COLUMN
G-FREAK FACTORY 打たれる出た釘・打たれない出すぎた釘 第十一回
なんとなく寂しくなるから寒い時期があまり得意ではありません。
そんな中、消費税が上がるニュースが届きましたね。その改正の前に軽減税率という言葉のトリックにみんな騙されてます。そもそも軽減税率とは税の見直しであって増税するものもあれば減税するものもあって然りの政策として用いられますが、今回日本が行おうとしている名ばかりの軽減税率とやらの内容には減税の選択は全くなく、最低でも「据え置き」にとどまるという「ただの増税」なんです。素人ではおおよそ理解できないような内容はまさに複雑怪奇。8%で良かったなんて言葉を耳にすると心が苦しくなります。
さらに言うと、新聞の税率を据え置き優遇することで、政権の批判をさせまいとするというコントロールはお手の物。政権の監視人たるマスメディアを逆に監視して、マスコミもそれにいいように乗っかってしまっているのではないでしょうか。
消費税は、同じ商品に誰でも同じ税率がかけられているので、絶対的な公平性をもっているものの、たとえ所得に差があっても同じ税金を納めなければならない相対的な公平性に欠けるものです。年収1,000万円の人と300万円の人が同じ1,000円のものを買っても払う税金は一緒ですが、その80円の負担は所得に占める割合によって差が出てしまいます。
欧米では、食料品を中心に税率を下げる傾向が一般的であって、イギリスでは最高税率は20%ですが、税率を4段階に分けて老人や障碍者、赤ちゃんなどの介助用品には税率がかからないようです。僕が暮らしていたアメリカも州によって税率は異なりますが、資本主義の貧富の差から、肉、野菜、卵、魚、牛乳など食に関するものが無税とされています。そのかわりに嗜好性の高い酒やお菓子などの贅沢品にはがっちりと高い税率がかけられるのです。誰にでも必要な食料や水、弱者の生活に必要なものに税金をかけなかったり、税率を下げたりすることによって、人間が最低限必要なものや弱者を優遇する当たり前の税制こそが本来の資本主義が取るべき「軽減税率」なんだと思います。
かつて日本にも現在の消費税が導入されるときに廃止になった物品税という贅沢品にかかる税金があったようです。世界的には利益に課税する所得課税よりものに課税する方が主流で、近年の日本では国際競争力を盾に大企業が法人税の減税を政府に求めることに起因したので、その条件を飲むことで、代わりに政府の支援を経団連などにさせることが狙いで、本来の消費税の目的、社会保障の充実とは建前に過ぎないのが事実だとも言われています。
日本人は「据え置き」のトリックに喜んでいる場合ではないと思います。年金暮らしのお年寄りは食べ物すら買えない時代が来てしまうのではないかと思うほど、この制度に意味を求めてしまいます。天災や戦争に怯えながら迎える寒い時期に、これ以上寂しくするのはやめてもらいたいものですね。PEACE YAH-MAN
- 1