LIVE REPORT
オメでたい頭でなにより
2018.07.16 @Zepp DiverCity TOKYO
Writer 吉羽 さおり
4月4日に、シングル『鯛獲る』でメジャー・デビューを果たした、オメでたい頭でなによりの全国ツアー最終日、"オメ道楽2018 ~鯛獲るレコ発編~ 本店"がZepp DiverCity TOKYOで開催された。会場SEには、赤飯がMCをする架空のラジオ番組"オールナイト会場"が流れているが、その中で"Zepp DiverCityは5年前に、赤飯がソロ時代に立ったことがあるステージ"であり、"ここにバンドで戻ってくることができるとは"と語られた。オープニングでは、このツアーで対バンしてきた仲間たちからの動画のメッセージもあり祝祭ムードが高まっていくなか、ライヴはデビュー・シングルの表題曲「鯛獲る」でスタートした。赤飯の"Zepp、ワンマンー!"という声に、フロアから"獲ったどー!"のコールや手拍子が沸き起こって、ステージもフロアも会場一体となって喜びを爆発させる。今回はマニピュレーターを交えた6人編成でのライヴで、鉄壁なラウド・サウンドにさらに分厚さを増し、迫力満点だ。続く「えんがちょ!」では、レーザーを使用したド派手な演出や、ソロ回しで魅せるなど、頭から出し惜しみなしで次々と見どころを上乗せしていく。"いつも来てくれる人も、今日初めて来てくれた人も、全員汗だくで、笑顔にして帰します"と赤飯が宣言し、「wosushi~ウォールオブ寿司~」で、フロアをネタとシャリに分け"ウォール・オブ・デス"ならぬ"ウォール・オブ・寿司"や、回転寿司=サークルを起こす。元気いっぱいのキッズが跳ね回る会場は、興奮の熱気と楽しげな笑顔で満ちていく。ちなみに、モッシュなどが苦手な方や、じっくりとステージを楽しみたいという方には、"デリケートゾーン"という安全地帯も設けられている。ライヴという身体が触れ合う場所だからこそ、フロアでは互いの思いやりを大事に、またここに集った全員がライヴを楽しめて幸せな気持ちでいられるように、という想いは、インディーズ時代から徹底されていることだ。
中盤には、赤飯の美声ハイトーンとデス・ヴォイスの「さくらんぼ」から、「鯛獲る」のカップリングとして収録されたミラクルなアイドル・ヴォイスが冴える「推しごとメモリアル」という、サイリウムが瞬く2曲を披露。インタビュー時(※2018年4月号掲載)に"「推しごとメモリアル」は、曲中に全員で踊ろうと思っている"と語っていたのだが、そのとおりに、324(Gt)もぽにきんぐだむ(Gt/Vo)もmao(Ba)も、そしてミト充(Dr)も、それぞれ楽器を置いてお立ち台でダンス。そして観客の声援に応えるように、ステージ前方へ出ていってアイドルのように手を振る――発想が自由というか、サービス精神が旺盛というか、自分たちでこれが面白いと思ったことを、全力で拡大/拡散していく彼らのパワーには恐れ入る。例えば、「wosushi~ウォールオブ寿司~」で観客をネタとシャリに分けてウォール・オブ・デスをしようとか、「ダルマさんは転ばないっ」で、会場一体となって"ダルマさんが転んだ"をしようとか、普通ならそんな案も、会議での笑いのネタのひとつとしてその場所で消化されてしまうことだろう。最初のうちは、ライヴ現場で怪訝な顔だってされたかもしれない。無茶でアホな企画ほど、そこへのピュアな熱意と真面目さとある種のしつこさが必要だ。我を通すには、音楽的な面白さとスキルなど、バンドとしての説得力にもしっかりと磨きをかけてこそ。"オメでたいコア=オメコア"という無二のジャンルで、このZepp DiverCityを埋め、歓喜の声で満たしていることは、オメでたい頭でなによりの活動のひとつの礎となるものだ。
この日、7月7日に配信を開始した「We will luck you」も披露された。観客との大きなシンガロングが高揚感を生む新しいアンセムは、赤飯いわく"完全にボケなし"のストレートな想いや感謝の気持ちを綴った曲だ。"俺に、居場所を与えてくれてありがとう"といつになく真面目に語った赤飯は、"オメでた(オメでたい頭でなにより)のライヴがみんなの居場所になってくれたら"とも願いを込めた。フロアがダブル・ピースで埋め尽くされたラスト「オメでたい頭でなにより」での多幸感は、いつにもまして大きなものとなった。
アンコールでは、"今年はいろいろな我々を観てもらおう"と「笑うユメの生活」をアコースティック編成で聴かせ、「生霊の盆踊り」では、ドラマーのミト充のみステージに残し、4人がフロアへとなだれ込んで盛り上げた。そして赤飯は、ソロでこのステージに立ってから5年、バンドとしてもう一度Zepp DiverCityに戻ってきた喜びを語り、またこの先は武道館を目指していることを告げ、「宴もたけなわプリンセス」で充実のツアーを締めくくった。様々な想いが押し寄せたのかうっすらと涙する赤飯だったが、ここからは怒濤の夏フェス出演と、10月10日に2ndシングル『日出ズル場所』のリリース、そして11月には3マンでの東名阪スプリット・ツアー"幸三昧2018"の開催を予定しており、オメでたい頭でなによりはさらに加速を極めていく予定だ。
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