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LIVE REPORT

オメでたい頭でなにより

2024.04.04 @LIQUIDROOM ebisu

Writer : 杉江 由紀 Photographer:ゆうと。

くだらないことで笑い合ったり、馬鹿馬鹿しいことに夢中になれたり、なんの気兼ねもなく大騒ぎができたり。そうした時間がとても贅沢なものであるのはある種の事実で、"オメでた"ことオメでたい頭でなによりが近年ライヴの場でずっと生み出してきた空間には、まさにそれらの要素が凝縮して詰め込まれていたと言っていいだろう。

"な? 事件って起きるでしょ? それも、1曲目からベースの音が出ないとかすごいタイミングで(苦笑)。実は、昼の公演でもずーっと俺のイヤモニ壊れてたし!"(赤飯/Vo)
4月末の"ブクロック!フェスティバル2024"を最後に、無期限活動休止期間に突入する彼らがこのたび行った"オメでたい頭でなにより全国ワンマンツアー2024 「今 いくね くるね 4」"は、実質的なラスト・ツアーであったわけで、そのファイナル公演ともなればそれなりの緊張感が漂うステージングになるのかと思いきや......。オープニングSEの「鼓舞激励」から1曲目の「着火繚乱ビンビンビン」へと移行する際に、なんとmao(Ba)の機材にトラブルが勃発。少しうがった見方をすれば、きっとこの日は音楽の神様がオメでたに対して"お前ら、このままスルッとなんて休ませてやんねーし!"とイタズラをしていたのかもしれない。

とはいえ、始動から8年を経て今や海千山千のライヴ・バンドとなったオメでたは、ほどなくリカバリーして瞬く間に場内を我が物顔な大爆音で支配していくことに。
赤飯がオーディエンスに"おちんぎん、欲しいのぉ......"と、わざわざ"セクシーな声で"言わせてからスタートした「チン♂アゲ⤴︎交渉中」から感じられるシュールなコミカルさ。maoとミト充(Dr)の繰り出す強力グルーヴに反応し、ついにフロアでコロダイ勢が出現したアップチューン「あれこれそれどれ」で、いかんなく醸し出された高揚感。ぽにきんぐだむ(Gt/Vo)と赤飯が、2MCスタイルでさらに場内を煽っていった「NO MUSIC NO LIFE」において、明確に打ち出されていた音楽に対する生真面目な姿勢。方向性こそバラバラなれど、どの曲でも全力を見せるオメでたの気迫は今宵も充分に伝わってきた。

中でも、無敵のアイドルになりきった萌え萌えヴォイスの"赤飯ちゃん"により歌われた「推しごとメモリアル」と「推しのこメモリアル」はエンタメとしての完成度が素晴らしく、超速タッピングからチルいアコギ・プレイまで自在に熟してみせる敏腕ギタリスト 324(Gt)も含めた楽器隊全員が、それぞれに楽器を一時的にほっぽり出してダンスに興じる演出も、実に痛快にして愉快なことしきり。さすが、数々のフェスを荒らしてきたバンドだけある! というこの熱演ぶりがしばし見られなくなるのは、やはり少し寂しい。

"たしかにな、我々は活動休止前最後のツアー・ファイナル、ってことで今日このライヴをやってますよ。だけどさ、誰が解散なんて言うた? ひと言もそんなん言うてない。勝手に終わらしてもらったら困んねんけど! ここで言うとくわ。わしらは反撃の機会を窺ってるだけやからな。いいかい? 戦術っていうのはいろいろあるんだよ。時には退くことも肝心だ。退いてから一気に攻める......! そんな瞬間が、数年後の俺たちには必ず訪れるって本気で思ってるんで、そのときはお前らと一緒に反撃の狼煙を上げようぜ!"(赤飯)

本編ラストでは、ほかならぬ「オメでたい頭でなにより」を。そして、アンコールでの大ラスには赤飯が"これがオメでた8年半の答え合わせでした。ありがとう!"との言葉と共に「答えあわせ」を提示したという事実。つまり"いつかまた会って 答えあわせしようぜ"の一節をもって、彼らはまだ何も終わっていないことを証明したのだ。


[Setlist]
1. 着火繚乱ビンビンビン
2. 乾杯トゥモロー
3. チン♂アゲ⤴︎交渉中
4. 四畳半フォークリフト
5. あれこれそれどれ
6. NO MUSIC NO LIFE
7. 推しごとメモリアル
8. 推しのこメモリアル
9. 今宵、又旅へ。
10. 地下室の王
11. 頑張っていきまっしょい
12. すばらしい時代
13. ザ・レジスタンス
14. スーパー銭湯~オメの湯~
15. オメでたい頭でなにより
En1. 鯛獲る
En2. 花魁ドリルスピン
En3. 答えあわせ

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