LIVE REPORT
Survive Said The Prophet
2017.10.19 @LIQUIDROOM ebisu
Writer 吉羽 さおり
8月にアルバム『WABI SABI』をリリースしたSurvive Said The Prophetが、全国10ヶ所を巡るツアー"WABI SABI TOUR 2017"を開催。そのファイナル公演が、恵比寿LIQUIDROOMで行われた。
まずステージに登場したのは、彼らのツアー全公演をサポートしたNoisyCell。この最終日を含めて全10公演を共にしてきた時間が、NoisyCellにとっても濃く、充実したものだったことはMCや演奏の端々からも伝わってくる。Ryosuke(Vo/Gt)は、"主催ではないけれど、言わせてください。「WABI SABI TOUR 2017」ファイナルへようこそ!"とツアー・タイトルを叫ぶと、熱量の高いサウンドで会場を沸かせる。"ここまでの9本のライヴで得てきた想いもすべてここに置いて帰る"という渾身のステージが爽快だ。アグレッシヴなアンサンブルでフロアを掴み、Ryosukeの伸びやかなハイトーンのヴォーカルがキャッチーなメロディをドラマチックに色づけると、観客をスケールの大きな景色へとひとっ飛びさせる。NoisyCellの音楽を最大限見せたいという想いが形になったような、力のあるライヴとなった。来年2018年の7月には通算で5作目となるフル・アルバムがリリースすることがアナウンスされ、その中からの新曲「Letter」をいち早く披露。自分たち名義のツアー・ファイナルではないが、この日をスペシャルなものにしたいというNoisyCellの想いが詰まったステージであり、Survive Said The Prophetへのリスペクトを込めたボルテージの高いライヴとなった。
Survive Said The Prophetのライヴは、アルバム『WABI SABI』のオープニングを飾るSE的な「WABI」、そして「Lost in Time」で幕を開けた。"声上げろ!"とフロントマンYosh(Vo)が吠え、スクリームから始まった「Lost in Time」では曲中でコラボをしたCrossfaithのKenta Koie(Vo)が登場し、ツアー・ファイナルに華を添える。冒頭から5人のアンサンブルの温度が高く、フロアもまたこの日を待っていたとばかりに大きな声を上げ、「Network System」のコーラスで大合唱を巻き起こした。Show(Dr)のダイナミックでキレのあるドラムをバネに、メロディの高揚感やYoshのヴォーカルの広がりが増す「Network System」から、続くラウドな「Bandaid」ではフロアにサークルが出現し、会場の興奮が右肩上がりとなっていった。最初のブロックから観客のフィジカルにもエモーショナルにも訴えるいいテンションで、バンドがいい状態でこの日を迎えたことがわかる。"この景色を見たかった"と、Yoshは沸き上がるフロアの様子を眺めて嬉しそうに語った。そして「When I」や「Conscious」といった、よりメロディアスで、ソウルやブラック・ミュージックの香りも織り交ぜた曲を聴かせる。テンポを落とした、キャッチーで、歌心のある曲をも大きく響かせて、ラウドでアグレッシヴな曲と同様に聴き手をぐっと掴んでいくのはサバプロ(Survive Said The Prophet)というバンドの武器のひとつだろう。
中盤では、前作『FIXED』や1stアルバム『Course Of Action』の曲を中心にして、そのサバプロの歌心やポップ性の高さに、じっくりとスポットを当てる。「Subtraction」でハンドクラップを起こし、「FIXED」のSEから「Tierra」へというクールでディスコチックなサウンドでゆらりと観客のダンスを誘う。そして『WABI SABI』収録の美しいバラード「Listening」では、フィーチャリングした女性シンガー、Tielleをゲストに迎えてエモーショナルなデュエットで会場を飲み込んでいった。
ピアノを基調にしたバラード「Again」、第2のメロディとなったギターとソウルフルなヴォーカルが絡むミディアム・チューン「MIRROR」といった曲も真骨頂だ。様々なタッチやカラーを持っているが、バンドで、タフにロックに昇華しており、高いテンションや温度を保った包容力のあるサウンドを生み出している。そして「Fool's gold」や「Spectrum」で再びアグレッシヴにフロアを波立たせて、Yoshは大きなシンガロングを指揮していった。フロアに明かりがついて、そこを埋め尽くした興奮と笑顔でいっぱいの観客を眺めながら、"このLIQUIDROOMでファイナルを迎えて、俺たちにしかできないことがあるとわかった。これからも、ハコを大きくしていきたい。付き合ってくれるよね"というYoshの言葉に、歓声と拍手とが沸く。10ヶ所を共にしたNoisyCellのほか、全国各地で、ジャンルもバラバラなライヴ猛者と共演してきたこのツアーは、5人にとって、次の景色が見えるような手応えがあったのだろう。ステージでの存在感が強く、確かなものとなったことは観客の目から見ても一目瞭然で、この日を共に迎えられた、目撃できた喜びも、歓声や拍手に練り込まれていたと思う。
そしてラストには"この曲があって俺たちが始まった"(Yosh)という「Awake You Ask Kinda Awkwardly」、そして"自分の選んだ道を行くんだ"という意志が込められた「Follow」で、ツアー・ファイナルの幕を閉じた。
アンコールでは、これまでのツアー・ファイナルではストリングスのメンバーを加えるなどのサプライズや、ファイナルだからこその特別な編成で行うことも多かったが、今回は"バンド"の今を見せたかったということを語ったサバプロ。そのアンコール含めた全21曲で、5人のリアルを観る者の心に刻み込んだ一夜となった。
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