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INTERVIEW

DREAM THEATER

2021.10.18UPDATE

2021年10月号掲載

DREAM THEATER

メンバー:James LaBrie(Vo)

インタビュアー:菅谷 透

コロナ禍により日本公演を含むワールド・ツアーを中止せざるを得なかったDREAM THEATER(以下:DT)だが、彼らにとってロックダウンは創作意欲を存分に発揮するまたとない機会でもあったのかもしれない。ライヴ作品の発売や公式ブートレグ・シリーズの始動、チャリティ・ソングの発表(さらにメンバーによってはサイド・プロジェクトまで!)など、精力的に活動を続けたDTは、その総決算と言うべき作品として15作目のオリジナル・アルバム『A View From The Top Of The World』を完成させた。バンド初となるプライベート・スタジオでの制作や、8弦ギターの導入といった新機軸も盛り込みつつ、20分を超える表題曲など"らしさ"も持ち合わせた同作について、バンドを代表してヴォーカリストのJames LaBrieが語ってくれた。


人生というのはより良い自分に向かって進んでいくこと。ひとりの人間としても、アーティスト的な意味でもね


-前作『Distance Over Time』(2019年)発売後のバンドの活動からうかがいます。同作のリリースと、5thアルバム『Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory』(1999年)の20周年を記念したツアーを北米やヨーロッパで実施しましたが、ツアーの感想をうかがえますか?

ツアーは最高だったよ。まず『Distance Over Time』は評論家たちの評判もとても良くて、世界中のファンも好意的に受け入れてくれた。あのアルバムは俺たちにとっても新たな章の始まりになったね。一方『Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory』の20周年も祝っていたわけだけど、コロナ禍のせいで中止になってしまって本当に残念だよ。2020年の5月には日本に行ってあのアルバムをプレイするはずだったのにさ。

-ええ、非常に残念でした。

俺たちにとってもものすごいフラストレーションだった。日本のファンもかなり残念がってくれたんじゃないかな(苦笑)。でも、行くことができた場所では素晴らしいツアーをすることができた。ヨーロッパ、北米、南米には行くことができて、ものすごく好意的に受け入れてもらえたツアーだった。大成功だったね。太平洋の反対側まで足を延ばして完了させることができなかったのは残念だけど、何もかもうまくいった。そして1年半後の今もパンデミックは続いているんだよな......クレイジーだよ。

-ツアーが中止になってしまってから、今回のアルバムを作るまでの気持ちの切り替えは簡単にできましたか?

最後のショーは(2020年)2月23日、スコットランドのグラスゴーだった。マネージメントやブッキング・エージェントなどの話から、薄々気づいていたんだよな。"みんな、たぶんすべての予定が崩れて、何もかも急ブレーキをかけたように停止することになると思う"みたいなことを言われていたからね。それを聞いて"ふーん、わかったよ"という感じだった。"じゃあ家に帰ろう。お互い身体に気をつけて様子を見よう"なんて話していたら、2週間後に世界中がシャットダウンしてしまったんだ。その時点で俺たちはバンドとしてある決断を下した。"まずは傍観してみよう。どういうことになるか様子を見て、安全に過ごして、賢くいこう。自分の面倒をちゃんと見て、自分を危険にさらすなんてことはしないで、必要以上は外に出ないようにしよう"ってね。ということで、様子を見ることにした。そして去年の夏が終わるころにまた集まった。"これからどうする?"ってね。まだまだいろんなことが制限されているけど、もしかしたらニューヨークにあるプライベート・スタジオの"DREAM THEATER HEADQUARTERS(DTHQ)"で何かできるかもしれない。じゃあ、新しいアルバムの曲作りをしよう。それぞれアイディアはたくさんあるし、という話になった。それで去年の10月に集まって作業を始めたんだ。――と言っても、俺自身は集まれなかったけどね。カナダの自宅の地下室にある自分のスタジオからZoomでニューヨークと繋がって、みんなは俺の、俺はみんなの姿が見えるようにした。どの楽器の音もスピーカーから流れるようにしたから聴くことができた。向こうもヘッドホンで俺の声を聴くことができた。実際この方法が俺にとっては最高だったんだよな。この方法のほうが"隔離"できるんだ。もし何かアイディアがひらめいたらみんなをミュートすればいいんだから(笑)。

-あはは。

向こうが長いセクションをプレイスルーしていたり――例えば結構大きなセクションについてディスカッションをしている間に俺が突然メロディやリフを思いついたら、"ミュート"をプッシュして、頭の中で思いついたリフやメロディを歌ってみて、スマホに吹き込むんだ。で、向こうがひと段落ついたところで"みんな、これを聴いてくれ"、"これどう思う?"なんて提案する。そんなふうに進んでいったんだ。なかなか早かったよ。以前は俺も同じ部屋にいて、頭にはヘッドホン、目の前にはマイクがある状態で何かアイディアがひらめくと、そのたびに部屋を出て、自分の声が聞こえるところまで行かないといけなかった。そんなわけで今回のほうがうまくいった面もいくつかあるんだ。お互いデカいテレビ・モニターで姿を見ていたから、みんな同じ部屋にいるような状態も再現できたしね。良かったよ。

