この祝祭空間を締めくくってくれた。アンコールでは、LUNATIC FEST.に参加した様々なバンドのメンバーが登場し、「BELIEVE」のセッションが行われた。まさかこんな日が訪れるなんて......。希望しか感じない。大ラスの「WISH」では、お約束の"I WISH!!"ジャンプと共に、会場すべてがひとつとなり、25周年のお祝いにふさわしい、超大団円をもって幕が閉じられた。(KAORU)
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