COLUMN
G-FREAK FACTORY 打たれる出た釘・打たれない出すぎた釘 第二十六回
暗闇に目が慣れてきてしまった世の中、如何に明るみを探せるかを試されっぱなしのこの頃。コロナによって失ったもの。得たもの。感じたこと、もしくはコロナ以前から実はヤバかったものが最近になって浮き彫りになってきた気がする。負の連鎖が邪念を招き、従来の秩序と価値観を揺るがした。恐らく昔からずっと続いてきたことなのだろうけど、人は順応性を持って、都度その術を身につけて適応してそれを進化としてきたのだろう。都会の一極集中型だった社会は崩壊。フラット化が徐々に始まり多くの人の営みが多方に散ったと聞く。住みやすい場所を求めて、物差しは空気の透明度だとした。全く新しいワールドの試合開始だ。
俺はというと心も身体も壊さないように群馬という田舎の特性を活かしたリアリティと向き合う生活が続いている。トレーニングの一環として始めた山の中のウォーキングがエスカレートして、そこそこの速さでトレイルランニングができるようになった。アスファルトを走るのとは全く違って、ダンスをするように舞うのである。奇跡めいた自然の音に包まれるのは言うまでもなく最高だけど、Bluetoothイヤホンで音楽と山を走るのは更にもう格別なもので、耳の中の夢と目で見える景色のリアルがそよ風に完全に溶け込んでいくのがわかる。ここに程よい疲労をのせてスピードと強さがマッチした瞬間、大きな火の玉に時々出会うことがある。まさにライブの時に意識が飛んでいくようなあのツボみたいなものだ。次第に、デモ音源やフレーズが出来上がると、そいつを連れて山や川に出かけることが増えた。自然の景色や波動に許してもらえるか否かを判断基準にするようになった。つまりハマるかどうかの勝負めいたもので、当然ボツネタもたくさん山や川に帰してきた。
シンプルライフをやってみようとスーパーカブを手に入れた。パソコンとヘッドフォンでの生活が増えたから、リフレッシュ効果も兼ねて日が伸びた最近は夕方に走るのが最高に気持ちいい。愛着を持って手間をかけながら少しずつカスタムしていこうかと思ってる。いつかコイツに乗って旅に出られたら面白いな。
緊急事態宣言下であることを理由にアルバムツアーの前半は中止を繰り返して、Zeppでのファイナルも飛んでしまった。中止にはしたくない。最後くらいはしっかりと決着をつけさせて欲しいと思い、苦しくも延期という選択をした。この目線から見ると失った「時間」というものはとても大きい。気が遠くなるような、単純に皆ひとつ歳をとってしまってるわけだからね。一番寂しいことは、コロナでも自粛でもなくて、何事も疑って暮らしていること、信じられない心の設定を持ってしまうことなんだぜ。工夫が必要だけど達者を維持してこの試合勝ちに行こう。 PEACE&YAH-MAN
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