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INTERVIEW

BRAHMAN × SiM

2015.02.23UPDATE

BRAHMAN × SiM

Member:BRAHMAN:TOSHI-LOW (Vo) SiM:MAH (Vo)

Interviewer:荒金 良介 Photo by 石原 慎

-いつごろから少なくなったんでしょうね。

TOSHI-LOW:3人のミニマムな形でもやれちゃうからね。ピン・ヴォーカルは手持ちぶさたで無駄と感じる人もいるだろうし、そういうレベルのヴォーカルしかいなかったんじゃないの。ギター・ソロのときにボヤッとしてるようなピン・ヴォーカルばかりで、無駄になるから、楽器でも持とうかって。俺はその無駄な部分にいろんな可能性があると思うんだよね。楽器を持たない代わりに、自分の表情、手、足、雰囲気を使って音を鳴らせるんじゃないかと思ってるから。それでいろんなピン・ヴォーカルを観てみたいと思ったけど......若いのがいねえからさ。

MAH:僕らはギター2本がわりとベーシックな世代だと思うんですよ。で、SiMももう1本ギターを入れようという時期もあったんですよ。だけど、RAGE AGAINST THE MACHINE、RED HOT CHILI PEPPERSとか最低限の音だけど負けてないところがいいなと。でも周りのバンドは音優先で、バッキングの上でリード・ギターが鳴ってるバンドには敵わないし、羨ましいと思う部分もありますけどね。まあ、若いバンドでピン・ヴォーカルはいないですね。

TOSHI-LOW:まあ、上の世代を呼んでもいいしさ。

-そして、今回Bowlineでは初のサーキット形式のツアーになります。

TOSHI-LOW:それは提案をもらったから、その中でこうしたいというのをアイディアを出して。もっと各地でいろんなバンドが集結するイメージだったけど、あまりにもバンドが少なくて、変更した部分もあるんだけどね。"東北ライブハウス大作戦"と縁の深い場所にSiMと行って、また新木場STUDIO COASTに戻ってくる流れはいいなって。これから東北と付き合っていく意味でもグッと1周できたらいいなと。いいことを言えばずっと付き合っていきたいけど、その付き合い方も変えなきゃいけないと思うから。俺らは自然になったらいいというか。チャリティとかじゃなく、普通に困った人がいたら、バンドとしてやれることをやればいい。あとはバンドマンなんだから、てめえのやりたいことをやればいいしさ。そういう意味で区切りを付けるわけじゃないけど、この4年間やったことをグッと1周回して、また次を考えるきっかけを作れたらなと。"BRAHMAN、SiM、宮古に来てくれてありがとう"だけじゃなくて、来たから次はどうする?って。次にこの街にどんなバンドを自分たちで呼ぶのかなと。いつまでも"来てくれてありがとう"じゃねえよ、とも思うしね。

-MAHさんはどうですか? 今回BRAHMANと宮古で2マンという形になりますが。

MAH:僕らは(震災以降)3ヵ所しかツアーができなくて......まあ、いろいろあったんですけど。

TOSHI-LOW:それも俺の中ではいい話なんだけどね(笑)。

MAH:お手伝いしたのは少しだけど、ずっと気になっていたので。お客さんもたくさん待ってくれてるし......でもきっかけがなかったんですよ。それはTOSHI-LOWさんも分かってくれて、いつか行こうと言われてたんですよ。

-以前からそういう話はあったんですね。

MAH:いつか実現すると思っていたけど。今回誘ってもらって、一瞬どうしようと思ったけど、よし、付いて行こうと。すごくありがたいですね。

TOSHI-LOW:トラブルが起こったときにその人の本性が出ると思うの。そのときに自分の口から俺にちゃんと言ってきたし、今付いて来るとか言ってたけど、ほんのきっかけに過ぎないからね。

MAH:どうなるかわからないけど、当たって砕けろというか、砕けないようにしたいですけどね。

TOSHI-LOW:こういうところなんだよね、ピン・ヴォーカルの強さって。正面には人がたくさんいて、後ろにはバンドのメンバーがいる。その先頭に立つわけだよね? その火の粉を被るのはピン・ヴォーカルなんだよ。それを自分から被れるのか、自分たちの味方の後ろに隠れてしまうのか。それで当たりの強さというか、存在感が決まってくると思うんだよね。それはステージ上だけ、歌が歌えるだけじゃないんだよ。普段、夜の街を歩いているときも練習だし、リハーサルだから。俺たちの楽器は立ち姿なんだもん。シルエットだし、背中だし、面構えだし、それはスタジオだけでは作れないから。そういうトラブルがあっても、経験つうかさ、いいヴォーカルを作る肥やしになると思うしね。ピン・ヴォーカルで当たりが弱いとか嫌じゃない?

-改めてピン・ヴォーカルの良さも伝えたい?

TOSHI-LOW:うん、伝わると思うけどね。

-わかりました。最後の新木場STUDIO COASTはどうですか?

TOSHI-LOW:せっかく俺らがキュレーターだから、普段は呼ばれないバンドもここに出したいなと。全国にバイオレンスな超いい4人組がいるからさ(笑)。怪物みたいなバンドいっぱいいるよ。たまにはピリッとするのもいいでしょ?

-何か裏切りたい気持ちもあります?

TOSHI-LOW:何に対して裏切るのか、わかんないけどさ。でも裏切りたいよね? Bowlineに限らず、いつも期待に応えたい自分と、予想されてるものとは全然違うところに行きたい自分がいて......。

MAH:僕は常に斜め上がいいっす!

TOSHI-LOW:はははははは。

MAH:期待を裏切ってくるんだろうな、という期待をされたいです。

TOSHI-LOW:ああ。

MAH:そう来る? みたいなバンドでいたいですね。

TOSHI-LOW:こんなごちゃ混ぜな音楽性で、俺すげえまっすぐで素直なんです、とかないからね。俺もだけどさ(笑)。MAHの歌詞じゃないけど、クソ野郎!と思う自分もいるわけじゃない。どっちも本当の自分なんだよね。そこが面白いし、深さにも繋がるからさ。ひとつしか答えを持たない人たちにとっては期待を裏切ることになるかもしれないけど、そういう面白さは持ち続けたいね。