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INTERVIEW

神使轟く、激情の如く。

2021.12.24UPDATE

2021年12月号掲載

神使轟く、激情の如く。

Member:実久里ことの 生牡蠣いもこ 涙染あまね 三笠エヴァ 二日よいこ TiNA

Interviewer:宮﨑 大樹

「神奏曲:ライトニング」を扱えるようになることで、武道館という壁、自分たちのスキルの限界という壁を壊していける


-そんな"神奏曲"シリーズの新曲「神奏曲:ライトニング」は、テンポ・チェンジもラップもシャウトもブレイクダウンもあり、シリーズの集大成に相応しい1曲に仕上がりました。

エヴァ:初めて聴いたときはヤバいしか出なかった。ただ、実はちょっと不安もありましたね。こんなにすごい、ヤバい曲を今の私たちに歌えるのかな? みたいな(笑)。

よいこ:ラスボスって感じ。他の"神奏曲"シリーズのいいところを全部ギュっと詰め込んだのが「神奏曲:ライトニング」なのかなと思います。

あまね:本当に。スクリームのパートは今までで一番難しそう、どうやって出そうと思って、めっっっちゃ! 練習しました。

-聴く側としてもラスボス感があるけど、歌う側にもラスボス感があった。

ことの:そうですね。それぞれの課題がある曲でした。

-具体的にはどんな課題ですか?

あまね:今までのスクリームのパートは、技術面で新しい音にどんどん挑戦していこうという感じでやっていたんです。だけど今回は三笠と叫び合うパートがあって、そこに気持ちを乗せて叫ぶのが初めての挑戦でした。本当にそこが挑戦した面だし、聴きどころかなと自分的には思います。

TiNA:私は、今回"hiF"という高さの音を地声で出すパートに挑戦させていただいて。デモが送られてきたときには本当にできるのか不安に思ったんですけど、練習していくと自分の限界を突破して新しい自分を見つけられた感覚がありました。レコーディングのときも、自分の知らなかった一面を見つけてワクワクするような感じで。ファンの人、応援してくれている方々にも新しい自分を見つけていただける、そんなふうに限界を超えたセクションがあります。

よいこ:自分のラップのパートとしてはがっつり2回入っているんですけど、ひとつ目がK-POP寄りの、今までにはなかった感じの部分で新しい挑戦をしています。もうひとつはブレイクダウンと一緒にラップをしていて。ここはトラップっぽい感じなんですけど、同じラップのゾーンでも全然雰囲気が違うので、歌い分けだったり、ちょっと掠れた感じの声を出したり、今までになかったラップ技術の挑戦がありました。

ことの:自分は今回の「神奏曲:ライトニング」でも頭メロを任せていただいています。クリーンが3人いる中でも、自分の声質が神激の曲を歌い上げるのに一番適してると言ったらあれなんですけど、一番力強く歌える声を持っていて。で、頭メロって言葉通り曲の最初じゃないですか? そこでフロアをどれだけ引き込めるか、その日のメンバーのテンションをどれだけ上げられるかが自分に懸かっていると思うんです。なので、そこは外さずにしっかり歌うのが自分の責任だと思いながら練習して、その気持ちでこれからライヴでも歌っていこうという気持ちがありますね。

エヴァ:神激の曲は、ことのちゃんの歌い出しがわりと多いんです。神激の歌として、ことのちゃんがセンターというか、アカレンジャーなんですよね。歌的な意味でもリーダーとして引っ張ってくれているので、ことのちゃんの歌い出しで"ゴールすらも通過点に変えて越えて魅せる"と歌うと、私たちも後ろで聴いていてアガりますし、これからも頑張っていこう、ついていこうと思えます。だから私はことのちゃんの歌い出しがすごく好きなんです。

ことの:嬉しい。責任を背負って歌います。

いもこ:私はクリーンの中でも声質が変わっているので、以前はひとりだけ浮いているのかなと思っていたんですけど、これまでの曲でも自分の声を生かすためにジャジーなパートを貰うことが多くて。そこから地声、アニメっぽい声を生かすようなパートを他の曲でも作っていただくようになったんですけど、今回の「神奏曲:ライトニング」では"街に焦がれて"のところで、ジャジーとはまた違った、発音の仕方とかを変えて歌うようなパートに挑戦させていただきました。もともと声を使うことが夢だった、声優が夢だったので、こうやっていろんな声を生かしてもらえて嬉しいです。

エヴァ:自分は今まで歌に自信がなかったんですけど、「オキシバギー」とかで青春パンクっぽい歌い方を習得して、「神奏曲:ライトニング」でもそういう歌い方ができました。あとはやっぱり、あまねとふたりで掛け合っている、叙情的でエモーショナル、落ちサビのようなスクリームがこの曲のポイントだと思っていて。もともとそういうシャウトをやりたいヴィジョンはあったんですけど、私たちの技術とかが追いついていなかったんです。でも、この「神奏曲:ライトニング」で満を持して入れられたので、自分の思い入れもすごく強くて。あまねは、Crossfaithさんみたいなガテラルとかが上手くて、三笠は、凛として時雨さんみたいな叙情的な高い声のシャウトで掛け合っています。これって本当に普通のバンドじゃできない、6人ヴォーカルだからこそできることだと思うんです。そういうポイントがここ以外にもあって。TiNAの"hiF"が出てるところとか、みんなが言ってくれたことも、6人ヴォーカルだからこそできたことが「神奏曲:ライトニング」のすごいところだと思っています。

-はい。

エヴァ:あと、自分のパートとか人のパートの話ではないですけど、ブレイクダウンが2回あるんですよ。これだけでわりとメタル・ファンは垂涎ものなんじゃないかなと。しかも1回目のブレイクダウンには、よいこのラップが乗っていて。「神奏曲:ライトニング」は本当に最高傑作、これ以上できないくらいの名曲だと私たちは思っています。

-歌詞についてはどうですか?

