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FEATURE

MASTODON

2014.06.18UPDATE

2014年06月号掲載

オリジナリティの高みへ駆け上る、聴き応え十分のニュー・アルバム!

Writer 荒金 良介

ジョージア州アトランタに拠点を置くプログレッシヴ・メタル・バンド、MASTODON。まず近況に触れると、今年も精力的にライヴに明け暮れ、4月からはGOJIRA、KVELERTAKと共に全米ツアーを開始し、5月には"Rock On The Range"、6月には"Bonnaroo"と2つのフェスティヴァルに出演するなど、"ライヴ・バンド"として研鑽の日々を送っている。その彼らから約3年ぶりになる6thアルバム『Once More 'Round The Sun』が届いた。 まず新作を語る前に少しおさらいしておこう。前作『The Hunter』はグラミー賞において"ベスト・ハード・ロック""メタル・パフォーマンス"部門にノミネートされ、全米チャート10位を獲得する大健闘ぶりだった。高度でプログレッシヴな演奏力、うねるようなダイナミズム、70年代のハード・ロックまで地下茎を伸ばした重厚なサウンド、そこに強烈なオリジナリティを封じ込めたMASTODONブランドは、いつ聴いてもたまらない吸引力で聴く者を魅了する。前作は歌とメロディがよりブラッシュ・アップされ、奥深さとスケール感を備えた会心作に仕上がっていた。 そして、気になる今作はRUSH、FOO FIGHTERS、DEFTONES、ALICE IN CHAINSなどを手がけたことで知られるグラミー賞受賞プロデューサーのNick Raskulineczがプロデュースを担当。スタジオはそのNickが所有するナッシュヴィルのスタジオにてレコーディングが行われた。今回も前作に引き続き、ダミ声風に荒げる渋味の効いた咆哮、クリーンに歌い上げる奥深いヴォーカルが強調され、メロディ・センスは過去最高に磨き抜かれた印象だ。ラウドなバンドが作品を重ねるごとにポップな曲調にシフトし、大衆路線に突き進むのはよくある話だが、MASTODONの場合はそれとは違う。自分たちが影響受けてきた音楽的バックボーン、ルーツを決して忘れることなく、オリジナリティという名の強度と濃度を高め、次のフィールドへと着実に前進している。彼らほどのテクニックがあれば、難解にコネクリ回すことは簡単なことだろう。マニアックなこだわりを発揮しながら、多くのリスナーを振り向かせる曲調を作ることの方がはるかに難しいのではないか。 今作はマスロック調の入り込んだフレーズや、奇をてらった曲展開は影を潜めている。その代わり、1stシングル「High Road」に代表されるようにスタジアムで映えしそうな壮大かつ重厚なムードを讃えた楽曲が増えている。特に腹の底から合唱したくなるサビの抜け具合は素晴らしい。さらに付け足せば、ヘヴィなリフと広がりのあるメロディとのバランスが絶妙なのだ。ほかに「The Motherload」ではTHE ALLMAN BROTHERS BANDなどのサザン・ロックを彷彿とさせる哀愁を帯びたギター、「Chimes At Midnight」では極太のグルーヴ感とドラマティックな展開に心を奪われる。また、勝手にMASTODON流バラードと命名したい「Asleep In The Deep」の表現力豊かな歌心には慰撫されるばかり。後を引く叙情的なメロディと扇動的な女性コーラスが効果的な「Aunt Lisa」もめちゃくちゃかっこ良し! ディープな音楽性にもかかわらず、とことん外に開かれたサウンドは一度ハマれば病みつきになるだろう。デビューから追い続けてきたファンも、今作を入口に聴いてみたいという人にもぜひお薦めしたい。



MASTODON
『Once More 'Round The Sun』
[WARNER MUSIC JAPAN]
WPCR-15738 ¥2,457(税別)
2014.6.25 ON SALE!!
[amazon] [TOWER RECORDS] [HMV]

1. Tread Lightly
2. The Motherload
3. High Road
4. Once More 'Round The Sun
5. Chimes At Midnight
6. Asleep In The Deep
7. Feast Your Eyes
8. Aunt Lisa
9. Ember City
10. Halloween
11. Diamond In The Witch House

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