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LIVE REPORT

DOWNLOAD JAPAN 2022

2022.08.14 @幕張メッセ 1~3ホール

Writer 米沢 彰、内堀 文佳

MASTODON


先ほどまでの乱痴気騒ぎから一変、轟音と神々しい照明の中でステージに姿を現したのはMASTODON。怒濤の勢いで押し寄せるドラムから、Brann Dailorのヴォーカルで幕を開ける「Pain With An Anchor」、雷のようにストロボが高速で点滅し、Troy Sandersが髪を振り乱しながら歌う「Crystal Skull」、疾走感溢れる「Megalodon」、カオティックにめまぐるしく展開する「Bladecatcher」と、ダークで壮大な世界観の楽曲が次々に繰り出される。そこにTroyの鬼気迫る表情、そして蜘蛛、暗闇の中で光るクラーケン、謎の怪物などが蠢く背景の映像が合わさり、音の濁流と相まって凄まじい没入効果だ。一方で、「Black Tongue」ではBrent HindsとBill Kelliherが向かい合ってギター・プレイを披露し、実に楽しそうに満面の笑みを浮かべる。その姿からは、MCでTroyが述べていたバンドからの感謝の気持ちが溢れ出ており、オーディエンスも身体を揺らして"このパフォーマンスを日本で見せてくれてありがとう"という思いをステージに伝えていたようだった。そのあとも「Pushing The Tides」をはじめ、音源よりもさらにアグレッシヴさ、重々しさを増したナンバーで畳み掛ける。Billが勢いのあるギターで先導する「Blood And Thunder」で締めくくるまで、楽曲の圧倒的な力強さ、そして幅広さで、このシーンにおいて彼らがその立ち位置を確固たるものにした所以を見せつけた。


BULLET FOR MY VALENTINE


DREAM THEATERのパフォーマンスの性質を想定するに、ある意味で今日のハイライトとなるであろうBFMV(BULLET FOR MY VALENTINE)。始まる前から会場は異様なムードに包まれていた。AC/DCがBGMとして響き、登場か!? と思いきや、しっかりと1曲流しきってからメンバー登場。上手すぎる焦らしからのスタートは「Your Betrayal」。リフのいかにも始まるぞ~感に否応にもテンションが上がりまくり、オーディエンスのヴォルテージは1曲目とは思えないほどにブチ上がっていく。続く「Waking The Demon」はイントロの入りの時点でどよめきが上がる。アゲアゲの選曲にサビではオーディエンスのシンガロングが聴こえる。いや、あれは心の声が漏れまくってるだけだ。大丈夫。

Michael "Padge" Paget(Gt)の煽りにオーディエンスが手拍子で応えるなど、わずか2曲ですっかりメッセはBFMV色に染め上げられた。"古い曲もやるからな!"Matthew "Matt" Tuck(Vo/Gt)がMCで煽ってスタートしたのは「The Last Fight」。楽曲が持つ爽快な疾走感にライヴならではの生感が合わさったパフォーマンスには、"本当にこういった形でフェスが復活できて良かった"と心の底から思わされる。

曲の途中でMattが消えた? と思ったらドラムの後ろにいたのには驚かされた。自由すぎる。マイク・スタンドまでご丁寧に用意されていたのはご愛敬。選曲もかなり自由で、昨年リリースの「Rainbow Veins」をやったかと思えば、デビュー・アルバムから「4 Words (To Choke Upon)」を入れてくるなど、BFMVを網羅するような流れでファンを楽しませる。

"TEARS STAGE"と銘打たれていただけに、やるんじゃないかと勝手に期待していた「Tears Don't Fall」のイントロが流れてきた時点で、これで締めかなと思っていたら、Mattの"We have one more song!!"の最高の煽りで「Scream Aim Fire」。捨て曲なし、中だるみ皆無で圧巻のステージを締めくくった。


DREAM THEATER


朝9時台に始まった"DOWNLOAD JAPAN 2022"もいよいよ最後。フロア全体からはここまでとはまた違うムードが漂い、ステージ上も、最新オリジナル・アルバム『A View From The Top Of The World』のアートワークがアニメーション化され、ループで流れ続けるというここまでとは異なった演出が空気を一変させている。

最初にステージに出てきたのはJordan Rudess(Key)。シルエットだけでここまでパッとわかってしまうバンドのキーボーディストを私は他に知らない。James LaBrie(Vo)を除く全員が出てきたところで、バックドロップ通り、最新アルバムからオープニング・トラック「The Alien」でライヴがスタート。"イントロから拍の頭がわからんのよ"そう口にしたくなるぐらいのそもそもの楽曲の難解さと、それをやすやすとやってのける彼らのレベルの高さに、ここまでのライヴとは根本的に異なる"何か"を観ているのだという感覚になってくる。

