COLUMN
G-FREAK FACTORY 打たれる出た釘・打たれない出すぎた釘 第二十五回
すごい時代になった。って。皆が口を揃える。バンドがライブをすることやそれに興じることがこれほどまでに難しく、忌々しいものになるとは想像してなかった。確かにビフォアコロナのライブ業界は、当たり前が横行、飽和してバブル状態になっていたのも事実だけれど、あまりにも突然の変化に、感情がついていかない場面が多々存在する。ライブやフェスの中止は主催者にとっての損害はとても大きなもので、それは金銭的なものに限らず多くのダメージをもたらすことになることはあまり知られていない。
そんな中、前半戦を緊急事態宣言で中止を強いられていたヴィンテージツアーをようやくフワッと始めることができた。偶然に初日となった金沢では、フルセットのライブに限れば実に1年以上のステージブランクに対してリハと入念なイメージを繰り返して挑んだはずが、やはりライブ感を取り戻すのには時間がかかるんだな。ある程度想像できたが、ライブの冒頭は感覚ではなく頭で考えてギアを入れながら立っている感じだった。それでも、やっぱりライブはいいな。と思えたことが何より嬉しかった。
盛岡でのライブ中緊急地震速報が鳴ったらしい。集中できていたからか、もしくは必死だったからか全く感じなかった震度5。今後、いかなる場合でもこのような場面ではライブ中であってもフェーダー(会場全体の音量)を落とすことをPAと約束、確認をした。ライブを一本やるために、今までとは全く違う認識と覚悟が必要なんだと思った。宮城県ではライブの3日前の夜に独自の緊急事態が発令。さあどうする?G-FREAK。日曜日に控えた仙台でのライブの可否に対して、答えの出ないミーティングを長々とした結果、中止を選択した。ライブはできてしまうし、その場で明確な症状が出るわけではないので、この中止という選択が正解だったかったかどうかは、きっと永遠に全くわからない。たくさんの地雷が埋め込まれている現代では、みんな正しくて、みんな間違ってる。イレギュラーに対応するスピード感が無いことを痛感した。もはや、現代の日本では万が一に備えながら現場を好転させていくことがライブというものになってしまった。この制限された状況の中で、順応しながら不屈に探していくこと。暗く壊れた日常の中で変わりつつある価値観に慣れていく感覚。変わることの寂しさと、変わらないプライド。変われることの強さ、変われないコンプレックス。全てを連れて新しい質感への無限の挑戦。
簡単ではないが、このツアーを通して何としても正解に辿り着かなければならないと思っている。良くも悪くも性分がバンドマンなんでね。まだまだ先になると思うけど、全員マスクを外したライブハウスのフルスイングで会いたいもんだな。リスクをもってライブハウスに足を運んでくれる仲間に今まで以上に感謝をしながら、ボチボチと行くよ。
PEACE&YAH-MAN
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