DISC REVIEW
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2018年9月、長年のマネージャーであり親友であったNick Johnを膵臓癌で亡くしたMASTODON。そこから3年。彼を追悼するアルバムである本作は、親しい人を失った誰もが経験する様々な感情を見事に表現した1枚となった。怒濤のドラムから始まるTrack.1や、疾走感のあるTrack.8、Track.12などは怒りややるせなさを感じる一方、繊細に揺れ動くギターが特徴的なTrack.3、ダークで重々しいTrack.10などからは深い悲しみが伝わってくる。しかし、歌詞に目を向けると、どの曲も喪失感の間から愛情、出会えた幸せ、共に過ごした楽しい日々を想う気持ちが溢れ出ている。残された者たちはこの美しい思い出を胸に、これからも前を向いて生きていくのだ。 内堀 文佳