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LIVE REPORT

lynch.

2024.09.04 @TOKYO DOME CITY HALL

Writer : 杉江 由紀 Photographer:マツモトユウ

lynch.の猛攻はますます苛烈になっていくばかり、なのである。名は体を表すかのような最新音源『FIERCE-EP』で、従来以上に獰猛且つ先鋭的な音像を生み出し、バンドとしての深みと拡がりもさらに増してみせた彼等は、このたび新曲たちを実演していくことになった"TOUR'24 THE FIERCE BLAZE"でも、圧倒的なパフォーマンスをステージ上にて提示していくことになったと言えるだろう。

ツアー・ファイナルのTOKYO DOME CITY HALL公演で、lynch.はド平日にもかかわらず大挙して集まった観衆たちを前に、まずはいきなり「A FIERCE BLAZE」を投下。玲央(Gt)と葉月(Vo)の共作によるこの曲は、パンキッシュ且つソリッドなテイストが前面に打ち出された"これまでにありそうでなかった"タイプのアッパーチューンで、火付け役としては持って来いの逸品だ。かと思うと、メンバー自らが"lynch.の王道を行く楽曲"と認める「UN DEUX TROIS」では、コア・ファン程楽しめる隠しコマンド要素を含んだサウンドが、オーディエンスを大いに沸かせていくことに。また、明徳(Ba)の作った原曲を葉月がブラッシュアップして仕上げたという「斑」については、彼等の敬愛するBUCK-TICKへの深いオマージュが込められた楽曲だということもあって、悠介(Gt)が今井 寿(BUCK-TICK/Gt)ばりにインパクトあるコーラス・ワークで、刺激的なスパイスを添えてくれていた次第だ。

また、本編中盤では、壮大にして幽遠なる「REMAINS」がTOKYO DOME CITY HALLの場内の隅々まで響き渡り、lynch.がただ単に激しいだけの音をぶちまけるようなバンドではなく、聴き手の心の奥底まで染み入るような"歌"を届けてくれるアーティストでもある、ということが改めて証明されたのではないだろうか。時に聴衆を扇動し、時に人々を翻弄し、時に人心を魅了する歌を伝えることが可能なヴォーカリスト、葉月の底力をこの場面では堪能することができたように思う。

そうしたなか、この夜の本編ラストを締めくくったのは、『FIERCE-EP』のリード・チューンとなっている「EXCENTRIC」で、いわゆるニューメタルの概念をlynch.流に消化したこの曲では、晁直(Dr)の刻むリズムが場内を躍動させ、揺らすことになったと言っていい。さらに、葉月が曲をセレクトしたというアンコールでは「-273.15℃」等でブチ上がりつつも、最後は、観客たちがシンガロングすることで感動的な一幕を作り出した「EUREKA」にてフィニッシュ。しかも、その後には、今後に向けた"lynch. 20th ANNIVERSARY PROJECT"についての映像告知が上映されるに至った。

"皆さん、ここからlynch.の20周年イヤーが始まります! 前にも[act:〇〇]みたいなのをやろうとしたけど、あのときはコロナにぶっ潰されたじゃないですか。今回は思いっきりリベンジしてやるからな。そして、今のところ発表してるのは、[XX act:1 20th ANNIVERSARY LIVE 「THE IDEAL」]と、[XX act:2 NACK5「BEAT SHUFFLE」Presents lynch. 2025 -The Beginning-]の2つだけでしょ。でも、実際には[act:FINAL(10)]まであって、これを来年1年かけてやります。皆さん、一緒に盛り上げるの手伝ってくださいね! 今年もまだあるけど、来年もよろしく!"(葉月)

近々のワンマン公演の予定としては、8月に台風の影響により延期となった大阪国際交流センター公演が、11月16日に振替となっているそうだが、それはそれとしても、いよいよ20周年という大切な節目を迎えた今、より激化していくであろうlynch.の苛烈なる猛攻に備えたい。

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