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INTERVIEW

Fear, and Loathing in Las Vegas

2012.08.18UPDATE

2012年08月号掲載

Fear, and Loathing in Las Vegas

Member:Sxun (Gt) Tomonori (Dr) So (Clean/Scream Vo/Prog)

Interviewer:ムラオカ

-潰した曲でもう1枚アルバムが作れるぐらいの量でしょうか?

T:今作では僕が諸々の構成を作ったのですが、例えばA→B→サビって流れがある中で、A→B→サビを入れ替えて、サビ→B→Aにしてみようかとか、そういう潰し方をしたんです。ですので、曲のフレーズ自体は生き残ってるものが多いんですよ。以前の曲の構成は足し算がすごく多くて、どんどん詰め込んでいって、というやり方だったんです。でも、今回はこれを抜いたらもっと良くなるんじゃないかというような引き算をして、1度潰して、また引き算をして潰してという方法を取ったんです。ですので、曲自体を捨てたということはほとんどなかったですね。

-さっきなぜ安産だったのでは、と言ったかというと、制作の過程を見ずに完成した作品を聴いただけというフラットな視点から見た時に、あまり曲を搾り出している感じがなかったんです。なので気持ちよく制作出来たのかなと。

T:どちらかというとアイデアが浮かばなくて必死に絞り出して、なんとか出したという感覚ですね(笑)。

-なるほど。アルバム全体を通して聴いての印象ですが、曲作りが凄く成熟してきたなと感じました。特にエクストリームなバックの楽器隊やスクリームやシャウトもただヘヴィだったりアグレッシヴであるだけでなく、そのヘヴィネスやアグレッションの必然性がしっかり感じられるものになっており、いい意味で受け入れやすく、また聴きやすくなっていると感じました。

So:ずっと録りながら練習をしつつ曲作りをするので、少し曲が出来たら1回録ったものをみんなで聴くんですけど、その際は嫌な不自然さを取り除きたいという思いがあるので、そういう不自然さを取り除いた結果、聴きやすくなっていると感じるのかもしれません。

T:僕の中では今作はコアなフレーズはさらにコアに、ポップなフレーズはさらにポップに振り切っています。フレーズ単体で聴くとすごくコアに聴こえるのに、曲単位で聴くとポップに聴こえるというバランス感がポイントの1つだと感じています。

-初期のサウンドというのはエレクトロのテイストがまずベースにドンッとあり、そこに生音が加わっているイメージがあったんですが、テクニカルなTomonori君のドラミングや派手なギター・プレイなども加わって、より生音の部分が前面にフィーチャーされてきているように感じたのですが?

T:アルバム全体で見たときの生の質感と打ち込み感のバランスは、曲全体を聴いたときにどちらかに偏ってしつこくなるのは嫌だったので、そこのバランスは気にしつつ構成を組みましたね。

-前作とはバランス感を特に変えたというイメージはないですか?

T:聴き手によるとは思いますけど、『NEXTREME』の方が生っぽいイメージかなと僕自身は感じています。

So:元々エレクトロ寄りだというイメージがあまりなくて、どの曲でも必要だと感じたところに打ち込みを入れたいと思って曲を作っているので、エレクトロ・サウンドが元になっているという感じではないですね。

-アルバムの内容についてピックアップしていきたいのですが、まずTrack.2の「Scream Hard as You Can」は展開がしっかり練られていてラスベガスの成長が特に大きく実感できた曲で個人的に非常に気に入っています。ブレイクを挟んでからの展開も凄く面白いですし、さっきも話したように無茶な展開ではなく、複雑ではありますが、スムーズな曲の展開を大事にしていると感じました。

Sx:なるほど。以前と比べて、すべてフレーズを入れた後にいらないものを外す作業がしっかりと出来てきているので、精度が高いフレーズのみを残せるようになったんだと思います。ですので、作っていてある程度曲が長くても、くどくない曲になっていると自分でも思っていました。フレーズの選び方の精度が高くなったという点がそういった部分に影響しているんじゃないかなと思います。

-Track.3「Crossover」は先行PVですでにYouTubeにも上がっていますね。ノー・クリーン・パート、オール・スクリームのこの曲を先行リリース曲にセレクトした理由を教えてください。

So:「Crossover」は今までの僕らがあったからこそ1st PVとして出せる攻め曲だと思ったんです。今まではクリーン・パートがどこかには必ず入っていましたが、この曲ではあえてクリーンなしにして、それでも自分たちらしさ、カッコ良さを出せた曲だと思っています。そういったこともあり、みんなを驚かせたい、こういう曲もいいんじゃないかと提示したいという気持ちもありました。ずっとコアな曲ばかりやり続けて、その後に「Crossover」を出してもそんなにインパクトはなかったと思うんですが、今のタイミングでこういう攻め曲をバシッと出すのがいいんじゃないかと思ったんです。

-普段はクリーン主体のSo君もこの曲に関してはシャウトでいこうと?

So:実はこの曲なんですが最初はメロディがあったんですけど、1回潰して、その後、シャウトだけの曲にしてみたら、その方がより鋭い曲になったんです。ちょっと変わったエフェクトを使ったシャウトも入れていて、ある意味で僕らしさが出せたんじゃないかなと。バンドとしてもすごく良い曲にできたなと自信を持ってます。

T:「Crossover」はやっぱりSoのエフェクトのシャウトが面白かったんじゃない? Soがたまたまスタジオに入っているときにエフェクトのシャウトをやって遊んでいるところを見て“面白いじゃん”ってなったんですよ。

So:全編でエフェクトを掛けているヴォーカリストって見渡してみてもなかなかいないと思いますし、そういうのを嫌がるヴォーカリストって多いと思うんです。でも僕は自分のヴォーカルにエフェクトを掛けた声が好きだし、そういったスタイルがいいと思っています。だからエフェクトの可能性にすごく興味があって、そういう面白いことを試していく内に「Crossover」にも使えるんじゃないかと思って、実際入れてみたらすごくいい違和感を出せたので良かったなと思ってます。またこういう挑戦はしていきたいですね。