-それでは、時間の節約にもなったのでは。

最終的にはニューヨークまで南下してヴォーカルを録りにDTHQに行ったけど、ソング・ライティングのプロセスでは自宅に留まっていた。カナダからアメリカまで往復すること自体が事実上無理だったしね。山ほど検査も受けないといけなかったし。

-ご自宅にいる間は声の調子を整えるために何かトレーニングをしたり、曲を書いたりしていたのでしょうか。

もちろんさ! 歌は続けていたし、ヴォーカルでそれまでできなかったことに手をつけたりしていたよ。実はソロ・アルバムを書いたんだ。

-そうなんですね!

すごく楽しみだよ。曲はPaul Rogueという男と一緒に書いた。スコットランド出身で、DTのコロナ前最後のショーに来てくれたんだ。10年くらいの付き合いでね。EDEN'S CURSEというバンドにいたことがあるやつなんだ。あいつとはもう何年も前から一緒にアルバムを作ろうという話をしていてね。ようやくそれが実現したんだ。素晴らしいアルバムだよ。最初はアコースティック寄りのアプローチだったけど、最終的にはフル・アンサンブルになった。俺の息子のChanceがドラムを叩いているんだ。素晴らしい仕事をしてくれたよ。早くみんなにも聴いてもらいたいね。メロディも本当に美しいし、曲も最高で......LED ZEPPELINをアコースティックにしたような感じなんだ。と言ってもアコースティックではなくてフル・アンサンブルだけどね。ベースもドラムスもキーボードもギターも入っているよ。

-スクープ的な情報をありがとうございます。コロナ禍のなかで、あなたはソロ・アルバムまで作ってしまいましたし、DTも新作だけでなく"Lost Not Forgotten Archives"と題した公式ブートレグ・シリーズ、ライヴ作品『Distant Memories - Live In London』(2020年11月)の発売や、配信シングル「The Holiday Spirit Carries On」(2020年12月)など、活発な動きを見せていました。こうした活動を行った意図を教えていただけますか? 例えばブートレグ・シリーズはコロナ禍前からの計画だったのでしょうか。

"Lost Not Forgotten Archives"の話はこの前のツアー中に少し話が出ていたんだ。ニューヨークにスタジオもできたしということで――DTHQはリハーサル・スタジオ、レコーディング・スタジオ、機材が全部入った倉庫もある場所なんだけどね。最新鋭の設備が揃ったスタジオができたから、アーカイヴをひもといてめぼしいショーをいくつか引っ張り出してみればいいんじゃないかってさ。"このショーは覚えてる? じゃあこっちは?"、"このプロセスではどんなふうに作業していたんだっけ?"と発掘したものをファンに提供して、"よかったらチェックしてくれ"、みたいな感じにするのはどうかってね。そうやってDTの歴史を公開しようという話になったんだ。俺たちの視点とリソースから直接ね。そうすることがクールだって考えたんだ。それからDTのアルバムの曲作りやレコーディングをしたり、俺がソロ・アルバムを作ったりというのは――ほら、クリエイティヴな人間っていうのはみんな忙しくせずにはいられないんだよ。そうしないと気がおかしくなってしまう(笑)。俺たちは自営業みたいなものだし、自分にチャレンジやインスピレーション、つまりは刺激を与えてくれるものと繋がっていることが大切なんだ。俺も他のメンバーもそういう感じなんだよね。音楽の道を進み続けて、より良い自分たちへと邁進し続けることこそが人生なんだ。人生というのはより良い自分に向かって進んでいくこと。ひとりの人間としても、アーティスト的な意味でもね。

-そんなコロナ禍の中でのDTの活動の総決算というべき作品として、15作目となるオリジナル・アルバム『A View From The Top Of The World』がついにリリースされます。印象的なアルバム・タイトルの由来についてうかがえますか?

あの壮大なトラックのタイトルからきているのは間違いない。あの曲の歌詞はJohn (Petrucci/Gt)が書いたんだけど、その一節なんだ。あいつが"あの壮大な曲の「a view from the top of the world」というフレーズが頭の中で何度もリフレインしているんだけど......(フレーズを歌って)どう思う?"とみんなに聞いてきた。で、俺が"たしかにクールだな。プログレっぽい響きもあるし(笑)"と言ったら"タイトル的にも完全に理に適っているし、それで行こう"という話になった。クールな展開だよね。あの壮大な曲のタイトルだし、全体のトーンがこれで決まるから。

-ということは歌詞が最初に出てきて、それから曲ができて、アルバムのタイトルに......。

そういうわけじゃなくてね。俺たちのバンド、というか俺のソロでもそうなんだけど、まず曲ができて、メロディ(主旋律)ができて、歌詞はそのあとなんだ。タイトルが決まったのは俺がDTHQのスタジオに入ってその曲を歌っていたときだったしね。

