－続いて、エヴァさんは、SHANKのショート・チューンへのこだわりが聞きたいそうですね。

池本：俺ら飽き性だしね。

松崎：長い曲が嫌いなわけでもなく、物足りないくらいがちょうどいいんじゃないと思っているかもしれないです。

エヴァ：私も基本的には長い曲が好きじゃないんです。疾走感溢れる曲のほうが好きなんですけど、神激だけは別で。神激だけは飽きないで自分も聴いていられるし、ライヴでやっていても自分で飽きることはないですね。歌詞も5～6分かけてたったひとつのことを伝えるんじゃなくて、一行一行が誰かに刺さるであろう内容だからこそ、どこを歌っていてもめちゃくちゃ気持ちを込められるんです。

ことの：6人ヴォーカルだからこそ、それ（長い曲）ができるのかなというのもあります。

エヴァ：デス・ヴォイス、ラップとかをやっているアイドルもめちゃくちゃ多いんですけど、神激は転調があったり、新曲が出るごとにラップの技法、デスボの技法とかたくさん詰まっていたりするので、飽きずに聴けるのかなというのはあります。めっちゃ自分らの曲を褒めちゃいましたけど、それくらい自信を持っていて。自分たちの曲が好きだからこそ、みんなに聴いてほしいし、みんなにお勧めできます。

－エヴァさんは、SHANKのみなさんが自然体でいるために大切にしていることも知りたいそうですね。

エヴァ：緩いけど熱い、その緩さがめちゃくちゃカッコいい余裕感になっていると思うんです。

池本：意図してはやっていないね。これしかできないからやっているだけで。

松崎：照れ臭くなるんですよね。緩いというより、照れ臭いからそのまんまやっているというか。素が一番いいかなって。

エヴァ：ユニコーンとか、そういう人たちに通じるカッコ良さを感じています。

松崎：（奥田）民生さんもそうですし、僕らが好きなアーティストは、自然体なんですよね。人間味があるというか、その人がわかるじゃないですか。僕らは完全に作られたアーティスト像でやっているバンドではないので、ただカッコいい楽曲を作って、カッコいいライヴをすればカッコいいだろうというのは始めたころから変わっていないです。

ことの：神激のMCは"熱い"ってよく言われるんですけど、自分たちもカッコつけようとして熱くなっちゃうというよりは、ただただ伝えたいことをそのまま言っているだけなんです。MCをするときに気をつけるのが"背伸びをしすぎない"ということで。そういう意味では、ステージに立っているときのスタンスとかは通ずる部分があるのかなって思いました。

池本：熱き想いがあるならば伝えたらいいんです。俺らは"自由に楽しんでよ"くらいな感じなんですよね。

松崎：言葉にしないと伝わらないこともあるので、それがお客さんの活力になるんだったらそれがいいんだと思います。

－よいこさんはコロナ禍でのSHANKのライヴについて聞きたいそうですね。

よいこ：自粛前と現在とでは着席やディスタンス、声出し禁止など違う点が多くありますが、そのなかでのライヴで意識している点や以前のライヴと変えた点などはありますか？

松崎：9月に『Candy Cruise EP』を出して、12月に『THE SLOWSHANK』というアコースティックのセルフ・カバーも出していたので、活動しているのが見えれば少しは元気になるのかなという考えはありました。アコースティックのライヴに関しては、普段観ることができない特別感だけはちゃんと出そうと思っていて。日本語の曲をカバーしたりもしたんですよね。そういうところじゃないかな。いつもライヴハウスでやっていたバンドとは違う色として出せたんじゃないかなと思います。

よいこ：無理して前と同じことをするというよりは、新しい楽しみ方を。

松崎："こういう楽しみ方もあるんだよ"って、お客さんに見せられたんじゃないかなというのはありますね。僕らが40歳とか50歳になって今みたいな楽曲はできないかもしれないけど、アコースティックだったらできるし、長く続けるにはいいものだったのかなというのはあります。あと、酔っぱらったらよくしゃべるところを見せられたんじゃないかなと（笑）。