1曲目から9分台のトラックでドリムシ(DREAM THEATER)ワールドを展開したあとは、3rdアルバム『Awake』のオープニング・トラック「6:00」で、往年のファンにもしっかりと見せ場を作る。相変わらず展開が超絶変態的で、オーディエンスは盛り上がるというよりも、ただただ圧倒されるばかりと言ったほうが適切かもしれない。なぜこのパートがバンド全体でピタリと合ってしまうのかが理解できないまま、最新アルバムより「Awaken The Master」へ。もはや仙人や解脱を目指しつつあると説明されたほうがしっくりくるぐらいの風貌を身に着けつつあるJohn Petrucciのギター・ワークは、低音を効かせたゴリゴリのリフと変拍子の応酬からの伸びのあるギター・ソロまで、音が自在に繰り出され、難解な楽曲というのも相まってそのプレイに目が釘づけとなる。

Jordanが肩掛けのキーボードに持ち替えてステージ前方へ。ここまで全員しかめっ面でストイックにパフォーマンスを続けてきたところから、一転して笑顔が出てくる。鍵盤が全部黒で弾きにくくないのかって心配はたぶん余計なお世話だけど、そのJordanも加わり竿隊3人組で並んでパフォーマンスを見せる姿はとても楽しそうだ。

テンポ・チェンジを何度も繰り返し、20分にも及ぶ最新アルバムの表題曲「A View From The Top Of The World」を完璧に演奏して見せたあとは、これまた19分越えの「The Count Of Tuscany」でいったんステージを締めくくる。長尺で展開が目まぐるしい2曲が連続すると正直おなかいっぱいという感じもあったが、アンコールで出てきて「Pull Me Under」のイントロのギターが始まると、そんな感覚も一気に吹き飛ぶ。周りの盛り上がりを見ても、この曲を待っていたオーディエンスはかなり多そうな雰囲気。バンド最強と言える名曲で、ほとんどノンストップで走り抜けた110分を超えるセットを締めくくった。

それも含めてのヘッドライナーなのかなと思うぐらいには、大トリにもかかわらず今の社会的にリスクが高いと思われるような光景はほぼ0であった。想定はされていたものの、実際にその光景を目の当たりにすると"やるなぁ"と思わされる。ほぼワンマン級のパフォーマンスを惜しみなく披露し、ステージを終えても丁寧にあいさつを繰り返す5人からは、厳しい社会情勢と高いリスクにもかかわらず、この場を作り上げた"DOWNLOAD JAPAN"への敬意と感謝までもが感じられるような気がした。


[Setlist]
■BAND-MAID
1. from now on
2. Sense
3. Choose me
4. After Life
5. DICE
6. Different
7. DOMINATION

■THE HALO EFFECT
1. Days Of The Lost
2. The Needless End
3. A Truth Worth Lying For
4. Conditional
5. Gateways
6. Feel What I Believe
7. In Broken Trust
8. Last Of Our Kind
9. The Most Alone
10. Shadowminds

■CODE ORANGE
1. Out For Blood
2. Forever
3. In Fear
4. Cold.Metal.Place
5. Who I Am
6. Spy
7. Bleeding In The Blur
8. Underneath
9. My World
10. Swallowing The Rabbit Whole

■AT THE GATES
1. Blinded By Fear
2. Slaughter Of The Soul
3. Cold
4. Under A Serpent Sun
5. Into The Dead Sky
6. Suicide Nation
7. World Of Lies
8. Unto Others
9. Nausea
10. Need
11. The Flames Of The End
12. The Night Eternal

■SOULFLY
1. Superstition
2. Prophecy
3. No Hope = No Fear
4. Downstroy
5. Bleed
6. Tribe
7. Back To The Primitive
8. Filth Upon Filth
9. Replica
10. Eye For An Eye
11. Jumpdafuckup

■STEEL PANTHER
1. Goin' In The Backdoor
2. Tomorrow Night
3. Asian Hooker
4. All I Wanna Do Is Fuck (Myself Tonight)
5. Crazy Train(Ozzy Osbourneカバー)
6. Weenie Ride
7. 17 Girls In A Row
8. Community Property
9. Death To All But Metal
10. Gloryhole

■MASTODON
1. Pain With An Anchor
2. Crystal Skull
3. Megalodon
4. The Crux
5. Teardrinker
6. Bladecatcher
7. Black Tongue
8. Pushing The Tides
9. More Than I Could Chew
10. Mother Puncher
11. Blood And Thunder

■BULLET FOR MY VALENTINE
1. Your Betrayal
2. Waking The Demon
3. Piece Of Me
4. Knives
5. The Last Fight
6. Rainbow Veins
7. 4 Words (To Choke Upon)
8. Over It
9. Shatter
10. Tears Don't Fall
11. Scream Aim Fire

■DREAM THEATER
1. The Alien
2. 6:00
3. Awaken The Master
4. Endless Sacrifice
5. Bridges In The Sky
6. Invisible Monster
7. A View From The Top Of The World
8. The Count Of Tuscany
En. Pull Me Under