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INTERVIEW

オメでたい頭でなにより

2019.08.26UPDATE

オメでたい頭でなにより

Member:赤飯(Vo) ぽにきんぐだむ(Gt/Vo) 324(Gt) mao(Ba) ミト充(Dr)

Interviewer:吉羽 さおり Photo by 新倉 映見

オメでたい頭でなによりの3rdシングル『乾杯トゥモロー』が完成した。これぞオメでた(オメでたい頭でなにより)と言うべき、いろんな思い、いろんな日常や人生をひっくるめて"乾杯"という陽なパワーに持っていく、ポジティヴでキャッチーなサウンドで、一緒に大合唱したくなる「フニクリ・フニクラ」のメロディから、晴れやかに杯を掲げたくなる1曲となっている。彼ら流のユーモアや小ネタも散りばめられるが、カップリング曲と共にオメでたい頭でなによりというバンドの哲学や、根っこに流れる思いを凝縮したものでもあり、ここからの起点にもなっていきそうなシングルだ。


レコーディング中もいかにその場にいるやつを笑わせるかみたいなところがある。関わっている人全員が楽しんだものを発信しないと意味がない


-ニュー・シングル「乾杯トゥモロー」もまた、みんなで大合唱できるオメでたい頭でなによりらしい1曲となっています。今回はどういう感じでスタートしていった曲ですか?

324:最初は、乾杯の曲を作ろうぜってなった感じですよね。

ぽにきんぐだむ:オメでたいことを軸にやってはいたんですが、その中でまだ乾杯は扱ってないねというところですね。

mao:実は1曲フルで作っていた曲があったんですけど、"これじゃ勝負できん"っていうことでボツになって、新たに今回の「乾杯トゥモロー」ができて。

-さらに強い曲でいこうと。そして、乾杯というテーマで、さらに誰もが知る「フニクリ・フニクラ」がモチーフになっているのも、曲のキャッチーさを増していますね。

赤飯:この「フニクリ・フニクラ」は誰の案やっけ?

324:あれは、俺が入れるって言ったのかな。

赤飯:そこから派生していって、ここをみんなで"乾杯"と言えるパートにしたいねっていうことだったんです。たまたま僕がデザート・ワインにハマっていて、ワインと言えばイタリアだなということで。

-それがイタリアの大衆歌謡曲である「フニクリ・フニクラ」にも繋がると。

赤飯:はい。単純にイタリア語で乾杯を意味する"Cin Cin"って叫ぶのも面白いかなと思って。和をテーマに扱っている我々なんですけども、ちょっと世界も視野に入れつつ。なおかつ曲を聴くことでイタリア語の勉強もしてもらえる、ちょっとアカデミックなことも感じ取ってもらえたらと。

324:本当にそれだけですね。

ミト充:最初は各国の言葉で"乾杯"を言うというアイディアも出てたけど。

赤飯:まずはイタリアから攻めようぜというね。パスタ好きなやつもいるし。

mao:たまたま僕は料理が好きで、たまたまパスタ作ってたときに、パスタと言えばイタリアかなと思って。

-どんどん繋がりますね(笑)。

赤飯:あとは最近ぽにき(ぽにきんぐだむ)がちょいワルを意識しているところもあるので。ちょいワルと言えばジローラモ(パンツェッタ・ジローラモ)。

324:と言えばイタリア人っていう。

赤飯:そうなるともうイタリアしかないなと。イタリアが俺たちを呼んでたんですね。ミト君も最初頭を3色のイタリア・カラーにしてたんですよ。ただこれは俺のイメージ・カラーじゃないってことでオレンジに戻しているんですけどね。なので縁です。僕ら縁を大事にするバンドなので。

-324さんはその「フニクリ・フニクラ」があって、曲をどう構築していったんですか?

