DISC REVIEW
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「フニクリ・フニクラ」のメロディをモチーフとした導入から、ライヴでの幸福感溢れるシーンが目に浮かぶシンガロング・チューン「乾杯トゥモロー」。アルバム『オメでたい頭でなにより1』でも、意識的にメンバー全員の声をコーラスや飛び道具に使ったが、この曲も、合唱が、そのエネルギーと高揚感でサウンドが陽に転がっていく最幸のスパイスになっている。「チャイルドプレイ」は一転してクールでオーセンティックなミクスチャー・ロックで、心を奮い立たせる攻撃的なリリックとラップが肝。「四畳半フォークリフト」は躁的なダンス・チューンでありつつ内省的な歌詞が、リスナーの心模様をもコロコロと反転させる。メジャー・デビューから1年、1stアルバムのツアーを成功させてオメでたの輪を広げたことは、彼ら自身の音楽哲学の確かさを裏打ちした。それが、直球で心に刺す歌を軸に音楽的な深みと豊かさを響かせる、これぞオメでたたる1枚にしている。 吉羽 さおり