いもこ:この曲は武道館(2022年3月30日に開催される日本武道館ワンマン・ライヴ"宣戦布告")に向けて作った曲なんですよ。自分たちで限界を感じる瞬間は何度もあったんですけど、それを乗り越えて今この「神奏曲:ライトニング」という曲ができあがったんです。今はこれが私たちの持っている力の限界だと思うんですけど、その先も超えていきたいなという想いを込めました。

ことの:この曲を扱えるようになることで、初めて武道館という壁、自分たちのスキルの限界という壁を壊していけると思うんですよね。今のひとつの課題として「神奏曲:ライトニング」を歌いこなせるグループになる、というのはあります。

-武道館を控えたこのタイミングでCDとして出ることに意味を感じますね。"神奏曲"は、例えば「神奏曲:テンペスト」だったら疾走感のある風属性の曲ですけど、それで言うと「神奏曲:ライトニング」は、属性としては光とか雷の属性になるのかと思います。

エヴァ:個人的には雷だと思っています。やっぱり初めて聴いたときの衝撃が雷なんじゃないかなと。でも、たしかに光も感じるよね?

ことの:うん。壁を壊した先にある光とか。そういうのもすごく想像できます。

-そういう意味でも"神奏曲"シリーズの集大成に相応しいですね。そんなシリーズの始まりだったのが「神奏曲:テンペスト」です。第1弾ということで、今となっては神激のスタンダードになりつつあるスクリーモ、高速ラップを取り入れていて、リリース当時はかなり挑戦的な側面が強かったんじゃないかなと。

ことの:スクリームを入れるのは勇気がいりましたね。

よいこ:技術がなく叫んでいるだけだと、ただのノイズになってしまうので。メンバーのスキルが上がったからこそできたことだと思っていますね。

エヴァ:スキルがないとできないという意味では「神奏曲:テンペスト」での、よいこの高速ラップもすごいと思うんです。そういうのを聴いてもらったら、神激は本物なんだとわかってもらえる曲かなと。

-本物になれたからこそできた曲だし、みなさんのスキルやみなさん自身をしっかり見ているからこそ作れる曲だと思います。

エヴァ:そうですね。やっぱりマニピュレーターさんが毎日のライヴにいて、音を出しながら、一緒に演奏しながらメンバーの成長過程を見てくださっているからできることかなと思います。それこそTiNAが"hiF"まで出るんだということも、実際にライヴに出ていて気づくから曲に落とし込めるし、7人目のメンバーだと思っているマニピュレーターさんと一緒に作っているからこその曲です。

-だから楽曲に背景やドラマがちゃんとあるんですよね。歌詞としては"誰にも媚びぬ 音が好きなんだろ/一緒じゃないか神者"という言葉が象徴するように、神者(※神激ファン)との絆を歌った曲です。やはり"神奏曲"の第1弾では、そういうことを歌いたかったんですか?

いもこ:そうですね。このスタイルでやっていると批判の声も多かったりするんですけど、自分たちは覚悟を決めてやっているし、これがカッコいいと信じてやっているので。その意思表明というか、覚悟を強く出していますね。その先で、これまで批判してきた人たちも認めさせてやるという強い意志も書いています。

-この「神奏曲:テンペスト」から始まり、次に生まれたのが「神奏曲:アブソルートゼロ」です。初めて聴いたときは、頭がジャズ風で驚いた記憶があります。

ことの:"神奏曲"の曲調は"プログレッシヴ・ミクスチャー・メタルコア"を体現したもので、シリーズとしては振れ幅が大きいほうではないんですけど、この「神奏曲:アブソルートゼロ」は、ジャジーなパートが聴きどころになっていますね。あと、私が歌っている"私は今日もこの都会で"というところで、ギター・ソロと歌メロが同居しているんですよ。これってバンドだったらやらないことだと思っていて。やっぱりバンドだとギターを押し出したいという気持ちもあるじゃないですか? そこにあえて歌メロを乗せることで、これが神激のスタイルだと見せられています。

-こちらは属性で言うと、水や氷ですよね。神激って、例えば火属性だとすごく想像しやすいんですけど、水や氷をテーマにしてどう神激の曲に落とし込むのかと思っていたら、都会のクールな印象を表現しているんですね。

いもこ:上京して東京でいろんな人たちと出会って、ここってやっぱり冷たい街なのかなと感じる瞬間も多くて。私は夢を持って上京してきたんですよ。そういう人ってたくさんいるじゃないですか? でも夢を持って上京しているのに、いろんな誘惑に溢れた街に染まっていく人たちを何度も見てきて。自分はこうはなりたくないなという気持ちを表現した部分もありますし、自分と同じように夢を持って上京して来た人に負けてほしくない、染まらないでほしいという想いも書きましたね。だからMVでも銀座の街を裸足で走るアンチテーゼ的な表現をしています。