-そうだったんですね。

そうなんだよ。俺が"see a view~"なんて歌っていたところにJohnが入ってきて"あのさ、それだよ! タイトルはそれで決まりだ!"なんて言うから、"えっ?"と言ったら"今歌っていたのをタイトルにしようぜ"って。それがきっかけで決まったようなもんだよ。いつもそんな感じで決まるんだ。他には、例えば俺が歌詞を書いているときはいつも手元に落書き帳を置いてあるんだ。あと、パワーポイントのファイルがあって、どんな歌にしたいか、どんな歌詞にしたいかのアイディアがまとめてある。でもDTや俺のソロ作品の場合はいつも曲が先にできて、それからメロディ→歌詞の順にできるんだ。俺が書くときもメロディが歌詞のトーンを決める感じだね。音符と音節の関係もあるし。俺の場合はそうやって曲ができる。他のメンバーも同じ感じだよ。

-オープニング・トラック「The Alien」はタイトルのとおり、SF映画を思わせるテクニカルでスリリングな展開の楽曲で、MVも制作されています。歌詞はあなたが手掛けたようですが、やはり同じようにできたのでしょうか。メロディ以外に何かインスピレーションを受けたものはありましたか?

あれは何があったかというと......息子のChanceが"父さん、このポッドキャストを聴くべきだよ"と、ジョー・ローガンという人のポッドキャストを勧めてくれて、それにイーロン・マスク(スペースX/テスラのCEOを務める実業家)がゲストとして出ていたんだ。惑星間の発見とかそういうのについて語っているから聴いてみなよ、と息子に言われて聴いてみたら、イーロンとの3時間にわたるインタビューだった。すごくインスピレーションを受けたよ。さっきの話に出てきた落書き帳に、そのインタビューを聴きながらたくさんメモを取った。これはあの曲にすごくクールな歌詞ができそうだ、と思ったよ。それをもとに歌詞を書いた。いいのができたと思うよ。人類が未来永劫存続するにはどうすればいいか、ということについて歌っているんだ。俺たちは遅かれ早かれこの惑星(地球)に住めなくなってしまう。資源を使い果たしてしまうだろうからね。じゃあどうやって種を存続すればいいのか。その唯一の方法は、他の惑星を発見してテラフォーミング(※地球化、人間が住める状態にすること)することだ。まぁ実際、よその惑星に住むようになるのはまだ遠い未来のことだろうけど、どこかで着手しないといけないからね(笑)。そういうのがすごく魅力的で、インスピレーションを与えてくれるコンセプトだと思ったんだ。共感してくれるファンも多いんじゃないかな。

-「Answering The Call」もあなたが歌詞を書いた楽曲のようですね。

"Saudi Arabia Uncovered"というドキュメンタリー(※アメリカの公共放送PBSによる番組のエピソード。サウジアラビアの裏側を描いた)を観たんだ。とても心を動かされたし動揺もした。未だにこの地球に暴君的な勢力が存在するってことが信じられないよ。圧政を敷いていて、破壊的で。人間のスピリットがそれでズタズタにされて......みんな抑圧された環境に住んでいるんだ。特に女性が! 俺に言わせれば、それは間違っているよ。女性は完全に心を引き裂かれてしまっている。それは間違っているよ。非人間的なんだ。俺には耐えられない。そうやって心を動かされて、"これについてどうしても書きたい"と思うようになったんだ。歌詞の内容は"いつになったら自分たちの内なる声に耳を傾けるんだ"ということ。俺たちはみんな人間で、望むことは同じだ。愛が欲しい。リスペクトが欲しい。自由が欲しいし、選択の自由も欲しい。表現の自由も。ありのままの状態で受け入れられることを望んでいる。やっていいこととダメなことを他人に指図されるような現実に暮らしていてはいけないんだ。もちろん野蛮に生きちゃいけないのは大前提だけど、圧政ではまさにその野蛮がはびこっている。他人に対して専制的で暴力的で野蛮で。そういうのは間違っていると思う。自分たちの内なる声に耳を傾ければ、もしかしたら憎悪も消えてしまうかもしれない。偏見も消えてしまうかもしれない。そうしたらもっといい解決策が出てくるかもしれないし、全体的にももっといい世界になると思うんだ。そういうネガティヴな要素や不安材料を人間の存在から抹消すればね。

-その通りですね。インスピレーションを得たのはサウジアラビアのドキュメンタリーとのことですが、世界中の誰もが共感できる内容だと思います。世界中どこに行っても理不尽はつきものですし。

本当だよ! 付け加えておくけど、何もサウジアラビアを狙い撃ちしているわけじゃないんだ。世界中で起こっていることだからね。サウジアラビアのファンに"Jamesがこんなことを歌っているなんて"と悲しんでほしくないよ。俺はサウジアラビアを非難しているわけじゃなくて、今でも世界中にはびこっている抑圧について語るときにあのドキュメンタリーを一例として取り上げているだけなんだ。むごいことだと思うからね。

-"Call"というのは人間への警鐘のことなのですね。そしてその"Call"はやがて"Answer"されると。

そういうことさ。