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LIVE REPORT

lynch.

2014.04.23 @SHIBUYA-AX

Writer 荒金 良介

会場に入ると、1階フロアの壁にメッセージ・ボードが設置され、そこにファンが"lynch.を初めて観たのは(渋谷)AXでした!"という書き込みが目に入った。そう、今日はlynch.にとって特別な日である。4月9日にニュー・アルバム『GALLOWS』をリリースし、5月から始まるTOUR'14"TO THE GALLOWS"に先駆けて行われたワンマン・ライヴ。新曲をいち早く聴けるとあって、会場は立錐の余地もないほど観客で埋め尽くされていたが、それだけではなかった。

開演時刻19時を数分過ぎ、バンド名が刻印された幕がバックドロップにゆっくり掲げられると、耳をつんざく雷鳴と共に最新作同様、「INTRODUCTION」〜「GALLOWS」で火蓋を切った。曲中で"AX!"と葉月(Vo)は叫び、コール&レスポンスを想定した楽曲は早くも観客を激しく焚き付けていく。「NIGHT」の始まりではパイロの特殊効果で驚かせ、会場の温度は最高潮だ。そして4曲目「DEVIL」が終わると、"撮影が入っているので、余計なことを言うのはやめようと思ったけど、俺ららしくないんで。灰になるぐらい盛り上がっていきましょう!"と煽り、ブリブリにヘヴィなリフで押す「GREED」〜メロディがキャッチーな「GUILLOTINE」へと繋ぎ、漆黒にまみれた怒濤の攻めっぷりの中で鋭利な日本語詞が胸に突き刺さってきた。

中盤、バックドロップがスクリーンに切り替わり、昆虫や幾何学模様のコラージュ映像、紫の照明などを駆使しながら、「-273.15℃」を皮切りに「ENVY」、「an illusion」、「THIS COMA」と歌謡曲風味の妖艶な歌心に焦点を絞った聴かせるナンバーが続く。ストロング・スタイルで畳み掛けるlynch.もいいが、ミディアムやスロー・チューンでふっと覗かせる美しいメロディもこのバンドの大きな武器だ。特に歌詞に合わせて天井から人工雪を降らせた「BE STRONG」からの「PHOENIX」の流れにはグッときた。説明的なMCは何もなかったが、前者はPay money To my PainのK(Vo)に捧げた曲であり、それを"不死鳥"と名付けた曲名で繋ぐところに彼なりのメッセージが込められている気がした。

"そろそろ暴れませんか?"という言葉を合図に後半戦に向け、再び戦闘開始のスイッチが入る。バックドロップに張り巡らされた照明がド派手に点滅し、「VANISH」、「MIRRORS」、「JUDGEMENT」と豪快に飛ばし、本編ラスト曲「LIGHTNING」では銀テープが放出され、煌びやかな演出で幕を閉じた。

この時点で既に26曲プレイしていたが、鳴り止まぬアンコールにしっかり応え、葉月はここでSHIBUYA-AXへの思いを吐露する。"バンド始めた16、17歳からここでやるのが夢で、2006年にイベントで初AX、2011年に初ワンマンAXで満員にならなかった。2012年にAXは満員になって......俺はこの会場がほんとに好きだった。次は日本武道館に絶対連れて行くからね!"と宣言し、大きな歓声が沸いた。この日は曲中にも数えきれないくらい会場名を叫んでいた。lynch.として最後になるワンマンAX公演(※5月に閉館するため)であり、バンドの夢や目標が初めて現実になった場所という意味においても、ここで日本武道館へ目指すという新たな夢を語りたかったのかもしれない。その日が来ることをずっと待っています。

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