DISC REVIEW
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メロディック・デス・メタルのオリジネーターとしてシーンに君臨するAT THE GATES。彼らの再始動後第3弾は、これまでも時折見せていたダークでメランコリックな作風へと本格的に舵を切ったアルバムとなった。彼ららしい高速なメロデス・サウンドももちろんあるが、キャッチーで攻撃的というよりは、複雑に渦巻く情念が具現化されたかのよう。ホーンを交えたTrack.4、ジャジーなセクションも組み込まれたTrack.6、ハンマー・ビートに"語り"を乗せたTrack.9など、要所でアヴァンギャルド且つ退廃的な雰囲気を醸成し、ごく初期の破天荒なそれとはまた異なる、深みを増したプログレッシヴな展開を奏でている。大胆な変化を見せつつ、どこを切っても彼らにしか成し得ないサウンドに仕上がっているのは、さすがのひと言だ。なお国内盤には、今作にインスピレーションを与えたであろうKING CRIMSONのカバーなどのライヴ音源を収録。 菅谷 透