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LIVE REPORT

オメでたい頭でなにより

2019.04.04 @マイナビBLITZ赤坂

Writer 吉羽 さおり

オメでたい頭でなによりのメジャー・デビュー1周年となった4月4日、全国ワンマン・ツアー[オメでたい頭でなにより"1"マンツアー ~今 いくね くるね~]の赤坂マイナビBLITZ公演が開催された。満員御礼の会場は、アイドルからロックまでかかる会場BGMにも手拍子やシンガロングをするなど大盛り上がりで、オメでた(オメでたい頭でなにより)ファンのノリの良さや、幅広く音楽を楽しんでいることが窺える。フロアには、ゆっくりと観たいという人のための"デリケートゾーン"や、子ども連れの方のための"大五郎シート"もありという、幅広い人が楽しめるようにもなっているのがオメでたい頭でなによりのライヴ。メジャー以前から行ってきた、集った人が全力で遊び、楽しめるようにゾーニングされた会場は、初めてラウド系のライヴに来たという人にも優しい。またフロア前線やモッシュピットも、"思いやりのぶつけ合い"をモットーに楽しもうというオメでたスピリッツが観客に浸透しているようだ。ワンマンではお馴染みとなっている、ラジオの深夜放送のようなネタ満載の"オールナイト会場"で開演前から大きな歓声に包まれたフロアは、1曲目「日出ズル場所」で凄まじい熱気を生み出した。"やってきました、BLITZ! かかってこい!"という赤飯(Vo)の言葉でメジャー・デビュー曲「鯛獲る」での大合唱が起こると、曲の終わりには"BLITZ、ソールド・アウト!"という赤飯の掛け声に、"獲ったどー!"と観客が応えるなど、のっけから息もぴったりだ。その一体感をさらに強固にすべく、ネタとシャリに分かれたフロアがぶつかり合うウォール・オブ・デスならぬ"ウォールオブ寿司"や、サークルモッシュ=回転寿司を巻き起こす「wosushi ~ウォールオブ寿司~」、ニュー・アレンジも加わってグルーヴを増した「えんがちょ!」では、ヘッドバンギングやシンガロングを起こしてフロアに大量の汗をかかせる。

中盤は、1月にリリースしたメジャー1stフル・アルバム『オメでたい頭でなにより1』の醍醐味と言える、この5人の音楽的な造詣の深さや遊び心を聴かせる。ロック、スカ、メタルなどの様々なニュアンスがミクスチャーされた「言葉のあやや」、重厚且つ暗黒なギター・リフとブルータルなビートに乗せ赤飯がシャウトする「HELL"O"」は、エモーショナルなパートと鮮烈なコントラストをつけてより攻撃的に会場に投下し、一転してロシア民謡風のイントロが軽快な「サイレンとジェラシー」は威勢のいい掛け声で観客を前のめりにさせていく。また赤飯いわく、オメでたのライヴをきっかけに知り合い結婚したというファンのエピソードから作ったという祝祭的な「ピ」や、コーラスやハレのシンセが効いた90年代J-POPや、ゴージャスなスタジアム・ライヴを彷彿とさせる「終わらない恋からの脱出」では、スペシャル・ゲストとして(ギター・ヴォーカルのぽにきんぐだむ扮する)Mr.P・KDとMrs.P・KD も登場して華麗なアンサンブルを披露。かと思うと、2階の関係者席にプレゼンするように、1分半の尺にワザを詰め込んだ「鯛アップ」をTVサイズ版だけでなく、歌詞にご当地ネタを盛り込んだ赤坂版でプレイしていく。極めつけは、メタル×アイドル・チューン「推しごとメモリアル」。シャウトからキュートな女性ヴォーカル的パートまで歌いこなす赤飯と、途中楽器を置いてお立ち台で元気いっぱいに踊り出してしまうメンバーという、バンドの概念もぶち壊すような曲で、会場には黄色い声も飛ぶ。ちなみに、この曲では毎回324(Gt)がハリボテのギターでソロを当て振りするのだが、この日はスペシャル・バージョンでソロを生披露! ......という、そんな普通のことにもワッと歓声が上がるくらいアイドルに見える5人の全力ぶりが眩しい。

「ダルマさんは転ばないっ」、「スーパー銭湯~オメの湯~」というテッパン曲でスタートした後半は、会場一体となった「ダルマさんは転ばないっ」で2階の大五郎シートから子供がキャッキャと笑う声が響き、「スーパー銭湯~オメの湯~」で各自がソロを披露していくなか、赤飯は大きなアヒルにまたがってフロアへと漕ぎ出していく。続く「We will luck you」では、ピンスポの中"オメディ・マーキュリー"に扮した赤飯が、Freddie Mercury(QUEEN/Vo)よろしくステッキ上のマイクを持って、伸びやかなビブラートで会場のシンガロングを指揮した。"過去の苦労話は好きじゃないんだけど"と切り出した赤飯は、このBLITZとの因縁を語る。4年前、"オメでたい頭でなにより"となる前にソロでワンマンをこのライヴハウスで行ったときに、苦い思いを味わったという。"自分はなんで音楽をやっているのかわからなくなった"という状況から、改めて音楽に向き合うきっかけをくれたのが、今のメンバーだという。ネガティヴな思いを抱いた場所で、今こうして最高の光景を見ているのは、スタッフや集まった人のおかげだと語った。"真面目に話すのは苦手だから、噛み砕いて言うと──お前らワクワクしてるか! 俺は今最高にワクワクしてるぞ!"と言って、自分の内に革命を起こす曲「ザ・レジスタンス」を高々と歌い上げた。高いボルテージのアンサンブルに会場が揺れ、高揚感が右肩上がりになっていくなか、ラストはピースフルなバンドのテーマ曲である「オメでたい頭でなにより」で、観客は肩を組んでフロアにいくつもの輪/和を作り上げ大合唱を生み出す。紙吹雪の中、ダブル・ピースを掲げて"オメでたい頭でなによりです"とコールする多幸感は最高である。メジャー・デビュー1周年、これがオメでたい頭でなによりが作り上げてきた光景だ。

アンコールでは、夏に新曲がリリースされること、秋には全国ツーマン・ツアー"真剣2マン遊VIVA!"を開催することを発表し、デビュー1周年のおめでとうを込めて「VIVA!ハピバ」、「宴もたけなわプリンセス」、そして新たな大団円ソング「チャバシラタッター」で大ジャンプを決めて、東京公演を締めくくった。

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