神激一同：（笑）

池本：逆にみんなはお酒を飲んでライヴをやったりしたことはないんですか？

いもこ：やってみたいね。

松崎：やめたほうがいいよ（笑）。必要以上に感情的になるから、熱い思いが溢れ出て、涙でボロボロになったりしそう。

池本：（笑）でもお客さんはそういうのを観るのも嬉しいかもしれない。

－ところで、神激はフェスへの想いがすごく強いと思うんですけど、SHANKがフェスに出られるようになったきっかけとかってあるんですか？

松崎：きっかけというよりは、今みたいな野外フェスじゃなくて、屋内のイベントからだんだんと外に出ていって、という流れがあったんじゃないかな。ある時期から野外のイベントが増えたのもあって、そのあたりからちょくちょく出始めたような。

－大きなきっかけというよりは、イベント出演の積み重ねなんですね。

エヴァ：私たちは、ロック・フェスに出ることを目標にしているところがあるんです。そのための起爆剤を作りたい時期なんですよね。人に見つけてもらうとかじゃなくて、自分たちでどんどん仕掛けていかないと難しいかなと思っているんですけど、こういう座談会もそうですし、今後バンドさんをいっぱい呼んで、コースト（STUDIO COAST）とかで室内フェスをやりたくて。それが起爆剤になるように頑張っているところなんですよ。

松崎：起爆剤というより一生懸命地道に目の前のことをやっていたら見てもらえたというか。自分らがやれることとか、いろんなことをやっていれば、名前が世に広がって、話がくるようなこともあるのかなと。

エヴァ：私たちも目の前のことを頑張っていって、"この子たちは本当に曲がカッコいいんだな"とか、"アイドルという枠を超えて頑張っているんだな"というところをSHANKさんに見せていくことで、"神激のフェスだったら出たい"と思ってもらえるようなグループになりたいです。なので、良かったら今後とも仲良くしてください。

－さてSHANKは2月9日から"Candy Cruise Tour 2021"を予定しています。いよいよバンド編成でのツアー開催になりますが、どんなツアーにしたいですか？

松崎：正直全然見えていないんですけど、この状況が2月のツアーを始めるときに良くなっているとはまったく思っていないんですよね。そのなかで僕らが何をやれるかで。今まで通常運転していたころと同じライヴをするのかと言われたら、そうじゃないかもしれないですけど、やれることを探して、お客さんが動けなくても楽しいものになればいいなと。あとは状況が、このツアー中にもとに戻ったらいいですね。

－そして神激も2021年は豊洲PIT 無銭ライヴ（3月5日開催の"神激、豊洲PITで無銭ライブやるってよ！"）など、たくさんの自主企画を予定しています。2021年のライヴ活動への想いや目標を聞かせてください。

ことの：動けない、声を出せないなかで、どうやって楽しませるか、自分たちの力でどれだけカッコいいライヴを見せていけるかは課題に感じますね。9月のTOKYO DOME CITY HALL（"神使轟く、激情の如く。4周年単独公演 Garden of Dog's at 東京ドームシティ"）までにも正直どうなっているかわからないですし。もしそれくらいからまた動けるとしたら、以前よりもカッコいいものを出せるのかとか、課題は多いです。なので、目の前のことをしっかりやっていくことがすごく大事になったなというのは思います。

エヴァ：豊洲PITを無銭でやるって相当頭おかしいと思うんですよ。声が出せない状況になったとしても、こいつらまた頭おかしいことやってるなっていう、いい意味での頭おかしい感を出していきたいですね。発想力、音楽力で勝っていきたいと思います。

－最後に、2021年の活動に向けた想いを聞かせていただければと思います。

いもこ：大きい会場でライヴをやるので自覚を持って頑張ります。

松崎：こんな若い子たちが自覚を持ってと言ってるのに、自覚を持ってない俺ら。

池本：（笑）

松崎：今、楽しいでしょ？ 楽しくなくなるまで思いっきりやったほうがいいですよ。

エヴァ：楽しくなくなるときはあるのかな、今は全然そんなこと想像つかないですね。

松崎：なんか、おじさんほっこりした。