DISC REVIEW
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前作から約2年半。カバー・アルバム『オメでたカバー横丁~一番街~』を挟んで制作された3rdアルバムは、カバーを通して様々な実験をし、オメでたい頭でなによりで何ができるかを経て完成した。コロナ禍の葛藤のある、ままならない状況下で、小ネタ満載のおふざけは抑えめではあるが、元来のシニカルな視点や毒っぽさを生かし、今何を表現するかを探求した作品となった。サウンドの広がりはより豊かに、ラウドやミクスチャー、ファンクやEDM、J-POPど真ん中の歌モノからアイドル・チューンまでオメでたサウンドとして昇華。サウンドの構築力や多彩なアイテムを軽々飲み込むそのスタイルに器用さを感じていたが、今回はその曲の底に泥臭くあがく生々しさが通底する。ある種オメでた史上最もロックなアルバムだろう。吉羽 さおり