324:最初に赤飯が乾杯の曲を作ろうとアイディアを持ってきて、そこで曲の中でやりたいことを話したんですよね。じゃあサビ頭で、みんなで乾杯できるような感じがいいよねとか。最終的にはイタリアの言葉になったんですけど、最初はさっきミト充が言ってた、世界各国の言葉で"乾杯"を言うみたいなネタも入れようかと考えていったときに、俺の中で「フニクリ・フニクラ」を使ってみたら面白いかなっていうアイディアが湧いて。みんなが知っているメロディで耳馴染みもいいし、そこから曲を作っていこうと。で、まずは「フニクリ・フニクラ」の著作権が切れてるかどうかを確認することからスタートして(笑)。

-頭からかなり大胆に使ってますもんね。

324:最初は曲の途中に入れていたんですけど、ぽにちゃん(ぽにきんぐだむ)が"曲の頭から入れちゃえば?"っていうので、大幅に改変して結果的によくまとまりましたね。紆余曲折は結構ありました。

mao:時間はかかったよね。

赤飯:でも、膠着状態になるとだいたいぽにきが爆弾を投げてくれるので。大胆に意見を出してくれるので助かってます。

-この曲では歌詞の内容がとてもシンプルですよね。ネタをどんどん盛り込んでいくというよりは、まっすぐにやろうという感じですか。

赤飯:練りに練ってということをあまりせずに、ただただ思ったことを置いていこうと思って。前回のアルバム『オメでたい頭でなにより1』(2019年1月リリースの1stフル・アルバム)で結構頑張ったんですけど、1回シンプルに戻そうというのはありました。それが図らずとも僕の友達に向けた曲になったなとも思うし。

324:めちゃくちゃシンプルにはなってるけど、めちゃくちゃふざけてますよね。歌詞以外では音ネタだったり、すげぇ変な声が出てきたり、めちゃくちゃふざけ倒してます。

赤飯:メンバーの声を入れたかったんですよね。僕がいろんな声が出るぶん僕がやりがちになるんですけど、いやいやもっとメンバーの声を聞かせろと思っちゃって。ライヴでみんなが歌ってるのを見るのが好きなので、もっとお前ら歌えというところでね。

ぽにきんぐだむ:アルバム(『オメでたい頭でなにより1』)からそういうアプローチは増えましたね。

-そういうバンド感もより出していこうと。

赤飯:そう、みんなでバカやってる感というかね。

324:レコーディング中もみんな、いかにその場にいるやつを笑わせるかみたいなところがあるんですよ。エンジニアさんやスタッフさんも含めて録りのときに笑ってくれたら勝ちみたいな。そんな感じの空気でやってます。

-まずその内輪でどれだけ楽しめるかが大事だと。

324:関わっている人全員が楽しんでないとね。それを発信しないと意味がないし。

赤飯:最初はたとえ内輪であっても、それが広がれば内輪ではなくなるので。とにかく楽しいと思うことを信じて発信するっていう。

ぽにきんぐだむ:あとこれ、Bメロには三線とか入ってくるのも面白いんですよね。

赤飯:なぜか琉球の風が入ってくるんです。

324:そよっとね。そういう香る程度の要素はいろいろ入っているんですよ。

赤飯:僕ね、沖縄好きなんですよ。

mao:あれ、イタリアは......(笑)?

赤飯:イタリアも好きやし、沖縄も好きなんですよ。

ぽにきんぐだむ:でもこれ、ホテルで作ってるときにいきなり出てきたよね。

324:もともとこのリズム・パートはあったんですよ。それに、三線とか入れたらっていう。

赤飯:沖縄の風とか空気感って、すんなり歌が入ってくるんですよね。ちょうどこの部分の歌詞は捻らずに、そのままドンって置いていて、それがすんなり伝わるようにしたいなと思ったので、じゃあ沖縄の風を入れようっていう。

-シンプルに聞こえるけれど、そういういろんなひらめきも惜しまず入っているんですね。

324:音は多いんですけど、同時に鳴っている音はそんなにないんですよね。取っ替え引っ替えいろんなところでいろんな音が出てくる感じで、彩りが豊かになったかなと。あとは、みんなで乾杯の缶を開ける音も録ってますね。

ぽにきんぐだむ:いろんな種類の缶、細いものから普通のサイズのものまでを開けて録ってみて。

324:結構振ってね(笑)。

ミト充:プシュっていう感じが欲しかったから。全部で10本開けたかな。

赤飯:ひとり2本ずつ開けて、その音をレイヤーしてます。

ぽにきんぐだむ:そういう音から画が見えればなという感じが多いかもしれないですね。

mao:しかもこの缶の音は5人の音をちゃんと使ってるみたいです。

324:なので、聴きながらそこで一緒に開けてもらえれば。